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アラン・チューリングとはどんな人?エニグマ解読の秘話や名言、性格、年表まとめ

アラン・チューリング(1912年~1954年)は、イギリス出身の二度の世界大戦の中を生きた数学者です。情報革命をもたらしたコンピューターの誕生に貢献し、人工知能の父ともいわれています。

第二次世界大戦は「情報戦」でした。敵の情報をいかに先に手に入れ先手を打てるかで、数百数千人の生死が変わったのです。情報収集の方法は多岐にわたりますが、その中でも重要なのが敵軍の「暗号解読」です。

ドイツ軍が使用する「エニグマ暗号機」は当時、解読不可能と呼ばれるシロモノでどんなに天才といわれた科学者や数学者でさえ解読できませんでした。

アラン・チューリング

そんな中チューリングは「機械に解読させよう」と考えたのです。今でこそ当たり前かのような判断に思えますが、当時は機械より人間の方が優れているという価値観で、有識者でさえも懐疑的でした。しかし、結果的にチューリングはコンピュータを作り出し見事エニグマの解読に成功、多くの人々の命を救うことを成し遂げたのです。

その生涯は41年という短いものでしたが、この偉大な功績は、現在のイギリスで再評価されつつあり、2021年末にはイギリスの紙幣になることも決定しています。

この記事ではアラン・チューリングとは

  • どんな人物だったのか?
  • どんな功績を残したのか?
  • 残した名言は?
  • 死因はなに?

といった内容を紹介しつつ、国家のために暗号を解読し、連合国の勝利に貢献しながらも時代の波に翻弄された男の生涯に迫ります。

アラン・チューリングとはどんな人?

名前アラン・マシスン・チューリング
誕生日1912年6月23日
生地イギリス ロンドン
没日1954年6月7日
没地イギリス ウィムズロウ
配偶者なし
埋葬場所イギリス ウォーキング クリマトリアム

アラン・チューリングの性格は?

イギリス・ブレッチリー・パークにあるチューリングの彫像

チューリングは自分の関心があることに対しては、熱意を持って取り組むがそれ以外は無関心。声は甲高く、話好きで機知に富み、学者ぶったところがあったといわれています。

髪は終始ぼさぼさであり、爪も伸び放題、容姿には無頓着でした。交友関係は少なく、アスペルガー症候群であったともいわれています。

アラン・チューリングの功績は?

イングランド銀行総裁の新紙幣発表

アラン・チューリングはどのような功績を残したのでしょうか。冒頭にもお伝えしましたが、イギリスでは現在再評価されており、紙幣の顔になることが決定しています。何が再評価されているのかと言えば、アラン・チューリングは今話題の「人工知能の父」であり生活に欠かせない「コンピューターの父」でもあるためです。

何より第二次世界大戦の最中、最も重要な功績を挙げたことも一因としてあります。それはドイツが使用する暗号機械、エニグマの解読です。エニグマについて詳しく書こうとすれば、これだけで本が一冊できてしまいますので詳しくは後ほど本をご紹介します。

解読不可能とまで言われていたエニグマを、独創的な方法で解読に導いた方法はそのエニグマを使って解読させることでした。暗号は鍵がわかれば解読可能ですが、その鍵を探るために一つ一つチェックしていては一生かかっても終わりません。つまり、人の頭脳では不可能だったのです。

機械には機械で対応する、それがコンピューター発明のきっかけになったのです。チューリングの発想は実に現代的でした。

アラン・チューリングの男女関係は?

同性愛者だったチューリング

ここでなぜ女性関係としなかったかと言えば、アラン・チューリングは同性愛者だったからです。今ではLGBTと一括りにされていますが、現代においても差別を無くそうという運動が展開されているくらいなので、アラン・チューリングが生きた時代は現代よりも差別が大きかったと想像は容易にできます。

アラン・チューリングが愛した人物は、少年時代に出会ったクリストファー・マルコムという少年です。この少年は出会いから数年後に死んでしまいますが、この出会いによって生涯この少年の面影のある人を追い続けます。

しかし、実際にはチューリングは女性とも付き合っていたことがあるのです。この女性は暗号解読のための施設ブレッチリー・パークで一緒に働いていた、ジョーン・エリザベス・ラウザー・マレーという女性で、趣味・性格もアラン・チューリングに似ておりだからこそ付き合うことができたのでしょう。

アラン・チューリングの死因は?

上記の同性愛者だったことが主因となりますが、時代の犠牲になって死ななければならなかったことを考えると、ものすごく悲しい気分になります。当時同性愛は犯罪でした。少年時代に愛したクリストファーに似た人物と一夜をともにします。

この後にチューリングの家は空き巣に入られ、犯人が逮捕されて犯人を調べていくと一夜をともにした青年が手引きをしていたことがしれてしまうのです。

チューリングは精神科医への受診・ホルモン治療を強要され、身体が女性化していきました。

諸説あるが、自殺が濃厚

その最期は国家功労者なのに、あまりにもひどいものです。うつ状態であり常に監視される生活を送っていたアラン・チューリング。逮捕され、精神科医への受診・ホルモン治療を強要されて2年で精神にはもはや生きる気力もなかったのかもしれません。

白雪姫と同じように、毒リンゴを食べて死んでしまうのです。青酸カリによる自殺、他殺説もありますが筆者は自殺だと考えています。

アラン・チューリングの名言は?

ヒトの代わりに考える機械をつくることはできない。

紙と鉛筆と消しゴムが与えられ、厳密な規律に従う人間は、事実上の万能チューリングマシンである。

機械は考えることができるだろうか?

アラン・チューリングにまつわる都市伝説・武勇伝

都市伝説・武勇伝1「Apple社のロゴはアラン・チューリングが自殺した時のリンゴをモチーフにしている?」

誰もが知っている有名な企業であるアップル、そのロゴを見てみるとリンゴを一口かじったものとなっています。しかし初めはニュートンがリンゴの木に寄りかかっているところが描かれた絵がロゴとなっていました。

アップルのロゴの由来は・・・?

では現在のロゴになったのは、いつなのか?それはスティーブ・ジョブズがアップルに復帰してからです。誰もが見て分かるシンプルなものをと考えたジョブズは、リンゴがかじられたようなデザインをロゴにしました。これは、かじるという英語の「a bite」とコンピューターの情報単位である「byte」をかけたものです。

しかし、都市伝説としてアラン・チューリングが自殺した際に使用したリンゴをモチーフにしたと囁かれています。

都市伝説・武勇伝2「チューリングテストで合格者が現れた」

チャットボット「ユージン・グーツマン」

チューリングテストとは、チューリングが提案した「ある機械が人間がAIかどうかを見極める」テストです。

AIを相手にキーボードとディスプレイのみで会話を行い、質問も自由に行ってよいので、AIにそれなりの思考能力がなければ「人間らしく回答」できません。

30%以上の審査員がAIを「人間」と間違えると、そのAIの人間らしさは合格と考えられているのですが、ついに33%の審査員が人間だと判断してしまったAIが2014年に現れました。

それは、ロシアが作成したチャットボット「ユージン・グーツマン」です。現在は2019年、合格者が出てから5年が経過しています。今もどこかで人間に近いAIが誰かの返信を行なっているかもしれまん。ネット上で知り合った友達が、実はAIだったなんてこともなくはありませんね。

アラン・チューリングの略歴年表

1912年
イギリスで生まれる

アラン・チューリングは、父ジュリアス・チューリングと母エセル・チューリングの間に次男として生まれる。

1926年
シャーボーン学校へ入学

古典を重視する校風の学校へ入学するも、科学と数学に才能を発揮していた。習っていない初等微分積分の難しい問題も解いていた。

1930年
初恋の相手の死

チューリングはクリストファー・マルコムに友情以上の感情を抱いて接していたが、そのクリストファーが死んでしまう。

1931年
キングスカレッジにて学ぶ

数学に才能を示したチューリングは、卒業後に特別研究員(フェロー)としてキングス・カレッジに残る。

1936年
重要な論文を発表する

「計算可能数、ならびにそのヒルベルトの決定問題への応用」と題された論文の中で、チューリングテストについても書かれておりここからコンピューターの概念が生まれた。

1938年
暗号解読

第二次世界大戦が起こり、ドイツのエニグマを解読できなければ犠牲が増えてしまう。暗号解読のためにイギリス・ブレッチレー・パークへ招集される。そして解読に成功する。

1945年
プログラム内臓式コンピューター

論文としてプログラム内臓式のコンピューターのデザインを発表する。

1954年
自宅にて自殺

同性愛者であることが発覚し、ホルモン治療を強制されていたがリンゴに青酸カリを含ませて自殺した。享年41歳。

アラン・チューリングの具体年表

1912年 – 0歳「イギリスにて生まれる」

幼少期のアラン

イギリスへ両親が帰国して誕生

チューリングの命が宿ったとき、両親はインドにいました。子どもをイギリスで産みたいと考えた両親はイギリスに帰国しアランを出産します。その後父のジュリアスはインドへ帰国し、母のエセルも1年くらいしてから友人のウィード夫妻へ兄のジョンとアランを預けてインドへ戻ってしまうのです。

当時の風習として子どもを他人へ預けてしまうことを、さほど気にしないという考えられないようなものがありました。日本だとまずあり得ません。なぜこのような方法が取られたのかと言えば、学費の捻出が目的です。今も学費に頭を抱えている親は多いでしょう。

幼少期から数学の才能を示し始める

得意なことは幼少期から発揮されるものですが、チューリングも数字に強くパズルも得意という将来を想像させる発達をみせます。しかし小学校の成績は良くなかったようです。雌伏の期間だったのかもしれません。

両親がインドにいて、寂しい想いをしていたチューリングは非社交的な夢見がちな少年へと成長していきます。典型的にアスペルガー症候群の症状が現れており、周りからは風変りだと思われていました。

1930年 – 18歳「性の目覚め」

クリストファー・マルコム

初恋とその死

一歳年上のクリストファー・マルコムに出会い、チューリングの人生が変わり始めます。シャーボーン学校一の秀才であり、チューリングはクリストファーを一目見た時から心惹かれていくのです。毎週水曜午後に図書館で勉強することを突き止めると、チューリングも図書館に通い一緒に勉強するようになります。

しかしそんな幸せな時間も長くは続きませんでした。クリストファーと一緒に居たくて受験したトリニティ・コレッジに奨学金無しの状況になってしまいます。クリストファーは余裕がある上流階級であり、受験結果は奨学金を得ての入学だったのです。

1年の別れが決定したところに、更に永遠の別れが待っていました。結核を患い、クリストファーは死んでしまいます。友であり初恋相手を失ったチューリングは、心にクリストファーが望んでいたであろう生き方をしようと決めるのです。純愛ですね。

ケンブリッジ大学キングス・コレッジに入学

クリストファーを想いながら勉強や生活態度を改めて、今までのチューリングとは違うアラン・チューリングが生まれます。クリストファーの両親が寄付金で作ったマルコム化学賞を論文を出して受賞しました。第一志望はトリニティ・カレッジでしたが、こちらは落ちてしまいます。

しかしキングス・カレッジには奨学金付きで合格したので、キングス・カレッジにチューリングは入学することになりました。ここから、天才アラン・チューリングは目覚ましい成長を遂げていくことになるのです。

1937年 – 25歳「現代への礎を築く」

チューリングマシンの論理を使ったコンピューター「PILOT ACE」

計算可能数、ならびにそのヒルベルトの決定問題への応用

この論文はチューリングが現代にまで影響を与える論文で、コンピューターの青写真を掲示するものです。なぜこの論文が書かれたのか?それは決定不可能な問題が存在すると発表され、多くの数学者が失望していましたがチューリングは真っ向から挑戦したのがこの論文でした。

結果的に言えば、決定不可能な問題を確かめるすべを論文の中で出したチューリングマシンをもってしても突き止められないと突き止めることになりました。その代わりに、現代へ通じるAIやコンピューターの礎を作ったことになります。

チューリングマシンとは?

上記の論文に登場したチューリングマシンとは、一体どのようなものなのでしょうか?機械へ回答可能な計算をさせるために、チューリングは機械の内部的な仕組みを論文の中で説明しています。自動で演奏するピアノのように、穴のあいた紙テープを2種類使って計算式を入力すれば答えを引き出せるといったものです。

これは現代にそのまま繋がっているもので、プログラムされた動作を瞬時に行うコンピューターや論理的なことを考えるAIの可能性を与えたのです。

1939年 – 27歳「戦争の足音」

解読機械bombe

ドイツエニグマ暗号機械を解読

ドイツ・イタリア・日本の3国は第二次世界大戦を始めます。戦線は日本がアジアでしたが、ドイツ・イタリアはヨーロッパ戦線でありイギリスも否応なく戦争に引きずり込まれていきました。厄介だったのは、当時解読不可能とされていたエニグマ暗号機械です。

このエニグマは、キーボード・スクランブラー・ランプボードで構成されており組み合わせによっては無限に暗号を作れるという、暗号解読者に取っては厄介な機械でした。アラン・チューリングはブレッチレー・パークに招聘されて、このエニグマに挑みます。

解読機械bombe

実際に使用された機械の名前はbombeといいます。仕組みとしては、エニグマのスクランブラーと呼ばれる部分を12個使われて連結させて稼働させるものです。この解読作業にとって何よりも必要とされるのが、クリブと呼ばれる暗号鍵が必要でした。

鍵がなければ暗号解読はできませんが、bombeを使って解読しながら進めることが可能だったのでクリブが解れば暗号は容易に読むことができるようになったのです。

1952年 – 38歳「人生の暗転」

サックビル・パークのチューリング像に添えられている銘板

同性愛者だと知られてしまう

戦後も数学的な研究を進めて、有意義な生活を送っていたアラン・チューリングでしたが初恋の相手を求め続けていました。ジョーン・クラークと婚約をしますが、同性愛者であると知るところとなり婚約は解消されます。

そうしてついに同性愛者=犯罪者として逮捕されるのです。初恋の相手クリストファーの面影を追って一夜を共にした青年が、チューリングを同性愛者だと話してしまいます。アラン・チューリングはこの瞬間から犯罪者とされ名誉も失墜してしまうのです。

留置場かホルモン治療かの選択を迫られて、ホルモン治療を選択します。身体は徐々に女性化し、重いうつ状態となっていきました。

永久の眠りに

二年のホルモン治療の末、アラン・チューリングは青酸カリを浸したリンゴを食べて自殺します。なぜリンゴだったのか、それは初恋の相手と観た映画が強く心に残っていたからでしょう。クリストファーと観た白雪姫、毒リンゴを食べて永遠の眠りにつこう。

こうしてアラン・チューリングは永遠の眠りについたのです。現代だったら、まだまだ差別は無くなりませんが逮捕はあり得ません。時代が悪かったとしか言えないのです。1人の天才数学者は、近代に名誉を回復されるまで評価されることがなかったのは偏見のためでしょう。

偏見という色眼鏡がいかに愚かなことか、一度立ち止まって考えて見るべきです。

アラン・チューリングの関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

アラン・チューリングを知るためのおすすめ本6選【伝記から漫画まで】

暗号解読 上

一言で言うのであれば、難しい本です。暗号解読について、古代から現代にかけてどのような経緯を経て暗号は進化してきたのかが書かれています。その中でエニグマを解読した、アラン・チューリングについても記載がありますので暗号を通じてアラン・チューリングを知りたい人におすすめです。

天才の栄光と挫折

ニュートンなど知られた人物から、知られざる人物まで数学者について書かれた本です。この中にアラン・チューリングが登場しており、現地取材を通じて綿密な構成となっています。

チューリング「情報時代のパイオニア」

再評価が高まるアラン・チューリングについて、研究の第一人者がアラン・チューリングを細かく解説している一冊です。筆者もまだ読んでいませんが、今後読みたいと考えています。

おすすめの動画

ドイツエニグマ暗号機VSアラン・チューリング

https://youtube.com/watch?v=z2tDd7w3Gu4

ドイツのエニグマ暗号機がどのようなものか、それに対してアラン・チューリングはどう対応していったのかを詳しく解説しています。情報量としては多く、おすすめです。

おすすめの映画

イミテーション・ゲーム

イミテーション・ゲームは、アランチューリングが第二次世界対戦中に、エニグマの暗号を解読していくストーリーを中心に、彼の私生活や短い生涯を写した映画です。

ベネディクト・カンバーバッチが、アラン・チューリングを演じておりアラン・チューリングの苦悩を見事に演じています。

特にチューリングの私的な部分に焦点を当てており、ジョーン・クラークと婚約までするも同性愛者であることを話して婚約が自然解消していく場面が印象的です。文句なしにおすすめできます。

関連外部リンク

アラン・チューリングについてのまとめ

彼がいなければ、情報化社会への進展は遅れ、戦争も長引いていたでしょう。それほどエニグマを解読した功績は偉大であり、称えられるものです。

人は尖っていてこそ面白い、というのが筆者の持論ですがなんの特徴もない人は面白くありません。個性があってこそ、自分を確立させることができます。今悩んでいる人も、逃げずに立ち向かいましょう。アラン・チューリングは困難を可能にしたのですから。

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