好む場所
カナヘビとトカゲは「好む場所」にも違いがあります。
カナヘビは草地の中でも藪が生い茂るような日陰を好む傾向があるのです。そのため、ペットとして飼うときには必ず隠れ場所になる石や枝を置いてあげてください。
ただし、カナヘビは変温動物で外の気温に合わせて体温が変化します。そのため、活動力を得るために日光浴も必要です。適度な日光を浴びるために日向にいる場合もありますので注意してください。
一方で、トカゲは草地の中でも石垣など日向ぼっこに最適な場所を好む傾向があります。ただし、カナヘビと同様にトカゲも変温動物です。カナヘビとは逆に日に当たり過ぎた体を日陰で休めることもあります。
つまり、「日陰を好むのがカナヘビ」「日向を好むのがトカゲ」です。カナヘビやトカゲを見つけたときには、少し離れた場所から観察し、どのような場所を好んでいるのか確かめてみましょう。
性格
カナヘビとトカゲは「性格」にも違いが見られます。
カナヘビは警戒心が強く臆病な性格です。人の気配に気づくとすぐさま草地や藪に隠れてしまいます。
ペットとして飼うときも初めのうちは姿を見せてくれないかもしれません。その場合は、カナヘビが環境の変化に慣れるまで焦らずのんびりと構えていてください。
一方で、トカゲは穏やかな性格の個体もいれば、攻撃的な性格の個体もいるなど種類によってさまざまです。ペットとして飼う場合は、どのような性格の個体なのかよく調べてからにしてください。
まとめると、「カナヘビは警戒心が強く臆病な性格」「トカゲは穏やかな個体から凶暴な個体まで様々な性格を持つ」生き物です。そのため、むやみに刺激を与えないように、野生の姿を観察するときもペットとして飼う場合も一定の距離を保ちましょう。
飼いやすさ
カナヘビとトカゲには、ペットとしての「飼いやすさ」にも違いがあります。
カナヘビは人に懐きやすいため、比較的飼いやすい個体なのです。自分の置かれた環境に慣れてくると、ピンセットから直接エサを食べてくれることもあります。
カナヘビは警戒心が強くとも決して攻撃的な生き物ではありません。ゲージに手を入れたときにエサと間違えて噛まれることはあっても、むやみやたらと噛みついてくることはないので安心してください。
一方で、トカゲの飼いやすさは種類によって異なります。穏やかで賢い性格のトカゲはカナヘビと同じく飼いやすいです。しかし、攻撃的な性格のトカゲを飼いたい場合はある程度の飼育知識が必要になります。
つまり、「比較的飼いやすいのがカナヘビ」「飼いやすさが種類によって異なるのがトカゲ」です。ちなみに、トカゲは種類によって共食いをする可能性があります。そのため、カナヘビとトカゲは一緒に飼わない方がいいでしょう。
カナヘビとトカゲの共通点
冒頭で述べたように、カナヘビはトカゲの仲間です。そのため、双方に違いはあるものの次のような共通点もあります。
- 世界中に生息
- 尻尾の切断が可能
- 昆虫が大好き
違う点だけでなく、共通点も学ぶことでカナヘビとトカゲについての理解がより深まることでしょう。ここでは、カナヘビとトカゲの共通点をそれぞれ詳しく解説します。
世界中に生息
カナヘビとトカゲは、日本だけでなく世界中に生息している生き物です。カナヘビでいえば、イタリアやスペインに生息する「ホウセキカナヘビ」や北半球の中でも北部に生息する「コモチカナヘビ」などが挙げられます。
トカゲでは、サハラ砂漠より南の地域に位置するサブサハラアフリカに生息する「レインボーアガマ」や中国やベトナムに生息する「シナワニトカゲ」が有名です。
もちろん、日本にも数多くのカナヘビやトカゲが生息しています。ただし、野生のカナヘビの中には絶滅危惧種に指定されている種類もいますので、勝手に捕まえないよう気をつけましょう。
尻尾の切断が可能
カナヘビとトカゲは「尻尾を切断が可能」な生き物です。彼らは外敵に襲われると判断したときに、自らの尻尾を切り逃げるという特性を持っています。ことわざの「トカゲの尻尾切り」は上記のような独特の逃げ方が由来です。
切れた尻尾は数ヶ月後に再生し、元のような尻尾が生えてきます。しかし、一度切った尻尾はほとんどの場合再び切ることができません。
カナヘビやトカゲにとって「尻尾切り」はたった一つの切り札なのです。野生のカナヘビやトカゲを捕まえるときは「尻尾切り」をさせないよう注意してください。
昆虫が大好き
カナヘビとトカゲは、どちらも昆虫が大好きです。特にコオロギやワラジムシ、幼虫のミルワームを好んで食べます。野生の場合は蜘蛛やミミズ、バッタなどもエサの対象です。
カナヘビやトカゲが食事をする姿は昆虫が苦手な人にとって非常に刺激的な場面です。ペットとして飼うときには、エサに昆虫が必要なことを把握しておきましょう。
ヤモリとの違い
最後に同じ爬虫類であるヤモリとの違いを紹介します。
ヤモリはカナヘビやトカゲと同じく有鱗目の爬虫類でトカゲの仲間です。目が大きくガラスでもよじ登れる四肢が特徴的な生き物になります。
同じ爬虫類でトカゲの仲間となると、ヤモリとの違いも気になりますよね。ここでは、カナヘビとトカゲ、ヤモリとの違いをまとめました。
ヤモリ | カナヘビ | トカゲ | |
---|---|---|---|
生息場所 | 人間の近く | 薮などの日陰 | 石垣などの日向 |
生態 | 夜行性 | 昼行性 | 昼行性 |
体長 | 約14cm | 約27cm | 約27cm |
繁殖方法 | 卵生 | 胎生の個体もいる | 卵胎生*の個体もいる |
上記の表を見てみると、同じトカゲの仲間でもカナヘビとトカゲ、ヤモリは異なる点が多いことが分かります。
まず、大きく違うのは体長です。カナヘビやトカゲは成長すると20cm以上になりますが、ヤモリは15cm未満にしかなりません。活動する時間帯も、カナヘビやトカゲが昼行性なのに対してヤモリは夜行性です。
生息場所に関しても、カナヘビやトカゲが陸上の幅広い地域で生活しているのに対してヤモリは住居など人間の近くで生活しています。古くから人間のそばにいるため、カナヘビやトカゲよりもヤモリの方が人間にとって身近な生き物かもしれません。
また、繁殖方法にも違いがあります。基本的にカナヘビやトカゲ、ヤモリは爬虫類なので卵を産む卵性です。しかし、カナヘビやトカゲの中には卵胎生や胎生で子どもを産む種類もいます。同じ爬虫類でも、カナヘビとトカゲ、ヤモリはこんなにも生態が違うのです。
卵胎生とは、体内で卵を産み孵化させ、ある程度育った状態の子供を出産することです。トカゲなどの爬虫類だけでなく、貝類や魚類にも卵胎生の生態を持つ個体が存在します。
カナヘビとトカゲの違いに関するまとめ
今回は、カナヘビとトカゲの違いを解説しました。一度見ただけでは同じに見えるカナヘビとトカゲですが、実際は多くの違いを持つ生き物だと分かります。そして、性格や飼いやすさによって注意する点も多いです。
身近な生き物だからこそ、生態を理解し適切な距離感で共生していきたいですね。この記事を読んで、カナヘビとトカゲの違いや見分け方だけでなく正しい接し方を学ぶことができれば幸いです。
コメント失礼いたします。
記者の方もトカゲやカナヘビがお好きなのでしょうか。
とても詳しく書かれていて、興味深く拝読させていただきました。
そういえば小学生のころ、カナヘビを買っていた子が結構いたことを思い出しました。
私も一生懸命トカゲやカナヘビを捕まえようとしていた子供でした。
たしかにトカゲとカナヘビって結構かわいいですよね。
執筆お疲れさまでした。
砂川さんへ
いつもご覧いただき、ありがとうございます!コメントまでいただけて嬉しいです。
そうですね、著者の私自身は動物全般に興味関心があります。昆虫類だけはどうしても苦手ですが…。
おっしゃる通り、カナヘビやトカゲって間近で見ると結構可愛い生き物です。だからこそ、昨今はペットとしても人気があります。身近な生き物だからこそ、見た目とともに生態も理解して仲良く共存していきたいものですね!
読んでいただき、ありがとうございます。コメントを励みに次回も興味深い記事をお届けできるよう頑張りますので、よろしければご覧ください!