ビッグバン理論とは?宇宙誕生の仕組みをわかりやすく簡単解説

ビッグバンで全宇宙が誕生しました。まさに「マバタキする間」に今の宇宙が形作られたのです。

始まりは「無」でした。物質もエネルギーも空っぽの空間さえありません。空間そのものが存在していなかったのです。時間というものがないため時を刻むこともありません。

ビッグバン、太陽の1兆倍のさらに10兆倍の熱さ

しかし突如原子より小さな火の玉、ビッグバン、が姿を表しました。その温度は太陽の中心温度の1兆倍のさらに10兆倍。ピンの先より数千倍小さい点から宇宙を生み出すあらゆるものが爆発しました。

そしてこれが「時」の始まりになったのです。わすが1秒で宇宙全体の設計図が描かれました。この史上最大の謎はどのようにして起こったのでしょうか。我々の地球のことを知りたければまずは宇宙の誕生について理解する必要があります。

今では有力な説となるビッグバン理論も、この概念の誕生からまだ100年も経っていません。それまでは未来永劫不変であると考えられていました。

この記事では、

  • ビッグバン理論とはなんなのか?
  • 誰が提唱したのか?
  • それを証明したのは誰なのか?
  • 現在はどのように考えられているのか?

といった、ビッグバンにまつわる様々な疑問に超簡単に解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

ビッグバン理論とは何か

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ビッグバン理論、Wikiによると

ビッグバン(英: Big Bang)とは、宇宙は非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になっていったとする膨張宇宙論(ビッグバン理論 (Big bang theory))における、宇宙開始時の爆発的膨張。インフレーション理論によれば、時空の指数関数的急膨張(インフレーション)後に相転移により生まれた超高温高密度のエネルギーの塊がビッグバン膨張の開始になる。その時刻は今から138.2億年(13.82 × 109年)前と計算されている。

これを読んでもし理解できるのであれば、この先を読む必要はありません。なかなか難しい内容なので簡単に説明していきます。

ビッグバン理論、超簡単にいうと

「138億年前、宇宙が誕生した瞬間から、10の-34乗秒後に起こった極めて高密度、高温度の大爆発」です。

10の-34乗秒を数字で表すと「0.0000000000000000000000000000000001秒」となります。1秒の1兆分の1をさらに1兆分の1にして、またさらに10億分の1以下にした時間です。

通常「爆発」とは、燃料や火薬を燃焼させると、気化して高温ガスとなり、急速に膨張します。その膨張速度が音速を超えると、衝撃波が生じて大音量が響くわけです。

では、138億年前の大爆発はどのように起きたのでしょうか?燃料や火薬に相当するものは宇宙にある全ての物質でした。全ての物質が一点に集められていたわけです。そして実はこの時の大爆発は今でも起こり続けています。

詳細は後述しますが、ビックバンの時起きた大爆発は今もなお起き続け、宇宙を広げ続けているのです。

ビッグバンで生まれた3つのちから

火の玉から自然界の基本となる3つの力が生まれました。

  • 重力
  • 電磁気力
  • 核力

これらが我々の周りにあるすべてのものを支える力です。

重力は星や惑星の形成、月や潮の満ち引きに関わり、我々の足を地に引きつけます。電磁気力は都市を照らし、電話をつなげ、コンピューターを動かしてくれます。そして強い力と弱い力からなる2つの核力が我々の体を作る粒子を結びつけ太陽エネルギーを生み出します。

我々がここにいられるのも最初の1秒で3つの力が生まれたおかげです。もしそうでなければ宇宙はただの放射線の霧だったでしょう。

ビッグバン前後の時系列

宇宙誕生から現在までの時系列

宇宙誕生から数秒間のざっくりの時系列を並べてみたいと思います。

  1. インフレーション
  2. ビッグバンと物質の誕生
  3. 宇宙の晴れ上がり

それぞれ解説していきます。

無とは何か?

「無」と聞いてほとんどの人が戸惑うことでしょう。「無」とは、物質も空間も、時間さえもない状態です。そこから何かが生まれることはないと思うはず。

物理学的にいう「無」とはエネルギーが存在しないことを指します。しかし、宇宙創生のこの「無」の状態の中には、「ゆらぎ」があったとされています。

無の中の「ゆらぎ」

詳しくいうと、物理的に可能な限りエネルギーを抜いた状態のことをいいます。実はエネルギーを抜くだけ抜ききっても、振動、いわゆる「ゆらぎ」が残るのです。さらにいうと、これを消すこともまた物理的に不可能だとされています

ゆらぎの中で起きた奇跡

この「ゆらぎ」は、素粒子の生成と消滅が繰り返されることにより起きていて、物理的には消すことができません。いい換えれば、無と有の間をゆらいでいる状態ということです。

この揺らぎによるエネルギーとエネルギーはトータルでは0なのですがゆらぎがあることによってそのエネルギーには「過疎な部分」と「密な部分」ができます。

その「過疎な部分」となった空間が宇宙の種を作り、その中でたまたま生成した宇宙の種の一つが「トンネル効果」によって奇跡的に現実世界に飛び出し急膨張を始めたと考えられています。

「トンネル効果」とは極めて薄いエネルギーの壁を、通り抜けてしまう現象のことです。半導体はこの原理を利用してつくられています。

インフレーション

猛烈な速さで膨張を続ける宇宙

「無」から生まれた宇宙は誕生直後からビッグバン直前までの10-34乗秒の間に、「インフレーション」と呼ばれる、数十桁も大きくなるような猛烈な加速膨張を起こしました。

この名前はご存知、「膨張」を意味する経済用語の「インフレーション」から名づけられました。

では具体的にどれくらい宇宙が膨張したのでしょうか?

インフレーション前の大きさは、直径10-34乗cm、つまり物質をこれ以上細分化できない究極の粒子といわれる素粒子よりもはるかに小さいサイズでした。

それがインフレーション直後、いわゆるビッグバンの時には、直径1cm以上になっていたのです。

ビッグバンと物質の誕生

物質の誕生

インフレーションにより、宇宙は超高温・超高密度の火の玉となりました。ビッグバンの始まりです。

その中で、光(光子)を含む、大量の素粒子が生まれます。素粒子にはふたつの種類がありました。

ひとつが「粒子」で、もうひとつが粒子と反応すると光を出して消滅してしまう「反粒子」です。

何らかの理由で、粒子よりも反粒子の方が10億個に1個ほど少なかったために、宇宙のごく初期に反粒子はすべて消滅し、わずかに残った粒子が、現在の宇宙の物質のもととなったのです。

それらの粒子が、光を通さないくらい非常に濃密な状態で宇宙をヤミクモに飛び回っていました。これが38万年ほど続きます。

宇宙の晴れ上がり

宇宙の晴れ上がりとは

現在の科学では、地球から100億先の銀河も観測することができます。これは、この銀河を出た光が、何かに妨害されることなく100億光年の距離を直進してきたことを示しています。

光が直進できるのですから、宇宙は濁ることもなく曇ってもいない。宇宙は透明なのです。宇宙が始まって138億年が経過しとされています。しかし、宇宙は最初から透明だったわけではありません。初期の宇宙は、不透明でした。

宇宙誕生から38万年の時を経て霧が晴れた

そして、38万年後に突如として透明になりました。

この現象を「宇宙の晴れ上がり」といいます。急に霧が晴れて遠方の景色が見えるようになったイメージです。

なぜ、宇宙の晴れ上がりが起きたのか?

前述のとおり、約137億年前、宇宙はわずか一点でした。宇宙は火の玉から急激に膨張し、ビッグバンを機にさらに広がりました。

宇宙全体の物質が一点に収まっていたわけですから、初期の宇宙はいうなれば「ギュウギュウ詰め」だったのです。

物質の密度が時間とともに低くなった

このため、ビッグバン直後の宇宙は非常に高温・高密度の状態でした。宇宙は膨張するにつれ、物質の間にすきまが広がっていきます。宇宙の密度はだんだんと下がっていきました。

高温・高密度の状態では、原子核と電子はバラバラに飛び交っています。これらは、光を散乱してしまうので光は直進できません。高温・高密度の宇宙は、不透明だったのです。

ビッグバンから38万年たつと、変化が起きました。「原子核」が「電子」を捕獲し「原子」が生まれた。原子は光を散乱しないので光は直進できます。

これを機に、ビッグバン後38万年で宇宙は透明になったのです。これを「宇宙の晴れ上がり」と呼びます。そして星ができ、銀河や銀河団が形成され、私達人間などの生物がつくられていったのです。

ビッグバン理論を支える数々の研究

ビッグバン理論はどのような遍歴を経て、証明されてきたのでしょうか。ものすごく簡単に説明すると下記のようになります。

  • ハッブルの法則 → 宇宙は膨張している、つまり始まりがあったということを証明した法則
  • インフレーション理論 → 無からビッグバンまでの間を説明した理論
  • 特異点定理 → 無から宇宙が生まれるということを説明した定理

宇宙は膨張している「ハッブルの法則」

ビッグバン理論以前までは、宇宙は未来永劫不変のもの、つまり始まりは「ない」と考えられてきました。

しかし1929年、エドウィン・ハッブルによるの「ハッブルの法則」がきっかけで、その考え方が一変しました。

ハッブルが発見したのはものすごく簡単にいうと「宇宙は膨張している」ということです。銀河からの光を研究していた彼は遠くの銀河ほど光の波長が遠くなることを発見したのです。

膨張している、つまりそれを裏返すと、宇宙は過去のある時点で一点に集約されることになります。

これがビッグバン理論が生まれるきっかけになったのです。

最初はバカにされた「ビッグバン理論」

ビッグバン理論は、1948年にジョージ・ガモフらが提唱したものです。簡単にいえば

・初期の宇宙は超高温、超高密度の火の玉状態であった
・その火の玉が膨張して、今のように果てしない大きさの宇宙ができた

という理論なのです。

今でこそ、一般的な宇宙論の一つになりましたが、提唱された当初は、見向きもされませんでした。

この「ビッグバン」というネーミングも、当時、他の科学者が火の玉宇宙起源論をからかって、「宇宙がビッグバン(大きなバーンという爆発)から始まったというのか?」といったことから名付けられたほどです。

その後、65年に、ベル電話研究所の技師が、『宇宙背景放射』という火の玉の余熱を電波という形で確認したことにより、ビッグバン理論が証明され認知されるようになったのです。

ビッグバン直前を説明した「インフレーション理論」

ビッグバン理論が定着しつつあったころ、ひとつの謎が残っていました。それは「どうやって火の玉が作られたのか?」という疑問です。

インフレーション理論とは「無」の状態からビッグバンが出来るまでを説明をふる理論です。

宇宙創成の10-44乗秒後に始まって、10-33乗秒後に終了した、つまり、1秒の1兆分の1をさらに1兆分の1にして、またさらに10億分の1以下にした、とてつもなくわずかの時間に起きた宇宙の異常膨張のことをいいます。

無から生まれたことを証明した「特異点定理」

スティーブン・ホーキングとペンローズが証明した定理です。ものすごく簡単にいえば「ビッグバン理論を証明するための証明」です。

というのも、ビッグバン発生時には巨大なエネルギーが一点に集中し、大きさがゼロで密度が無限大の「特異点」が生じます。ここでは時空が無限にゆがみ、相対性理論が成立しなくなるとされていました。

これを解決するため、ホーキングは極微の世界で起きる現象を説明する量子力学を、相対性理論と組み合わせることを初めて提唱した。宇宙の始まりは通常の時間と異なる「虚時間」が存在し、はっきりしないとする仮説を83年に発表。これによって特異点の問題を解決できるとしたのです。

宇宙の未来はどうなるのか?

ビッグバン理論とは話がズレますが、宇宙の未来についても触れておきます。

膨張し続ける宇宙の行方については、3つの可能性があるとされています。

  • 説1. 宇宙は膨張しつづける
  • 説2. 宇宙は膨張を止めそのまま維持し続ける
  • 説3. 膨張を止め縮小を始めやがて消滅する

この3つのどれになるかは、宇宙の中にふくまれる物質の量によって決るとされています。

では、それぞれ説明していきます。

説1. 宇宙は膨張し続ける

宇宙が膨張しているということは、お互いのあいだの距離が離れていくことです。

しかし、宇宙の中にある物質のあいだには、重力、すなわち万有引力によって引きつけあう力が働いています。宇宙の膨張は重力によって常にブレーキがかけられているのです。

現在は、膨張していくエネルギーが重力に打ち勝っているので、宇宙は膨張を続けているのです。

もし、物質の量が少なく、エネルギーが重力に勝ち続ければ、宇宙は永遠に膨張を続けていきます。これを「開いた宇宙」と呼びます。

説2. 宇宙は膨張を止めそのまま維持し続ける

もし物質の量が膨張が続くぎりぎりであったとしたら、やはりその宇宙は開いた宇宙ですが、均衡を保つという意味で「平坦な宇宙」とよびます。

説3. 膨張を止め縮小を始めやがて消滅する

宇宙の中に膨張を引きとめる物質の量が多ければ、いずれは膨張が止まり、宇宙は収縮を始めます。これを「閉じた宇宙」と呼びます。

もし宇宙が閉じているとすれば、将来は膨張が止まってしまいます。その後、宇宙は収縮していき、最後には1点に集まって消えてしまうでしょう。これを、ビッグ・バンとは逆の、「ビッグ・クランチ(大収縮)」とも呼びます。

ビッグバンをより深く理解するコンテンツ

ビッグバン関連の本

知れば知るほど面白い宇宙の謎

宇宙図鑑のおすすめ15選【子供から大人向けまで】

参考資料・文献

終わりに

ビッグバンを始め、宇宙についてはまだまだ謎が多く、むしろわかってることの方が少なかったりします。それが宇宙の楽しさであり、多くの研究者が魅了される原因でもあるのかな、と、今回筆を走らせてみて感じました。

誰が言っていたのかはすっかりわすれてしまいましたが、「地球のことでわからないことはほとんどなくなってきていて、わからないことといえば、宇宙のことくらい。現代における知的好奇心の矛先は宇宙に集まっている」なんて言葉を思い出しました。

宇宙について調べるのは非常に楽しくあっという間でした。少しでもあなたの知的好奇心を満たすための情報として役立っていただけたら幸いです。

6 COMMENTS

日常の疑問の発表を急いで終わらせとる生徒

ビッグバン前後の時系列のイラストを授業で使わせていただいても
良いでしょうか?

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京藤 一葉

> 名無し さん
嬉しいコメントありがとうございます!
引き続き、よろしくお願いします^^

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