アガサクリスティとはどんな人?生涯・年表まとめ【功績や逸話も紹介】

アガサクリスティとは、数多くの名作を生み出し、「ミステリーの女王」と呼ばれたイギリスの推理作家です。

彼女は生涯をかけ66作の長編小説と156作もの中短編小説を残しており、「エルキュール・ポワロ」や「ミス・ジェーン・マープル」、「ハーレ・クイン」などの名探偵を生み出しました。中でもエルキュール・ポワロのシリーズは彼女の代表作といってよいでしょう。

デボン州トーキーにあるアガサクリスティのマイルプレート
出典:Wiki

数々の名作を生み出し推理作家として一躍名誉を築いたアガサクリスティですが、彼女の人生は波乱万丈そのものでした。父親の破産や自身の離婚、謎の失踪事件など語られていない逸話は数多くあります。

そこで今回は、数奇に満ちたアガサクリスティの生涯を名作と共にお送ります。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

アガサクリスティはどんな人物か

 名前アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ
誕生日1890年9月15日
生地イギリス デボン州トーキー
没日1976年1月12日
没地イギリス オックスフォードシャー
配偶者アーチボルド・クリスティ(1914年 – 1928年)、マックス・マローワン(1930年 – 1976年)
埋葬場所イギリス チョルシー セントメアリ教会

アガサクリスティの生涯をハイライト

アガサクリスティは、1890年イギリスのデボン州トーキーで三人姉弟の末っ子に生まれました。姉は寄宿学校に、兄は軍隊に入っていたため、姉弟で共に過ごす機会はほとんどなく一人娘のように育てられます。

アガサクリスティが育ったデボン州トーキーの街並み

また、母親独自の教育観から正規の学校教育を受けず、母親のもとで教育を受けていました。そのため同年代の友達はできず家の庭で空想上の友人と一人遊びをしたり、書斎でさまざまな書籍を読みふける内向的な少女時代を過ごしたそうです。

その後19歳になったアガサクリスティは『砂漠の雪』という長編小説を執筆。出版社への採用に至らなかったものの、以降も作家としての活動を続けました。そして第一次世界大戦終戦後の1920年、30歳のアガサは『スタイルズ荘の怪事件』で念願の作家デビューを果たします。

『スタイルズ荘の殺人』はアガサの処女作というだけでなく、かの有名な名探偵エルキュール・ポアロシリーズの記念すべき第一作目となりました。

「オリエント急行殺人事件」で登場する食堂車(復元)

その後も「アクロイド殺し」や「オリエント急行殺人事件」などの名作を生み出します。エルキュール・ポアロを代表とする名探偵や巧妙やトリックは多くの読者を魅了し、「ミステリーの女王」と呼ばれるようになりました。

30歳から実に50年以上にわたってミステリー小説を中心に執筆活動を続けた彼女。自宅で風邪をこじらせ85歳で生涯を終えました。

彼女の代表作の一つが推理小説史上に残る名著として知られる「アクロイド殺し」です。この作品のトリックをめぐって「あり」か「なし」かが激しく議論されました。それだけ、センセーショナルな作品を世に送り出したとも言えますね。

『名探偵ポワロ』でポワロ役を演じ好評を博したデヴィッド・スーシェ

この「アクロイド殺し」をはじめ、「オリエント急行殺人事件」などの有名作品に登場するのが特異な風貌を持つベルギー人の探偵「エルキュール・ポワロ」でした。彼のほかにも、自分の村で起こった出来事に当てはめることで事件を解決する「ジェーン・マープル」など魅力的な探偵を描き、読者を魅了します。

アガサクリスティは30歳で「アクロイド殺し」を書いてから実に50年以上にわたってミステリー小説を中心に執筆活動を続けました。そして、1976年に風邪をこじらせて自宅で亡くなります。85歳の生涯でした。

書斎で書籍を読みふける日々を送った幼少期

孤独な幼少期を過ごしたアガサ・クリスティ

アガサ・クリスティは三人姉弟の末っ子として育てられます。しかし、姉は寄宿学校におり兄は軍隊に入っていたため、姉弟で共に過ごす機会はほとんどありませんでした。

アガサの母親は独自の教育信念を持っており、アガサに姉や兄のように正規の学校に通うことを禁じ、自らが直接教育をしていました。

学校に通うことのなかったアガサに同年代の友達ができるはずもなく、家の庭で空想上の友人と一人遊びをしたり、書斎で様々な書籍を読みふけったりといった内向的な少女時代を過ごしたそうです。

30歳で念願の作家デビュー

アガサクリスティのデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』

アガサは1909年に『砂漠の雪』という初の長編小説を書き上げます。残念ながらこの作品は出版社から不採用とされてしまうのですが、その後もアガサは作家としての活動を続けます。

1914年には第一次世界大戦が始まり、戦争中アガサは看護師や薬剤師の助手として働きました。この時にアガサが得た毒薬の知識が後の作品作りに活かされていきます。

そして終戦後の1920年、アガサは『スタイルズ荘の怪事件』で念願の作家デビューを果たします。『スタイルズ荘の殺人』は、かの有名な名探偵エルキュール・ポアロシリーズの記念すべき第一作目です。

アガサクリスティの功績

功績1「偉大なる名探偵「エルキュール・ポアロ」を生み出す」

ベルギーのエルゼルにあるポワロの像

エルキュール・ポワロはアガサクリスティが作中に生み出した探偵です。その風貌は実にユニーク、欧米では小柄な163cmの身長、卵型の頭に緑色の目、髪は黒髪で大きな口ひげを生やしています。

後頭部は禿げ上がっており、その容姿は例えるならば「ハンプティ・ダンプティ」のよう。

作中での彼はベルギーで警察官として働き、退職後は第一次世界大戦によるドイツ軍のベルギー侵攻から逃れるためイギリスに亡命します。亡命先のイギリスで自慢の「灰色の脳細胞」を駆使、数々の難事件を解決する探偵となりました。

エルキュール・ポワロのシリーズでは、友人のヘイスティングズ大尉や秘書のミス・レモン、スコットランドヤードのジャップ警部など魅力的な人物たちが登場、共に事件を解決に導きます。

功績2「多数の推理小説が世界各国でベストセラーに」

最も多くの言語に翻訳されたアガサの本はユネスコも認定

アガサクリスティの作品は世界で最も多く国の言語に翻訳されました。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が発表した「Index Translationum」の記録紅海によると
アガサクリスティの作品は『海底二万哩』の著者ヴェルヌや『ロミオとジュリエット』などで知られるシェイクスピアを抑えて1位となったというのです。彼女の作品が世界各国で読まれていることがよくわかりますね。

アガサクリスティの代表作品一覧

  • 1926年:アクロイド殺し
  • 1934年:オリエント急行の殺人
  • 1936年:ABC殺人事件
  • 1936年:メソポタミヤの殺人
  • 1937年:ナイルに死す
  • 1939年:そして誰もいなくなった
  • 1944年:ゼロ時間へ
  • 1949年:ねじれた家
  • 1950年:予告殺人
  • 1957年:パディントン発4時50分
  • 1975年:カーテン

推理作家「アガサ・クリスティー」のおすすめ作品・本5選

アガサ・クリスティの名言

私は66の作品の中で161人殺してきたけれど、私自身は生きることが大好きなの

考古学者というのはどんな女性にとっても最高の夫です。妻が年をとればとるほど、夫が興味を持ってくれるようになります。

人生で本当に重要な瞬間は手遅れになるまでわからない。

幸福な子供時代を送った人は、もっとも幸運な人だといえるでしょう。

私は必要が発明の母だとは思いません。私に言わせれば、発明は怠惰から生まれるものです。少しでも楽をするために。

1 2

コメントを残す