キング牧師のスピーチを聞いたことはありますか?キング牧師は、1960年代アメリカで「黒人の差別を無くそう」と立ち上がった公民権運動のリーダーです。公民権運動は、根強い黒人差別が残るアメリカ南部から始まり、次第に全米に広がっていきます。
キング牧師は、黒人の地位向上、差別撤廃を訴える集会や行進をおこないました。酷い差別を受け続けてきた黒人たちの怒りは凄まじいものでありましたが、キング牧師は徹底的に非暴力を貫きました。そして、キング牧師をリーダーとする公民権運動は、1963年のワシントン大行進でピークを迎えます。
キング牧師はその活躍の中で、心に突き刺さる素晴らしい演説を数多く残しました。ワシントン大行進の際におこなわれたスピーチ「I have a dream(私には夢がある)」は、後に20世紀アメリカにおける最高の演説と評価されています。
ここでは、この有名な「I have a dream」の演説をはじめ、キング牧師がおこなったいくつかのスピーチの中から心に残るキング牧師の名言をご紹介します。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
キング牧師の名言10選
私には息子たちが兄弟として同じテーブルにつくという夢がある。
私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。
出典元:americancenterjapan.com
I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.
全米各地で公民権運動をおこなったキング牧師の最も有名な演説、「I Have a Dream(私には夢がある)」からの一節です。アメリカ南部ジョージア州では、かつて白人の領主が黒人奴隷を使いプランテーションを運営していました。
黒人差別が残り、奴隷制度の象徴でもあるジョージア州でいつの日か、奴隷の子孫である黒人達と奴隷所有者の子孫であるで白人達が、対等な立場で同じテーブルで食事を楽しむ、そんな日が来ることを切望するキング牧師の気持ちが良く表れています。
私には肌の色ではなく人格によって評価されるという夢がある
私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。
I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by the color of their skin but by the content of their character.
出典元:americancenterjapan.com
公民権法が成立する以前のアメリカでは、バス、トイレ、水飲み場など公共施設では、白人と黒人は分けられていました。バスボイコット運動から始まったキング牧師の公民権運動は、このワシントン大行進でピークを迎えます。この演説の翌年、公民権法が成立しました。
やっと自由になれました
我々が自由の鐘を鳴らせば、すべての村々から、すべての集落から、すべての州から、すべての街からも鐘が鳴り響き、神の子となったすべての人々、黒人も白人もユダヤ人も異邦人もプロテスタントもカトリックも、すべての人々がお互いの手を取り合って、あの古い黒人霊歌の中の言葉を口ずさむことのできる日が近づくのです。”やっと自由に、自由になれました。全能なる神に感謝します。やっと自由になれました!”
出典元:zip2000.server-shared.com
When we allow freedom to ring, when we let it ring from every village and every hamlet, from every state and every city, we will able to speed up the day when all of God’s Children, black men and white men, Jews and Gentiles, Protestants and Catholics, will be able to join hands and sing in the words of the old Negro Spiritual, ” Free at last ! Free at last ! Thank you god Almighty, we are free at last ! “
公民権運動の盛り上がりが最高潮に達した1963年、連邦政府に対して公民権制定を訴えかけること、そして、アメリカ内外に対して公民権運動の盛り上がりをアピールする目的でワシントン大行進がおこなわれました。
ワシントン記念塔広場に集結した20万人の前でおこなわれた「I Have a Dream(私には夢がある)」の演説の最後の一文です。
私は約束の地を見た
私は神の意志を実現したいだけです。私は約束の地を見たのです。
出典元:yadakotour.work
I just want to do God’s will.And I’ve seen the Promised Land.
キング牧師、暗殺前日の演説での一節です。当時メンフィスでは、黒人のごみ処理労働者達が労働条件の劣悪さを訴え、労働条件向上のため1300人の労働者がストライキを行っていました。
このストライキで毎日市庁舎までの道を行進していましたが、裁判所がストライキに対して禁止令を出します。そこで、キング牧師を呼び、助けを求めました。
私たちは約束の地にたどり着く
私はあなたたちと一緒にそこへいけないかもしれません。しかし私は今日あなたたちに知ってほしい。私たちはひとつの民として、その約束の地にたどり着くであろうことを。
出典元:ameblo.jp
I may not get there with you.But I want you to know tonight, that we, as a people, will get to the promised land!
こちらも同じく、キング牧師の最後の演説となるメンフィスでのスピーチの一節です。メイソンテンプルで黒人たちの大集会がおこなわれた際におこなわれたキング牧師の最後のスピーチです。
この” Mountaintop(山の頂)”スピーチは、まるで翌日に何が起きるかキング牧師自ら予言していたかのような内容になっています。