ヤクザ組織はどうして存続できている?
取り締まりが厳しくなったヤクザですが、現在も多数のヤクザ組織が全国にあるのが現状です。ではどうして、ヤクザ組織が存続できるのか解説していきます。
「必要悪」という認識があるから
ヤクザと呼ばれる組織は、わざと残している「必要悪」とよく言われているようです。理由は「外国マフィアの抑制のため」や「暴力団を解散させるとより治安が悪化する可能性がある」からです。
もし暴力団が無くなれば、次は例えばロシアやチャイニーズマフィアなどの外国勢力が日本に進出することとなります。その抑止力となっているというのです。
また、暴力団を仮に解放させたとしたら、元々表社会に適応できていない人たちがあぶれることによって、逆に治安が悪化することを懸念もあるからだそう。暴力団は闇社会とはいえ一定の秩序があり、法権力の監視が効く大きな組織を残しておいた方が、犯罪をまだ抑制できるという事情があるといわれています。
ヤクザが必要な仕事もあるから
日本社会において、ヤクザの力を必要としている仕事も存在します。例えば借金の取り立てやトラブル処理などです。また、現在も多くの業界でヤクザがバックについており、身辺のトラブルを解消してもらう持ちつ持たれつの関係になっているといいます。
「必要悪」は言い過ぎかもしれませんが、昔から一定の需要があり、日本社会は「暴力団が存在する余地がある社会」といえるのかもしれません。
暴排条例により捕まるヤクザが増えた?
21世紀には「暴力団排除条例(通称:暴排条例)」と呼ばれる条例が出来たことにより、さらにヤクザの逮捕が増えたといわれています。そこで暴排条例とはどういったものなのか?その条例によってどういったことが起こっているのかを紹介します。
暴排条例とは?
暴排条例は地方公共団体の条例であり、各都道府県が暴排条例を制定しています。内容は主に、
- ヤクザに金を貸してはいけない
- 賃貸マンションやアパートを貸してはいけない
- スマホなどの携帯電話を契約してはならない
などです。条例を守らなければ、すぐに逮捕されてしまうこととなります。また県によっては、暴力団と一般企業の繋がりを持つことを禁止するような内容が盛り込まれており、違反すれば企業も処罰対象となるのです。
組長も使用者責任を問われるように
平成16年と平成20年に暴対法が改定され、犯罪を犯した組員の「使用者責任」を組長に求めることが容易となりました。使用者責任とは、「ある事業のために雇われた者が執行中に第三者に損害を与えた場合、その賠償を使用者が負う」という責任をいいます。
そして近年「責任は実行犯を上回る」として、組長こそ首謀者として実行役の末端を上回る極刑が言い渡される事例も出ているのです。
実際にヤクザの組長や幹部が逮捕された事例
実際に組長や幹部が逮捕された事例を3件紹介します。
工藤会組長逮捕:2014年
2014年に福岡県警が、北九州の暴力団工藤会の「野村悟総裁」を逮捕しています。野村総裁の逮捕容疑は、1998年に北九州市で発生した「元脇之浦漁業協同組合長射殺事件」の殺人関与の容疑でした。この他の傷害・脱税の容疑もかけられています。2021年に死刑判決が下っていますが、2022年現在も裁判が続けられている状態です。
堺組組長逮捕:2004年
2004年に歌舞伎町で山口組系太田興業の組員が射殺され、実行した堺組組員が拳銃で自殺した事件が発生しています。その件で、自殺した現場近くで日本刀を所持していた堺俊二(陳俊二)組長が、銃刀法違反により逮捕されました。
松野会会長・幹部逮捕:2021年
2021年6月に宮城県気仙沼市の男性を青森に拉致監禁した疑いで、特定抗争指定暴力団・六代目山口組系三代目弘道会傘下「八代目松野会」の幹部を6名逮捕しています。そして、青森県にある組事務所を組織的関与があるとして家宅捜索しました。約半年後の2021年10月に、松野会会長・中居栄明が組織的犯罪処罰法違反で逮捕されています。
ヤクザがなぜ捕まらないかに関するまとめ
今回はヤクザがなぜ捕まらないのかを解説していきましたが、ヤクザは社会に根付く歴史があるのだなと感じています。必要悪という言葉が当てはまるのかはわかりませんが、組織がある裏には色々な事情があるのだなと感じた次第です。最後までお読みいただきありがとうございました。