フリーメイソンとイルミナティの違いは?関係性や謎をわかりやすく解説

2. 政治目的の有無

知識を共有し親睦を深め合うフリーメイソンと政治について議論するイルミナティ

フリーメイソンとイルミナティの最も大きな違いは、政治的目的の有無です。

ヴァイスハウプト教授は自らの思想を広めようとイルミナティを設立しました。彼は基本的人権の重要性を強調。そして、すべての人が平等な世界を実現させるには、王権と教権(教会の権力)による統治を一掃しなければならないと語りました。

その手段として、非暴力に変革が良いとしましたが、反面、どうしようもない場合は武力を用いた革命も視野に入れるべきだと唱えています。こういった問題について議論するために用意したのがイルミナティでした。

当時のバイエルン王国は、ヴァイスハウプト教授のような思想を危険だと判断し、思想を広めることも教えることも禁止していました。このような事情があり、本部や会員について他言することを禁じていたイルミナティは政治的目的を持つ秘密結社とされています。

対してフリーメイソンは、政治的目的がありません。それどころか、組織内に政治的な話を持ち込むことを禁じていました。

政治について積極的な議論を交わしていたのがイルミナティなら、フリーメイソンはむしろ政治から遠ざかっていた組織だったのです。

3. 秘密結社と「秘密を持った」組織

今はフリーメイソンの本部を見学できる

秘密結社と称されることの多いフリーメイソンですが、実はその定義に当てはまりません。

秘密結社とは、結社の存在が組織の人間によって秘されている、または活動の目的や内容を外部の人間に公開することを禁じている組織のことです。フリーメイソンは儀礼や組織の構成員について他言してはいけないという決まりがありますが、本部の所在や目的などを公開しています。

秘密結社の定義に照らし合わせれば、秘密結社とはいえないでしょう。厳密には「秘密を持った」組織です。

対して、イルミナティは政治的な目的があったため、逮捕されないように本部や目的、活動内容を秘匿する必要がありました。実際、どこに本部があったのか、具体的にどういった活動をしていたのか明らかになっていないので、定義通りの秘密結社といえます。

フリーメイソンとイルミナティの関係

イルミナティの創始者がフリーメイソンだった

アダム・ヴァイスハウプト教授
出典:Wikipedia

フリーメイソンとイルミナティはよく混同されますが、一体なぜ一緒くたにされるのでしょうか。

諸説ありますが、理由の一つとしてイルミナティの創始者がフリーメイソンだったことがあげられます。当時のヴァイスハウプト教授は、イエズス会の大学教育を快く思っておらず、彼らの排除されてしまった学問を教えるためにイルミナティを創設しました。

しかし、人が集まらなかったため、ヴァイスハウプト教授はフリーメイソンへ加入し組織の運営方法を学ぶとともに、スカウトも行いました。最終的には、フリーメイソンを乗っ取ろうと画策していたようです。

しかし、フリーメイソンの乗っ取りは失敗に終わりました。とはいえ、組織の拡大には成功し、メンバーは少なくとも650人、多ければ2500人にのぼったそうです。

陰謀論者はなぜ今も繋がりがあると思っている?

フランス革命の黒幕探しから陰謀論が生まれた
出典:Wikipedia

陰謀論者によると、フリーメイソンはイルミナティの下部組織とする説があります。実際にそのようなことはないのですが、陰謀論者はなぜ今も両者は繋がっていると考えるのでしょうか?

陰謀論の大元はフランス革命にあります。1789年7月に起こったフランス革命は、人々に、特に上流階級に絶大な衝撃を与えました。「知識もまとまりもない庶民が革命を起こすなどありえない、必ず黒幕がいるに違いない」と考えた彼らは、その犯人としてイルミナティとフリーメイソンに目をつけました。

こういった考えを形にしたのが、陰謀論です。両組織の陰謀論で特に有名な著書を発表したのが、イエズス会の神父バリュエルとロビソン教授でした。

ロビソン教授は『確かな権威筋より集められた、フリーメイソンリーと啓明結社と読書協会の秘密の会合で続けられている、ヨーロッパのすべての宗教と政府に敵対する陰謀の証拠』を出版し、著書の中で、フランス革命の黒幕はイルミナティとフリーメイソンであると述べました。

この時点でイルミナティとフリーメイソンは同一視され、それが今世紀まで続いたため、陰謀論者たちは両組織が繋がっていると考えたのです。

フリーメイソンとイルミナティはキリスト教と対立しているのか

キリスト教から危険視されていただけで対立はしていなかった

結論から言うと、フリーメイソンとイルミナティはキリスト教と対立していません。

正確に言うと、両者は排斥する側とされる側という関係でした。18世紀後半のキリスト教は神の存在を否定するような啓蒙主義を敵視していました。

そのため、啓蒙主義的であったフリーメイソンやイルミナティは危険分子として扱われたのです。秘密結社が流行り始めるとキリスト教は、秘密結社の活動を全面的に禁止する勅令を出し、排斥しました。

対して、フリーメイソンはキリスト教徒であってもメンバーに迎え入れています。ですので、対立というよりは一方的に敵視されていたと言うのが正確でしょう。

フリーメイソン・イルミナティに関するまとめ

フリーメイソンとイルミナティについて紹介しましたが、いかがでしたか?

同じ組織として見られるフリーメイソンとイルミナティですが、「成立した年代」「政治的目的の有無」「組織の形態」が異なる、まったく違う組織であるとわかりましたね。また、現代の陰謀論がフランス革命の黒幕探しからきているというのは、意外な事実だったのではないでしょうか。

本記事がフリーメイソンとイルミナティについて理解を深めるきっかけになれたのなら幸いです。レキシルでは歴史的人物や事柄について解説しています。興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。

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