AB型にまつわる3つの逸話
ここからは、AB型にまつわる逸話を3つ紹介します。
- 血液型の発見時にAB型はなかった?
- AB型は献血で大人気?
- 「黄金の血」と呼ばれるAB型の希少種がある?
資料をもとにそれぞれの逸話の真偽を検証します。
①血液型の発見時にAB型はなかった?
現在のABO式血液型が発見されたとき、AB型がなかったのは事実になります。原因は、標本として採取した22人の血液です。
ABO式血液型は1900年にオーストリアの病理学者カール・ラントシュタイナーによって発見されました。ラントシュタイナーは身体的に健康である22人の血液を調べ血液型を発見したのですが、その22人の中にAB型の人間がいなかったのです。
そのため、AB型が血液型として認識されたのはABO式血液型の発見から2年後の1902年でした。ちなみに、O型は発見当初には「C型」と呼ばれていましたが、のちにO型と名づけられています。
②AB型は献血で大人気?
世界的にも少ないAB型は、献血で人気があるように思われがちです。しかし、実際に献血で人気なのは、世界で最も多い血液型であるO型になります。理由はそれぞれの血液に関する特徴にありました。
AB型には異物を攻撃する抗体がないため、どの血液からも輸血が可能です。逆にO型には抗体を引き起こす抗原が存在せず、すべての血液型に輸血することができます。しかし、O型にはO型の血液しか輸血できません。
だからこそ、献血や輸血ではO型が必要となります。ただし、最近ではO型の輸血でも身体に異常を及ぼすことがあると判明し、以前よりも献血の血液型割合は均等になっています。
しかしながら、誰からも輸血を受けることができるAB型であっても貴重な「稀血(まれけつ)」を持つ人がいます。稀血という言葉は人気少年漫画『鬼滅の刃』に登場してから、若年層にも広がりました。そして、AB型の稀血として有名なのは「Rhマイナス型」です。
日本ではAB型Rhマイナスは0.5%(2000人に1人)しか存在しません。AB型の少ない欧米では15%存在するにも関わらずです。必要な際には献血をお願いする電話をかけるほど貴重な血液であり、いざというときのために冷凍保管もされています。
③「黄金の血」と呼ばれるAB型の希少種がある?
血液型は何百種類もの抗原でも分類しますが、近年の研究で「黄金の血」と呼ばれる非常に珍しい血液型が発見されました。
発見された血液は「Rh null」と呼ばれ、抗原を全く持っていません。そのため、誰にでも輸血が可能です。②で説明したような「抗原がないはずのO型でも輸血に異常が出る」という事態が起きずにすむ可能性が高くなります。
黄金の血がAB型の分類かO型の分類かは明確ではありません。しかし、世界人口のうち約50人しかいないことから、かなりの希少種であることは事実です。
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