「ヤクザは反社会組織なのにどうして捕まらないのだろう?」
「暴力団事務所ってあるけど逮捕しないのかな?」
このように思ったことがある人も多いのではないでしょうか?日本には昔から裏社会を取り仕切る「ヤクザ」の存在があります。ヤクザはテレビでもよくヤクザ間の抗争などを目にしますが、実行犯は逮捕されても組全体が逮捕ということはないようです。
なぜヤクザは堂々と事務所を構えて活動できるのか?この記事ではヤクザがどうして捕まらないのかの理由を、「暴対法」や「暴排条例」の内容も交えて解説していきます。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
ヤクザや暴力団はなぜ捕まらないのか?
「ヤクザはなぜ捕まらないのか」ですが簡単に言うと、日本の憲法には「宗教結社の自由」という組織を作る権利が認められているために、暴力団組織を作っただけでは逮捕できないからです。普段捕まらない仕組みをもう少し詳しく解説します。
憲法で「結束の自由」が決められているから
ヤクザは日本国憲法・第21条にある「宗教結社の自由」に従い、組織を作っただけでは逮捕されません。「宗教結社の自由」の条例は、
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」
とされており、集会の自由や結社の自由は「表現の自由」を守るために保証するとされています。例え反社会的組織でも、「結社の自由」が保証されているため、ヤクザと分かっていても逮捕することはできないのです。
法律違反すれば即逮捕される
ただし昔と違い近年は、1991年に交付された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(通称:暴対法)」や法律改定によって、ヤクザの行動に規制がかかるようになりました。禁止されている具体的な行為は以下の通りです。
- 口止め料を要求する行為
- 寄付金や賛助金等を要求する行為
- 下請参入等を要求する行為
- 縄張り内の営業者に対して「みかじめ料」を要求する行為
- 縄張り内の営業者に対して用心棒代等を要求する行為
- 利息制限法に違反する高利金の債権を取り立てる行為
- 貸付及び手形の割引を不当に要求する行為
- 信用取引を不当に要求する行為
- 株式の買取等を不当に要求する行為
- 預貯金の受入れを不当に要求する行為
- 地上げをする行為
- 土地・家屋の明け渡し料等を不当に要求する行為
- 宅建業者に対して不動産取引に関する不当な要求をする行為
- 集会施設の利用を不当に要求する行為
- 交通事故等の示談に介入し、金品等を要求する行為
- 商品の欠陥等を口実に損害賠償等を請求する行為
- 役所に対して自己に有利な行政処分を要求する行為
- 役所に対して他人に不利な行政処分を要求する行為
- 国等に対して自己を公共工事等の入札に参加させることを要求する行為
- 国等に対して他人を公共工事等の入札に参加させないことを要求する行為
- 人に対して公共事業等を入札に参加しないこと又は一定の価格で入札することを強要する行為
- 国等に対して自己を公共工事等の契約の相手方とすること又は他人を相手方としないことを要求する行為
- 国等に対して公共工事等の契約の相手方に対して指導等を要求する行為
この法令は、ヤクザが従来稼いでいた仕事内容にほとんど該当し、該当すると逮捕されるようになりました。ヤクザに所属したからといってすぐに逮捕されることはありませんが、少しでも法に引っかかる行為があれば、即逮捕されるようになっています。
実際この法令が制定後は、暴力団員数が減少傾向にあり、暴力団事務所の撤退も進んでいっています。なおヤクザの仕事(しのぎ)に関しては以下の記事に詳しく書いてあるのでご参照ください。
ヤクザ・暴力団の仕事内容とは?何してるの?1日のスケジュールも紹介