ヤクザの階級や役職を組織図付きで一覧解説！年収の違いや収入源も紹介

本部長

本部長は組織の運営から管理費の管理や事務などを担う役職です。若頭や舎弟頭と並び、組織の三役と呼ばれ、組織の中核を担う人が就任します。三役を中心に執行部が置かれ、組織の運営が行われています。頭角を現せば若頭や組長になる事も夢ではありません。

本部長は事務所の最高責任者ではあるものの、階級的には若頭には及びません。また若頭補佐と並び、本部長補佐を置く組織もありますが、その補佐が執行部に属するかは組織により異なります。

本部長は若頭補佐同様に会社なら専務、家族構成なら次男以下が該当します。年収も若頭同様に年収は1千万から数千万程が相場になります。若頭補佐よりは収入は増える傾向にあるようです。

若頭補佐

若頭補佐は名前の通り、若頭の補佐をする役職です。組長や若頭が不在の時に組織の統括を行いますが、基本的に数名のヤクザが任命されます。彼らの中で頭角を現した者が次期若頭になれる為、このポストの設置は出世意欲の向上にも役立っているのです。

若頭補佐は肥大化していた組織を統率する為、山口組3代目組長が創設したもの。組織によっては理事長補佐と呼ぶ場合もあります。組織によっては若頭補佐がNo.3の場合もあれば、後述する本部長がNo.3の場合もあり、序列は一致しません。

若頭補佐は会社なら専務、家族構成なら次男以下が該当します。こちらも親子盃を交わしていないと就任する事は出来ません。年収は1千万から数千万程が相場ですが、若頭よりは当然少なくなります。

若中・若衆

若中や若衆は、組長と親子盃を交わした子分の総称です。若頭や本部長も子分に含まれますが、一般的には役のない構成員を指します。見習いでも60代でも70代でも役職がなければ若中や若衆と呼ばれるのです。

頭角を現さないと一生この階級で終わりますが、親子盃を交わした以上は組長になる権限もあります。まずは若中・若衆のトップである若頭を目指しましょう。会社なら彼らは平社員、家族構成的には末っ子というところでしょうか。

部屋住みのヤクザは僅かなお金を貰える場合があります。ただ多くの組織は給料は出ず、自分でシノギ（仕事）を探す必要があります。年収は100万以下の者も多くアルバイトなどの兼業や、生活保護を受けている者もいるのです。

ちなみに彼らの刺青は様々ですが、組長に忠誠を誓う為、組長の名前を彫る者もいます。刑務所で風呂に入ると組長の名前を見せつける事にもなりまし、「もうカタギには戻らない」という決意の現れでもあるのです。

組長の弟分

組長と兄弟盃を交わした者は組長と弟分もしくは兄貴分になります。彼らは組長の直属の子分ではなく、組の継承権はありません。彼らは組織の運営には直接的に関与せず、組織を様々な形でサポートしていきます。

舎弟頭

兄弟盃を交わした者は舎弟と呼ばれ、その舎弟をまとめるのが舎弟頭という役職です。代貸（だいがし）とも呼ばれ、組長の兄弟の中で最も親しい仲であり、若頭や本部長と並び、組織の三役と呼ばれます。

舎弟は組織の執行には関与しないものの、舎弟頭だけは特別です。組長が子分だった頃に同僚だったというケースもあり、苦楽を共にした仲間でもあります。主に組織の管理に回る事が多いですが、組織を大きくするのではなく、組織を守る意味合いが大きいです。

舎弟頭は会社に例えるなら副社長や専務、家族構成なら組長の弟になります。若衆達から見れば舎弟頭は叔父さんですね。年収は組織の規模によりますが5千万〜数億円と幅があるものの、これは舎弟頭自身が別の組織の組長を担っているケースがあるからです。

舎弟や舎弟頭も様々な刺青を彫っていますが、あくまで兄弟。組長の名前を掘る事はあまりないようです。

舎弟

舎弟は舎弟頭以外の兄弟盃を交わした者達です。彼らも舎弟頭同様に組織の管理をしますが、舎弟より立場は弱くなり、組織の執行に関与はしません。ただ組織をまとめる上ではなくてはならない存在です。舎弟と一口で言えども、立場は大きく異なります。

また「五分の兄弟」は組長と上下関係なしの対等な関係で、舎弟ではありません。「五厘下りの兄弟」は4分5厘と5分5厘の関係で上下関係は僅か、「四分六の兄弟」は兄分が6分で弟分が4分、七三の兄弟、二分八の兄弟と関係性は続きます。

二分八分の兄弟まで立場が離れると舎弟は子分に近く、兄分の事を「オヤジさん」と呼ぶ事もあるのです。年収は五千万〜1億となりますが、舎弟頭同様に他の組織で組長となっているケースも多いです。

相談役・顧問

相談役や顧問は組織の方向性や運営の相談をされる役職です。あくまで助言な為、組織運営に直接関与する事はありません。ただヤクザとしての経験が長い人物が選ばれ、その意見は無視できないものになります。

舎弟から選ばれる事もあるものの、隠居に近い人が担う事も多いです。序列に組み込まれてはいませんが、特別相談役となれば組長と同等、もしくは同等以上になると言われます。ただそれは名誉的な意味合いであり、組織運営の点で一番偉いのは組長です。

相談役や顧問の年収は隠居の有無により異なる為、定まってはいません。ただ相談役と他の組織の組長を兼ねるケースもあり、その場合は年収は数千万〜1億になるでしょう。

組長代行・代行

組長代行は組長が死亡する裁判や服役するなどして、ポストが空いている時に組長の代行を行う役職です。代行になった時点で立場や権限は組長と同等になり、若頭よりも上の立場になります。ちなみに若頭代行を立てるケースもあります。

「代行を立てずに若頭が組長に就任すれば良い」と思うかもしれませんが、正式に組長が決まるまでには様々な調整が必要な事も多いのです。その為、代行＝若頭という事はなく、舎弟頭や本部長などが担うケースもあります。

代行を会社で例えるのは難しいですが、家族構成で例えるなら父親が亡くなった時に、長男が家督を相続するまでの間、別の兄弟や叔父が家の決定権を行使するようなものでしょう。

組長付き・付き

組長付きは組長に専属で付く役職です。組長のボディーガードや身の回りの世話をする事がメインで、若衆から選ばれます。腕っ節の良い人なら重用され、大きい組織なら常に数人の組長付きがいます。ここで組長に見込まれれば後の階級も上がるでしょう。

ヤクザの抗争に巻き込まれたり、身代わりで刑務所に入る事もある等、身体を使う激務です。かつての組長付きは応戦目的でピストルを所持する事が多かったものの、近年では銃刀法違反で検挙される為、組長付きも武器を持つ事出来ません。

会社で例えた場合、組長付きは社長秘書、家族構成なら末っ子より少し上の子供といったところでしょうか。年収は末端の若衆よりは少し高く、組長から見込まれれば小遣いも貰えるかもしれません。

刺青も人により異なるものの、組長に忠誠を誓う為、組長の名前を彫るケースもあるようです。いずれにせよ組長付きは若衆が若頭になる登竜門と言えますね。

準構成員

準構成員は「その組に属していないが、その組織の威力を背景に暴力的不法行為を行う者、もしくは集団」を指します。彼らは組織の犯罪行為に手を染めたり、武器や資金を供給する等して、組織の維持を後方から援助するのです。

準構成員は組織と対等なケースや、下に位置するケースなど様々です。チンピラや半グレと呼ばれる集団の中には、ヤクザの準構成員であるケースも少なくありません。若者が多いものの、近年では60代の半グレも増えています。

準構成員は会社で例えた場合は取引先、家族構成的には家をよく訪れる知人です。年収は立場により異なります。薬物や振り込め詐欺などの違法行為で荒稼ぎする者もいますが、違法行為には変わりありません。

刺青についてはヤクザは服で隠れる部分に彫っていますが、これは「ここぞという時」に相手を脅す為です。半グレは腕や首等の目立つ場所に刺青を彫り、威嚇やファッションとして刺青を利用します。刺青からヤクザと準構成員の違いも推測できるのです。

ヤクザが階級・役職を上げる方法

これまで紹介してきたとおり、ヤクザ組織は階級や役職が明確に決められています。ただ、もちろん役職の低い若衆達が階級を上げるのも可能です。

次の2つが、ヤクザ組織で階級・役職を上げる主な方法です。

• 上納金を納める
• 抗争で功績を残す

それぞれ解説していきますね。

上納金を納める

ヤクザが階級を上げる為には、多額の上納金を組長に納める事が重要です。ヤクザは組織から給料は出ないので、自分でシノギ（仕事）を探します。6代目山口組の会費（上納金）は月85万円と高額で、会費の捻出に苦労する若衆も多いです。

違法薬物や振り込め詐欺等の違法行為、合法スレスレの金融業、更にはタピオカ屋の経営等、ヤクザのシノギは多岐にわたります。多額の上納金を納められれば組長に気に入られますし、金回りの良い幹部の下に人は集まるのです。

ヤクザは上納金を納める為、様々な分野に関与しています。私達が何気なく使用したお金も反社会勢力に流れているかもしれません。

抗争で功績を残す

ヤクザといえば組同士の抗争を思い浮かべる人も多いでしょう。一昔前は抗争は日常茶飯事で、腕っ節の強い若衆は敵対する組長を殺傷する等して頭角を現していきました。刑務所から出所した後で幹部として厚遇するケースもあったようです。

ただ現在では殺人で無期懲役の刑が下る事も多く、場合によっては組長も使用者責任に問われます。法整備の締め付けもあり、近年では抗争は減少傾向となっており、腕っ節だけで階級を上げる事は少なくなっています。

やはり上納金を納める事が一番大切なようですね。

ヤクザの階級に関するまとめ

今回は、ヤクザの階級や役職を組織図も交えて紹介しました。ヤクザといえども階級により立場や年収は大きく異なり、その序列が「一つの家」を作り上げています。

若頭や舎弟頭など、ニュースや映画で耳にする言葉も多いでしょう。階級の違いを知る事でヤクザの世界の理解も深まり、抗争やお家争いの全貌も見えてくるのではないでしょうか。今回の記事が皆さんの理解や興味に繋がれば幸いです。