「世界三大美女」の一人に数えられることでも有名な、クレオパトラ。プトレマイオス朝エジプトの女王として君臨し、最終的に国を終わらせるきっかけとなったその生き様は、今も語り継がれています。
「絶世の美女」として知られるクレオパトラですが、近年では本当は美人ではなかった、とする向きが強いようですね。
彼女が遺した名言は少ないですが、本当は美人だったのかそうでもなかったのか、によって名言の意味も変わってくるようです。
そこで今回は、クレオパトラの名言を背景を踏まえた考察と共にご紹介しましょう。
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クレオパトラの名言と意図、背景
クレオパトラの名言は、それほど多く残されてはいないようです。残されたわずかな名言の意図と背景を知ることで、クレオパトラがどのような女性だったのか読み解いてみましょう。
クレオパトラの名言1
国を支配しているのは男。その男たちを支配しているのは私。
エジプト王国発展のため、カエサルとアントニウスふたりの男性を魅了したという逸話の残るクレオパトラらしい名言です。国の権力者である男性をも魅了し、あまつさえ管理下に置くこともできるという自信のあらわれでもあるでしょう。
一方で、「国を支配しているのは男」の一言には、古代エジプト王国にも男尊女卑の風習があったことがうかがえます。男性が実権を握る社会で、女性として地位を勝ち得たクレオパトラの偉大さ、聡明さや力強さが感じられます。
クレオパトラの名言2
悲しさは世界共通。笑いは文化によって異なる。
クレオパトラは9カ国語を操り、外交もおこなっていた才女であったことが複数の文献で語られています。異国を知り、様々な文化を見聞きしたであろうクレオパトラならではの名言です。現代にも通じる見解は、古代エジプトの頃から人間の本質は変わっていないと教えてくれるようです。
「悲しさは世界共通」の言葉には、愛したカエサルを失った悲しみが込められているのではないでしょうか。クレオパトラの生きた時代は、王族は親族同士で結婚するというしきたりがあったため、彼女は自分の弟ふたりと結婚しています。本当に好きだったカエサルとは愛人としての関係しか持てず、カエサルが暗殺されたことでより悲しみが深まったのかもしれません。
クレオパトラの名言3
お金では幸せは買えない。だが、お金は、あなたが不幸である間、何不自由ない生活をさせてくれる。
クレオパトラがカエサルやアントニウスを自分のものにするために、豊富な財産を惜しみなく使ったという逸話も数多く残されています。アントニウスに財力を見せつけるために大粒の真珠を目の前で溶かしてみせ、その液体を飲んだという話はあまりにも有名。確かに、クレオパトラは豊富な財産のおかげで不自由な生活をしたことはなかったでしょう。
一方で、「お金では幸せは買えない」の一文も、王族として生きたクレオパトラならではの言葉といえます。弟と婚姻関係を結ぶ必要があったため、カエサルやアントニウスとは愛人関係に留まっていたといいます。どんなに財産があっても一国の女王であっても、本当の幸せは得られていないと感じていたのかもしれません。この名言は、愛はお金に勝るということを教えてくれているのではないでしょうか。
クレオパトラの名言4
クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、大地の全表面が変わっていただろう
クレオパトラ自身の発言ではありませんが、彼女に関連する名言として最も有名な言葉です。フランスの哲学者パスカルの言葉で、クレオパトラが国はおろか歴史そのものを大きく変える影響力を持っていたことを表現した一文といえるでしょう。
一般的には「クレオパトラがもっと醜かったら男性を誘惑できず、エジプトの運命は違っていただろう」とされていますが、近年ではクレオパトラが美人ではなかったことも指摘されています。コインに残されたクレオパトラの肖像画がひどく大きな鷲鼻だったことを指して、「もっと愛らしい鼻だったらオクタウィアヌスをも誘惑して、エジプトを存続させることができただろう」とも解釈できるようです。