オイルショックによるトイレットペーパー騒動とは?原因や影響を解説

トイレットペーパー買い占め騒動はどうやって収束した?

在庫が回復したデパートのトイレットペーパー売り場

トイレットペーパーの買い占めによって問屋の在庫まで出払ってしまったため、日本政府は国民に向けて買い占めの自粛を要請しますがあまり効果はありませんでした。

そこで異常に値上がりした生活関連物資の価格を安定させるため、トイレットペーパーなどの紙類4品目を「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」の特定物資に指定しました。また「国民生活安定緊急措置法」を制定し標準価格を定めます。

これにより翌年1974年の3月には騒動は収束し在庫量は通常時の状態に回復しました。

トイレットペーパー買い占め騒動による影響

値段の高騰

原油の値上げを伝える新聞記事

オイルショックにより原油の価格は高騰し、1973年には1バレルあたり約2ドルだった原油価格はオイルショック後の1974年には1バレルあたり約11.6ドルまで急上昇しました。

日本でも買い占め騒動によってトイレットペーパーの価格は1.5倍程度まで上昇し、時には3倍から4倍の値段でも売れたといいます。第一次オイルショック前には4.9%あった消費者物価指数は、1973年には11.7%に1974年には23.3%まで上昇しています。

高度経済成長によって盛り上がっていた経済活動は、オイルショックによって大きく後退することになりました。

オイルショックを象徴する出来事になった

教科書に載るトイレットペーパー買い占め騒動

トイレットペーパー買い占め騒動はオイルショックを象徴する出来事になりました。

人々がトイレットペーパーを買い求める様子や、がらんとしたスーパーの陳列棚の写真は何度もニュースで放映されたり新聞に掲載されたりしたため、トイレットペーパー買い占めと言えばオイルショックを思い出す人も多いのではないでしょうか。

現在では文部科学省検定済教科書にも「オイルショックを象徴する一場面」として紹介されるなど、直接オイルショックを知らない世代にも象徴として認識されつつあります。

オイルショック以降のトイレットペーパー買い占め騒動

2011年3月ー東日本大震災の発生

東日本大震災

2011年3月11日に東北と関東を襲った東日本大震災の発生時にも、首都圏を中心にトイレットペーパーをはじめとする生活物資の買い占めが起こっています。

地震発生以降、コンビニやスーパー、飲料の自動販売機から食料や水が消え、ガソリンスタンドには長蛇の列が出来ました。宮城県石巻市にある日本製紙石巻工場も大きな被害を受けたため、紙不足が噂になりティッシュペーパーやトイレットペーパーの買い占めが起こりました。

2020年2月ー新型コロナウイルスの流行

新型コロナウイルスの流行によりマスクをする人々

2020年2月から続く新型コロナウイルスの流行の発生初期にも、トイレットペーパーの買い占めが起こっています。

「トイレットペーパーの製造元が中国で、今後品薄になる」というデマがSNSを中心に広まったことと緊急事態宣言も相まって、あっという間に店頭からトイレットペーパーは消え去りました。デマが正されイオンなどの販売店が十分に在庫があることをアピールしましたが、品薄は春先まで続きました。

日本に限らず世界中で似たような情報がインターネット上に流れ、台湾や香港、オーストラリアやアメリカでも買い占めが起こっています。

トイレットペーパー買い占め騒動に関するまとめ

いかがでしたか?

不安と集団心理が生み出したトイレットペーパー買い占め騒動は、私たちの心理的に弱い部分が暴き出された結果です。「なくなったらどうしよう」「大丈夫だとは思うけどみんな買っているし」といった不安からデマに踊らされて、買い占めという行動に出てしまうのでしょう。

情報が多い時代だからこそ、しっかりと自分で見極め考える必要があるのではないでしょうか。

1 2

コメントを残す