ヒトラーの死因は?自殺の経緯から最後の様子まで解説【生存説も紹介】

ヒトラーの遺骨はどうなったのか?

ヒトラー夫婦の遺体はソ連軍によって発見された

ヒトラー夫妻は死後、遺言により焼却されています。しかし屋外だったために完全に焼却できず、残骸をソ連軍に持ち帰られています。ヒトラーの遺骨は彼の非道の罰なのか、もちろん安らかに眠るわけでもなく数奇な経緯を辿っています。

ソビエトの検死報告によると…

ベルリンで戦うソ連軍

ヒトラーの死はドイツ政府が5月1日に公式に発表し、5月2日にソ連軍が総統地下壕に到着し、砲撃のクレーターの中に埋もれていたヒトラーとエヴァ、犬の死体を発見したといいます。公式な検死報告書によると、「銃弾による頭蓋骨の損傷、口腔内のガラスの破片」があり、拳銃と青酸カリの複合使用であろうと記録されています。

そして死体解剖の時に、「左の睾丸は陰嚢、鼠蹊部の精索、小骨盤腔のいずれの中にも発見できなかった。」そうです。生前から「睾丸が一つしかない」という噂があったのですが、証明されたと当時はいわれました。ただしこの発表は、死体の焼け残りが僅かだったという点からも、ヒトラーを貶めるための誇張だという説が現在では一般的になっています。

遺体はベルリンからマクデブルクに埋葬された

マクデブルクの赤軍基地にヒトラー達は埋葬された

ヒトラーとエヴァの死体は、ソ連の防諜部隊スメルシによって埋めたり掘り出しを繰り返し、数回場所が移動されました。そしてヒトラーたちの遺体は当初ベルリン西方の森に墓標なしで埋められましたが、再度掘り返され8か月後にマクデブルクの赤軍基地に秘密裏に埋葬されました。前中庭の舗装区域の下だったそうです。

ヒトラーの頭蓋骨とされたが、本人のものではない可能性が高い
出典:The Guardian

1970年にスメルシの施設は東ドイツに移譲される予定でしたが、ヒトラーの埋葬場所がネオナチの聖地となることを恐れてKGBチームにヒトラーの遺骸を掘り起こし破壊する指示が出されています。それによってソビエトのKGBチームはマクデブルクの森からヒトラーを含む十数体の遺骸を掘り起こし、完全に焼却してエルベ川に散骨したといわれています。そしてヒトラーの下顎骨と銃弾のある頭蓋骨の一部は現在でも、ロシア連邦保安局によって保管されているのです。

「ヒトラー生存説」という噂の真相は?

現在も噂は残っている

戦後から「ヒトラーは生きている」という噂がまことしやかに語られていました。真相はどうなのか、検証していきます。

南米に逃亡していた?

スターリンはヒトラーの生存を疑っていたという

ヒトラーの死に関しては、聞き込みを行った生き残りの証言に矛盾があったり、ソ連のスターリンが当初政治的な意図で徹底的な「ヒトラーの死」に関しての口外禁止令を敷いたことなどが要因で「生存説」が噂されるようになったといわれています。

Uボートで南米に逃れたと噂された

そしてスターリンもヒトラーの自殺を信じていなかったといいます。そして「ヒトラーはUボートで南米に逃げたのではないか」と疑問を持つようになったそうです。また、ソ連が1945年9月に出した公式発表によると、

「ヒトラーあるいはエヴァ・ブラウンの遺体の痕跡は発見できなかった。偽りの証拠を示すことで、ヒトラーは自分の痕跡を隠そうとした。4月30日未明、小型飛行機がティアガルテンから飛び立ち、ハンブルク方向に向かったという明らかな証拠がある。その飛行機には男性3名、女性1名が乗っていた。またイギリス軍侵攻前に、ハンブルクから大型潜水艦が出港したことも確認されている。潜水艦に乗っていた人間の氏名は不明だが、女性が1人含まれていた」

といっています。この時ソ連は頭蓋骨を持っていたのに不思議に感じてしまいますが、想像にはなりますが、焼却された判別しにくい遺体を歯形の照合のみで判断したので、ヒトラーではないのかもという不安がぬぐい切れなかったのかもしれません。事実1950年代になってもソ連はドイツ軍の将校を見つけると「ヒトラーはどこにいる?」と尋問をしていたといわれています。

ヒトラー生存説の論争は今も続いている

ヒトラーの歯の検証が行われた(写真:NHK)

長らく噂となっていた「ヒトラー生存説」ですが、ロシアの連邦保安局が2017年に遺骨の鑑定を許可しました。調査の許可は1946年以来のことだったといいます。そこで研究者たちはロシアが保管している歯を調べて「歯はヒトラーのもので間違いなく、1945年に死亡したことが裏付けられた」と結論付けています。記事では、

「ヒトラーを巡る陰謀説は全て終止符を打つことができる。彼は潜水艦でアルゼンチンに逃亡していないし、南極や月の裏側の秘密基地への潜伏などあり得ない」

と語っています。ヒトラーの頭蓋骨といわれる断片には左側に弾丸が貫通したと見られる穴も確認されれ、歯には青酸カリによって化学変化したと思われる青みがかった金属部分が見つかっています。また、死の一年前に取られたレントゲン写真と酷似していたとのことでした。こうして長く語られていたヒトラーの生存説に、終止符が打たれたように思われました。

しかし論文発表の後に、ヒトラーの頭蓋骨をDNA検査したら、女性のものだと判明したそうです。思わぬ結果に研究者は驚愕しました。

結局ヒトラーの死は現在も論争が続けられている

そして今度は翌年の2018年に、アメリカ政府が「総統地下壕から脱出した可能性がある」という調査結果の公文書を公開しています。この文書は「ヒトラーが潜水艦で脱出しアルゼンチンの関係者として迎えられた」というものでした。この文書の出現をアメリカ政府は真剣に受け止め、ドイツに特別捜査官を派遣したといいます。

もしかしたら今後また何か公文書が公表されるかもしれない…

結局1945年に死亡したというのが通説ですが、それでもヒトラーが生きているという噂の論争は決着されておらず、今も調査が続けられているのです。もしかしたら、これから新しい調査結果が出てくるのかもしれません。

ヒトラーの死因に関するまとめ

今回この執筆にあたり、ヒトラーの秘書だった人物の「私はヒトラーの秘書だった」を読み直したのですが、秘書は「ヒトラーは確かに死んでいた」と本で語っていました。真相は結局今も証明されていませんが、この本は映画化もされ改めてヒトラー論争に火が付いたきっかけにもなっています。

今回再度調査をして、私が知らなかった新たな文書が公表されていたり、戦後70年以上たっても新しい事実が出てきていることに驚いています。現在でも独裁者の最期は興味を持たれているんだなと驚きました。もしこの記事を読んで私みたいに驚いてくれた人がいたら嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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