きっかけはSONYの工場視察
スティーブ・ジョブズが毎日同じスタイルを貫くようになったきっかけは、日本にありました。ジョブズはSONYの創業者である盛田昭夫を尊敬しており、1979年にはジョブズが初代Macにソニーの3.5インチフロッピーを搭載するため、厚木工場を訪れました。その際に工場で同じジャケットを着て働く人たちを目にして質問すると、盛田昭夫が「これは同じ会社で働く絆だ」と答えたのです。
ジョブズはその答えに感動し、自分の会社でも実践しようとソニーのジャケットを作っていた三宅一生にデザインを依頼、Apple社のユニフォームにしようとしました。結局、社員の反対にあってApple社のユニフォームは作られませんでしたが、ジョブズは自分だけのユニフォームとして三宅一生のデザインしたトップスをいつも着るようになったのです。
同じ服を何枚も持っていた
スティーブ・ジョブズは同じデザインの服を何着も持っていたようです。トップスに関しては、ジョブズが三宅一生に自分のサイズに合わせたデザインでオーダーし、最初に約100着が無料で納品されました。ジョブズはこれだけあれば死ぬまで着れるだろうと話していたようです。
その後は定期的にオーダーがあり、有料で製作しジョブズに届けられていました。ある時、いつも使っていた素材が製造中止になったので、似たデザインのものを送ったら、これは違うとジョブズから返品されてきたというエピソードも残っています。素材もサイズも、ジョブズにはこだわりがあるものだったのです。
ジーンズに関してはリーバイス501の色違いを持っていたようです。プレス写真を確認すると、薄いインディゴのものをよく見かけますが、時には少し濃いめのものを履いていることもあります。
毎日同じ服を着る人たちには2パターンいる
ノームコアがブームになり、ミニマリストも注目されるようになってきた昨今、毎日同じ服を着る人もそう珍しくない時代になってきました。しかし同じファッションを身に纏う人たちのタイプは、大きく分けて2つあるようです。スティーブ・ジョブズと同じくファッションに効率を求める人と、同じ服を着ることを個性としている人です。
ジョブズと同じく効率を追求したい人
クリエイターや成功者と呼ばれる人に多いのが、この理由で同じ服を着ている人たちです。自分のやることが明確化していて、できる限りそこに自分の時間を費やしたいから、服装選びに時間を取られたくないとか、イレギュラーな仕事が多いから、単純にできることはできるだけシンプルにすることで自分を楽にさせたいといった背景を持って、毎日同じ服を着ています。
個性を打ち出したい人
毎日同じ服を着るということは、それがその人の制服になるということです。つまり「このファッションをしているのはあの人」という発想を多くの人が抱きやすくなります。自分の個性をファッションでアピールしようという人は、毎日同じ服を着ることが重要なのです。
ジョブズと近い考えで同じ服を着る有名人
マーク・ザッカーバーグ
Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグも毎日同じ服を着ていることで知られています。いつもグレーのトップスを着ていますが、ザッカーバーグが愛用しているのはイタリアの「ブルネロ・クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」というブランドのファッションです。
ザッカーバーグは、とにかくFacebookを良くすることだけに時間を使いたいというポリシーがあるようです。そのため、彼にとっては普段の服装選びは必要のない時間なので、同じ服を買い揃えていつも同じファッションにしているというわけです。ザッカーバーグはシリコンバレーでワースト・ドレッサーの1人に選ばれたこともありますが、本人にとってこれはどうでも良いことなのでしょう。
オバマ前大統領
第44代アメリカ合衆国大統領であったバラク・オバマも、いつもダークカラーのグレーかネイビーのスーツを着ています。大統領という決断のオンパレードのような仕事上、日常生活では決断疲れを減らしたいというのが理由です。客観的に見て、大統領がいつも同じ服装をしているのは安心感もあります。
そのせいなのか、2014年に珍しくベージュのスーツを着用していた際には、政治的なことより服装が大きく話題に取り上げられ、「似合っていない」「弱気に見える」と各方面から不評でした。ちなみに、大統領の任期最後の記者会見では「ベージュのスーツを着ようと思ったけれど妻に止められた」と記者の笑いを取っていました。時を経てネタにしているあたりはさすがです。
北川景子
女優の北川景子は、私服を決めた数しか持たないと公言しています。10着ぐらいしかないとも言われていますが、クローゼットに入るだけの服の数しか持っていないというのが真相のようです。それでも少ない印象があります。コートは10年ぐらい着て、新しいものを買うときは古いものは捨てるとのこと。
彼女の場合、性格的に合理主義なので、手持ちの服の枚数を決めたらそれを徹底することで、結果的に同じ服を着回すということになるようです。着たい服をクローゼットの中で探す時間がもったいない、買っても着ない服があったら無駄な出費になるということも、北川景子の性格的には受け入れ難いことなのでしょう。
スティーブ・ジョブズの服に関するまとめ
いかがでしたか?今回はスティーブ・ジョブズの服についてご紹介しました。毎回同じ服を着ていた理由が分かったと思います。
実は、スティーブ・ジョブズも時にはスーツを着ていました。投資家や金融関係者と会う時のファッションは、イタリアの高級ブランド「ブリオーニ」のスーツでした。それはジョブズが自己表現としてスーツを着るべきと判断したからです。
いつも同じ服を着ているジョブズはファッションに無頓着と思われがちですが、むしろその逆です。いつも着ているニットも細部までこだわりのあるイッセイ・ミヤケのものですし、ブリオーニのスーツといえば世界最高峰の呼び声も高いものです。スティーブ・ジョブズは超一流の仕事を成し遂げましたが、そのファッションが彼の仕事に対するポリシーを支えていたとも言えるでしょう。