アガサクリスティとはどんな人?生涯・年表まとめ【功績や逸話も紹介】

アガサ・クリスティにまつわる都市伝説・武勇伝

都市伝説・武勇伝1「アガサ・クリスティ失踪事件」

突然の失踪で世間を騒がせたアガサ

1926年12月、アガサ・クリスティは自宅を出たまま行方不明になってしまいます。警察は何らかの事件に巻き込まれた可能性も視野に入れて捜索をしましたが、11日後にホテルで宿泊していたところを保護されたことで事件は収束します。

この失踪事件について、当時のマスメディアは様々な詮索を行いましたが、とうとうアガサが真実を語ることはなかったため動機は不明のままです。

しかし、保護されたホテルで彼女は夫の愛人・テレサの名義を使って宿泊をしており、このことから「夫の不貞行為が失踪の引き金となったのではないか?」と言われています。

ちなみにアガサはこの事件翌々年の1928年に、夫のアーチボルド・クリスティと離婚しています。

都市伝説・武勇伝2「名探偵ポアロは生計の手段?」

生計のために執筆していたと言われているポアロシリーズ

アガサ・クリスティといえば名探偵ポアロが登場するシリーズを連想する人が多いかと思いますが、実は彼女はポアロを書きたくて書いていたわけではないそうです。

アガサはポアロのストーリーを書くことにうんざりしていたそうなのですが、読者からのポアロ人気は絶大であったため、出版社にほぼ強制されるような形でポアロシリーズを書き続けました。

ポアロは「生計の手段」だと割り切っていたという話まであります。なお名探偵ポアロシリーズはアガサの長編小説の中で33作あります。アガサが発表した長編小説は66作なので、その半分をポアロシリーズが占めていたということになりますね。

うんざりしながらも読者の人気に応え、ポアロシリーズを生み出し続けたアガサは小説家の鑑だと言えるでしょう。

都市伝説・武勇伝3「「ミス・マープル」のモデルは彼女の祖母? 」

「ミス・マープル」とは、アガサクリスティの推理小説に登場する探偵の一人で、ポワロと双璧を成す人物です。アガサクリスティ自身は明言していませんが、マープルのモデルは彼女の祖母だと推察されています。

イギリスの田舎の風景を色濃く残すコッツウォルズの風景

ミス・マープルは作中では温厚な優しい老婦人として描かれます。彼女は、自身が住むという架空の村「セント・メアリ・ミード」で趣味である編み物や刺繍、庭いじりをして暮らしていました。

彼女の推理方法は登場人物たちが語る話の内容を架空の村での生活経験に当てはめ解決してくという面白いものでした。動機にスポットをあて推理するのが彼女の特徴といえるでしょう。

アガサ・クリスティの簡単年表

1890年
イギリスで生まれる

アガサ・クリスティは1890年の9月15日、イギリスの保養地であるデヴォン州のトーキーで産声を上げました。三人姉弟の末っ子にあたります。

1909年
長編小説を書く

初めての長編小説『砂漠の雪』を書き上げ、隣家に住んでいた作家イーデン・フィルポッツに指導を受けます。

1914年
結婚そして第一次世界大戦

7月に第一次世界大戦が始まり、アガサは看護師や薬剤師の助手として勤務しました。同年12月にアーチボルド・クリスティ大尉と結婚します。

1920年
作家デビュー

『スタイルズ荘の怪事件』で念願の推理作家デビューを果たします。

1926年
謎の失踪事件

12月に謎の失踪事件を起こします。11日後に無事に保護されましたが、失踪の理由は謎のままです。

1928年
アーチボルドと離婚

女性問題を抱えていた夫のアーチボルド・クリスティとついに離婚します。

1930年
再婚

中東の旅行で出会った考古学者マックス・マローワンと再婚します。

1976年
85歳で逝去

高齢のため風邪をこじらせ、アガサはイギリスの自宅で息を引き取りました。
長編、短編、戯曲などアガサが発表した作品は100作品以上にも上り、その功績をたたえ大英帝国勲章が授与されています。

アガサ・クリスティの具体年表

1890年 – 0歳「イギリスで誕生する」

アガサ生誕の地・デボン州トーキー

アガサ・クリスティの誕生

1890年9月、保養地として有名なイギリスのデボン州トーキーでアガサは生まれました。生まれた当時の名前はアガサ・メアリ・クラリッサ・ミラーといいます。
家族構成は父、母、姉、兄の四人家族で、アガサは三人姉弟の末っ子でした。姉弟とは10歳以上も年が離れており、一緒に過ごす機会はほとんど無かったそうです。
母親のクララは独自の教育信念を持っており、アガサに学校へ通うことを禁じ自らが直接勉強を教えていました。
同年代の友達もできず、幼少期のほとんどを使用人や空想の友人と遊んだり本を読んだりすることで過ごしたアガサですが、子供時代のことを「とても幸福だった」と後に振り返っています。

1901年 – 11歳「父の死、そして破産」

父・フレデリックとアガサの写る貴重な写真

父の死後、作品作りを始める

アガサの家庭はいわゆる中産階級でした。庭付きの家に住み使用人を雇うなど、それなりに裕福な生活を送っていましたが、徐々に経済状況が悪化していきます。
そして1901年に父フレデリックが亡くなると、とうとう一家は破産をしてしまうのです。
その後は住んでいた家を売り払い、転々と移動をしながらの生活が続きました。そんな中アガサは詩や短編小説の執筆し、出版社への投稿を始めていきます。

1909年 – 18歳「初の長編小説を書き上げる」

長編小説『砂漠の雪』を執筆

作家アガサクリスティを育てたイーデン・フィルポッツ

アガサが18歳のころ、自身初めての長編小説『砂漠の雪』を書き上げます。そして隣の家に住んでいた作家イーデン・フィルポッツに指導を受けました。
その時のことをアガサは「的確な助言をしてもらえた」と後に振り返っています。その助言を励みにアガサは執筆活動を続けていきます。

1914年 – 24歳「第一次世界大戦での体験」

戦時中看護師として働いたアガサ

一度目の結婚

1914年7月に第一次世界大戦が勃発します。当時のアガサの恋人アーチボルド・クリスティ大尉はフランスに送られるのですが、一時的な帰国を許されイギリスに戻ってきます。
そして同年の12月に二人は結婚し、その後も帰国のたびに逢瀬を重ねました。

戦争での奉仕活動

夫がフランスにいる間、アガサは病院で看護師として奉仕活動をします。そこでアガサは多くの人の死を目の当たりにしました。
薬剤師助手としての仕事も経験し、そこでアガサは毒薬の知識を得ます。
アガサの推理小説では殺害方法に毒薬が使われることが多々ありますが、この時の経験が後の作品作りに活かされているのです。

1920年 – 30歳「推理作家デビュー」

念願の出版へ

終戦後もアガサは小説の執筆活動を続けます。
数々の出版社から不採用にされながらも、1916年に執筆した『スタイルズ荘の怪事件』という作品で念願の推理作家デビューを果たしました。
この作品は、後に読者から絶大な人気を誇ることになるエルキュール・ポアロシリーズの第1作目です。
『スタイルズ荘の怪事件』はボドリー・ヘッド社から出版されました。

1926年 – 36歳「激動の1年間」

アガサが深愛をささげていた母・クラリッサ

『アクロイド殺し』発表

この年アガサが発表した『アクロイド殺し』という作品は、今までにない斬新なトリックを使い推理小説界に大きな衝撃を与えました。
それがどれほどの衝撃だったのかというと、この作品のトリックがフェアかアンフェアかを巡り、「フェア・アンフェア論争」と呼ばれる大論争にまで発展するほどでした。
『アクロイド殺し』はアガサを推理作家として一躍有名にした作品であり、代表作品の一つとして挙げられています。

母の死

1926年の4月、アガサの母親クラリッサが亡くなります。母親を愛していたアガサは深い悲しみに暮れました。

失踪事件

同年12月、アガサは自宅を出たまま失踪してしまいます。警察は事件に巻き込まれた可能性も視野に入れながら捜査を始めます。
また、当時アガサは夫のアーチボルドと不仲であったこともあり、夫が殺害をしたのではないか?という可能性も視野に入れられていたそうです。
有名作家の失踪とあって、新聞は大々的にこのことを報じました。民衆から多数の目撃情報が寄せられたこともあり、失踪から11日後にアガサは無事に保護されます。
しかし失踪の理由について、ついにアガサから真相が語られることはありませんでした。

1928年 – 38歳「アーチボルドとの離婚」

アーチボルトとアガサ

離婚へ

不仲が続いていた夫アーチボルドとアガサはついに離婚します。
その後、アーチボルドは愛人と再婚しました。

1930年 – 40歳「考古学者と再婚」

マックス・マローワンとアガサ

アガサの再婚

アガサは中東へ旅行した際、考古学者のマックス・マローワンと出会います。その後、二人は嵐のようなロマンスを経て結婚しました。
マックスはこの時26歳でしたので、アガサとは14歳も年が離れています。
マックスの影響でアガサは考古学に目覚め、中東の発掘によく同行していたそうです。作品作りにもそれが活かされており、アガサが1936年に発表した『メソポタミヤの殺人』は中東を舞台にした作品となっています。

1976年 – 85歳「アガサ85歳で逝去」

終の棲家となったグリーンウェイエステート

自宅で逝去

85歳となったアガサは風邪をこじらせ、イギリス、ウォリングフォードの自宅で逝去しました。
アガサは作家デビューした1920年から亡くなる1976年までの間に、長編小説66作、中編・短編小説156作、戯曲15作を発表しました。
彼女が発表した多くの作品はベストセラーとなり、数十年経った今でもアガサの作品は愛され続けています。こうしてアガサは推理小説界の歴史に名を刻んだのです。

アガサ・クリスティの関連作品

おすすめ作品

そして誰もいなくなった

絶海の孤島を舞台に繰り広げられる「クローズド・サークル」もののミステリー小説です。絶対に逃げることのできない状況の中の殺人、一体誰が?何のために?続きが気になり、ページをめくる手が止まらなくなります。

アクロイド殺し

名探偵ポアロシリーズの一つです。作品が発表された当時、あまりにも型破りなトリックにフェア・アンフェア論争が巻き起こったことで有名です。このトリックがフェアかアンフェアか、読み手によって受け取り方は様々だろうと思います。

春にして君を離れ

ミステリーの女王と呼ばれたアガサ・クリスティですが、実はミステリー小説以外の作品も発表しています。これがその一つです。自らをよき妻よき母だと信じ切っている女性が主人公の物語なのですが、心を抉られるような恐ろしく哀しい結末でした。

おすすめ映画

オリエント急行殺人事件

ヨーロッパを走る豪華列車オリエント急行を舞台に繰り広げられるミステリー映画です。乗客全員が容疑者という状況で、名探偵ポアロが真実を明らかにしていきます。ラストシーンはあまりにも衝撃的でした。

ねじれた家

とある大富豪の一族の中で繰り広げられるミステリ映画です。大富豪の老人が殺され、その遺産を巡り三代に渡る一族が熾烈な争いを繰り広げます。嫉妬や憎悪が絡み合う人間ドラマが見ものです。

おすすめドラマ

そして誰もいなくなった

とにかく原作小説の再現性が高く、小説の世界をそのまま映像として見られるような作品です。登場人物たちが一人ずつ消されていく緊迫感がたまりません。キャストも豪華な俳優陣を取り揃えているため、非常に見応えがあります。

関連外部リンク

アガサ・クリスティについてのまとめ

アガサ・クリスティの生涯と作品についてご紹介をさせて頂きました。

アガサ・クリスティのことを深く知るには、やはり彼女の著作を読んでみるのが一番だと思います。実際に作品を読みながらアガサの生涯を振り返ってみると、彼女の人生が作品にどのような影響を及ぼしたのかがよく分かります。

まだアガサ・クリスティの本を読んだことがない人は、まずは有名な作品や気になった作品からぜひ読んでみてくださいね。

ミステリファンなら絶対に満足できることをお約束します。

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