鉄の処女とはどんな拷問道具?使い方や名前の由来をわかりやすく解説

鉄の処女が使用されたという使用記録・伝説

ヨーロッパの華やかな文化の裏にある歴史だ
出典:Wikipedia

鉄の処女を使用したという記録は少ないものの存在します。そこで、文献に残る鉄の処女の使用記録や伝説を紹介します。

1515年に罪人処刑のために使用

19世紀に書かれた記録に16世紀の処刑の様子が書かれている

1886年に書かれた「ドイツの遺産」というものに記録されているものといいます。内容は1515年に偽金つくりをした罪人の処刑に使用されたというものです。

「鋭い先端が少しずつ刺していった。まず腕・足…膀胱・局部の根本。それでもそう簡単には殺さない。この間苦痛を訴え続け、二日後に死んだ」

棘のある場所を変えられたのではないかと推測される記述です。後世の記述であるために信ぴょう性も疑われていますが、死亡するのに2日を要したというところに恐ろしさが増す処刑方法です。

エリザベート・バートリーが使用

エリザベート・バートリーの画、横でメイドが血を浴槽に入れている
出典:やまとなでしこめざします

最も有名な伝説は、16世紀後半から17世紀前半に生きたエリザベート・バートリーの伝説です。ハンガリーの貴族だったバートリーは若い女性の血を体に塗れば若さと美貌を保てると考え、鉄の処女を使用して血を集めていました。その他にも、

  • 鉄でできた裸の人形であり、女性の髪の毛が植えられ、顔には化粧も施されていた
  • ボタン操作で人形の腕が持ち上がりそばにいるものを抱え込む
  • 抱えられたものは中の空洞に入れ込まれる
  • 空洞には無数の針があり、被害者は全身を刺されて血を絞り取られて息絶える
  • 犠牲者の血は人形の下から溝を通じてバートリーの浴槽に流れ込む

といわれています。そしてバートリーが使用していた鉄の処女は人間の肌の色に塗られており、目や口も機械仕掛けで動くようになっていて微笑むことまで出来たそうです。ただしこのような仕掛けを16世紀に作るのは難しく、後世の創作ではないかといわれています。ただし全てが嘘だったと否定できるものでもありません。

1784年の記録

フレデリック・バルバロッサ(フリードリヒ1世)は12世紀に在位していた皇帝だ
出典:Wikipedia

1784年のニュルンベルクの観光案内の見どころと街路図に、鉄の処女の解説があります。内容は、

「鉄の処女は戦慄するほど忌まわしい道具だが、フレデリックバルバロッサがいた昔のもの」

と書かれています。バルバロッサは神聖ローマ帝国の皇帝なので、その頃には「大昔に使用されていた道具」と認識されていたことがわかっています。

鉄の処女に似た拷問具

鉄のマリア

伝承によるとかなりマリア像に似せた作りになっていたという

中世のスペインで使用されていたという拷問具で、ひだの多い絹の服を着せられた処女マリアの木像だったそうです。頭の上には光輪があり、右手には旗を持っていたといいます。トレド宗教裁判の拷問具として使用されたという伝説があります。

この像は全面に大量に設置された針やナイフ、そして機械仕掛けの腕があったそうです。操作で像の前に座っている人を抱えるように動かし、人を串刺しにするものでした。これをフランスの将軍が発見し、ナップサックを像に抱かせてみたところ串刺しになったという話です。これは古代ギリシャの「アペガの像」を原点とした器具だったのではないかと考えられています。

鉄の鳥籠

鉄の鳥籠
出典:Cherish

写真の鳥籠は大きいですが、拷問器具の鉄の鳥籠はもう少し小さく、足を縮めて入っていました。中には無数の刃や棘がついていたそうです。鉄の処女を使用していたバートリーですが、すぐに血で錆びたり汚れたりしていたために考案したといわれています。

この棘や刃が入った鳥かごに若い女性を入れ、下から火鉢棒でつついていたそうです。すると女性は暴れるので棘や刃が刺さり血が吹き出ます。その噴き出た血の下で、バートリーがシャワーのように浴びていたといいます。

アペガの像

スパルタ王ナビスが作ったといわれている
出典:Wikipedia

アガペの像は、紀元前2世紀に古代ギリシャで使用されていた拷問器具です。「鉄の処女」は、このアガぺの像をイメージして作られたともいわれています。スパルタの王ナビスが、妻のアペガの似せて作ったからこの名がついたそうです。

両腕の内側には青銅の釘が沢山ついており、ばね仕掛けで開閉する仕組みでした。王は自分に従わないものをこの像の前に立たせ、その時に両腕にはさまれて串刺しになる仕組みだったといいます。ただしこの器具も実在した証拠が乏しく、当時の技術的にも作るのが難しいために存在が疑問視されています。

鉄の処女を扱った作品

西洋拷問刑罰史

1931年に英国で出版された「拷問部屋の快楽」を訳した本です。恐ろしい拷問やサドマゾ思想に興味がある人に特におすすめできます。おぞましいものを見たくない人には向きませんが、中世ヨーロッパの裏の顔を見れる貴重な本です。

エリザベート・バートリ―血の伯爵夫人

少女の生き血にこだわったエリザベート・バートリーを描いた本です。とても読みやすく、あまり本を読むのが得意でない人でも読みやすいといえます。「鉄の処女」を使用したという伝説を持つ伯爵夫人の人生を読んでみると、より「鉄の処女」を深く知ることができます。

ちょっとかわいいアイアンメイデン (1) (カドカワコミックス・エースエクストラ)

拷問を題材にした4コマ漫画です。沢山の拷問器具の名前が並ぶものの、激しい描写もないのでとても読みやすい漫画といえます。拷問器具の解説はなかなか面白いので、興味がある人には是非おすすめの作品です。

鉄の処女に関するまとめ

いかがでしたでしょうか?この記事では「鉄の処女」について解説しましたが、筆者の感想として人はどこまでも残酷になれるものなのだなと感じています。実際に使用されたにせよ、想像上のものにせよこのような残酷なものを生み出す人間の負の部分を見てしまった印象です。今後このような残酷な刑が去れないことを祈るばかりです。

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