ケストナーの具体年表
1899年 – 0歳「ドイツ帝国で生まれる」
ドレスデンで生を受ける
ケストナーは、父エミール・ケストナーと母イーダの間に生まれました。本当の父親はユダヤ人の医者エミール・ツィンマーマンだと言われていますが、ケストナーの口から真相は語られていません。
父親は工業労働者で収入が少なかったため、母親は理容師の資格を取り自宅で理容室を開業します。両親は仲が悪く、また兄弟もいなかったため、ケストナーは二人の間で板挟みにされていました。
1906年 – 7歳「教師を志す」
下宿人の教師に憧れを抱く
ケストナーの家庭は貧しかったため、下宿人を置くようになります。下宿人の大半は教師でした。ケストナーは下宿人の先生に憧れを抱き、自身も教師を志すようになります。
1912年 – 13歳「教員養成所の予備クラスに合格」
教師の在り方に疑問を抱く
教員養成所の予備クラスにトップの成績で合格したケストナーは、在学中もトップの成績をおさめ続けます。しかし、彼は規律の厳しい学校の制度を嫌っていました。
ある日、母が病気になり、見舞いをするためにケストナーは全寮制の学校を抜け出します。校則を破ったことでケストナーは処罰を受けました。このことから、教師の在り方に疑問を抱くようになります。
1917年 – 18歳「徴兵される」
第一次世界大戦の兵士として召集を受ける
戦争が始まったことでケストナーの学校は教員不足に陥ります。そこでケストナーは実習生として教壇に立つのですが、自分が教師に向いていないということを自覚します。
やがてケストナーにも召集令状が来ます。軍隊に入隊したケストナーは訓練で心臓を痛め、除隊されます。その後ドイツは敗戦しました。
1919年 – 20歳「大学に進学する」
勉強の楽しさを知る
ケストナーは教員養成所からギムナジウムに転校します。ギムナジウムの自由な校風を気に入ったケストナーは、以前よりも勉学に励みました。更に勉強をしたいと思ったケストナーは大学に進学することを決めます。
大学で学業の傍ら詩を作る
ライプツィヒ大学へ進学したケストナーは、ドイツ文学・哲学・演劇史などを専攻します。この頃から本格的に詩を書き始め、「ライプツィヒ学生詩集」に3作品を掲載しました。
1928年 – 29歳「初めての詩集を出版する」
第一詩集の出版
大学卒業後も詩を中心に文学作品を発表し続けたケストナーは、ベルリンで詩人として認められます。初めての詩集『腰の上の心臓』を出版し、15,000部を超えるベストセラーになりました。
1929年 – 30歳「初めての児童文学を出版する」
『エーミールと探偵たち』がベストセラーに
ケストナーは、出版社の人に子供向けの本を書くことを勧められ『エーミールと探偵たち』を書き上げます。初めての児童文学は子供たちからの人気を集め、更に大人たちからも絶賛されました。
1933年 – 34歳「ドイツ各地で焚書」
焚書の現場を見に行く
ナチスが政権を握ると「非ドイツ的な」思想は弾圧され、多くの本が燃やされることになりました。子供たちに配慮して児童文学は焚書の対象外になりましたが、ケストナーが発表した児童文学以外の書物は全て焚書の対象でした。
焚書はドイツの各地で行われ、ケストナーの本はベルリンのオペラ広場で燃やされました。ケストナーは焚書の現場に立ち合い、自身の本が燃やされる瞬間を見ていました。亡命を勧められたケストナーですが、時代の目撃者としてドイツに留まることを選択します。
1945年 – 46歳「空襲を受ける」
ドレスデンの空襲、ドイツの敗北
第二次世界大戦の最中、ケストナーの故郷であるドレスデンが空襲で破壊されます。ベルリンにソ連軍が迫り、ケストナー危機的な状況に陥っていました。友人の助けでベルリンを脱出したケストナーはマイヤーホーフェンに行くことに成功します。そして5月、ドイツの敗北で戦争は終結しました。
1949年 – 50歳「子供のための本を書く」
児童文学が世界的なベストセラーに
敗戦と共にナチス政権は失脚し、ケストナーは執筆活動を再開します。1949年に発表した子供向けの作品『動物会議』『ふたりのロッテ』はたちまち人気を集め、世界的なベストセラーになります。その後もケストナーは詩や児童文学の発表を続けました。
1974年 – 75歳「ケストナー75歳で逝去」
食道癌で息を引き取る
1974年7月29日、食堂癌のためミュンヘンの病院に入院していたケストナーは、ルイーゼロッテに看取られながら息を引き取ります。享年75歳でした。ケストナーの遺体はボーゲンハウゼン墓地に埋葬されました。
ケストナーの関連作品
おすすめ書籍・本・漫画
飛ぶ教室
寄宿学校で毎日を過ごす5人の少年たちが、勇気と知恵で様々な問題を解決していく物語です。主人公である5人の少年たちと、少年たちに知恵を授ける大人たちのやり取りが素敵です。
エーミールと探偵たち
ベルリンの街を舞台に、主人公エーミールを始めとする子供たちが泥棒を捕まえる物語です。子供が愚かな大人をこらしめるという痛快なストーリー展開で、読みやすい児童文学です。大人にもおすすめです。
人生処方詩集
児童文学で有名なケストナーの、大人に向けた作品です。ケストナーならではのユーモアたっぷりの詩が詰まっています。人生でつまずいてしまったときに開きたくなる一冊です。
おすすめ映画
映画「エーミールと探偵たち」予告編RE2
こちらの予告動画はドイツ語ですが、ベルリンの街並みや原作の雰囲気を楽しめます。映画の内容は、原作の通りにエーミールと街の少年たちが泥棒を追い詰めていく様子が面白く描かれています。
ケストナーについてのまとめ
エーリッヒ・ケストナーの生涯と作品について紹介をさせてもらいました。
ケストナーの児童文学作品は、子供だけでなく大人も楽しめる内容になっています。ドイツ文学は暗い内容の作品が多いですが、ケストナーの描く物語にはユーモアがたっぷり詰まっていて読んでいて楽しいです。
この記事をきっかけに、ケストナーの作品を読んでもらえたら幸いです。