このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、カートコバーンを題材として取り上げた映画は多く、様々な切り口から彼の人生が語られています。オススメは、「モンタージュ・オブ・ヘック」と「About a son」。どちらも彼の人生を取り上げたドキュメンタリー映画です。
この記事では、バンド歴10年、カートコバーン関連の資料を収集することを趣味にしている筆者が、カートコバーンの映画を全部で8つ厳選してご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
絶対に見るべき!カートコバーンのオススメ映画2選
まず、ここではカートコバーンを語る上で絶対に外せない作品を2つご紹介します。
モンタージュ・オブ・ヘック(オススメ度:★★★★★)
基本情報
監督 | ブレット・モーゲン |
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製作年 | 2015年 |
製作国 | イギリス |
出演 | カートコバーン クリス・ノヴォセリック コートニー・ラブ ドナルド・コバーン ウェンディ・オコナーほか |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの人生をザックリと知りたい人
- カートコバーンの親族や親しい人の証言を聞きたい人
観賞してみて
「モンタージュ・オブ・ヘック」は、カートコバーン好きなら必見の映画です。
なぜなら、この映画にはバンドメンバーや父母、そして妻など、最もカートに近かった人々の生の声がぎっしりと収録されているからです。それらの証言を聞くと、カートコバーンが驚くほどに色々な「顔」を持っていたことがわかります。
たとえば、NIRVANAのバンドメンバーであったクリス・ノヴォセリックは、若かりしカートの思い出を回想しながら、「バンドメンバー、そして友人としてのカート」の姿を私たちに伝えてくれます。
一方、カートの父母は「息子としてのカート」を、妻であるコートニー・ラブは「最愛のパートナーとしてのカート」を語るというように、それぞれの人物が十人十色の語り口でカートの姿を描き出します。
もちろんカート自身のインタビューや映像もふんだんに盛り込まれているので、「まだカートコバーンを知ったばかり」という方でも十分に楽しめる作品に仕上がっていますよ。もちろん、コアなファンの方でも新しい発見があること間違いありません。
さらに、カートの人生における重要なエピソードに関しては、アニメーションなどを用いてわかりやすく補完している点も魅力のひとつ。「カートコバーンの人生をざっくり知りたい」という方にもオススメです。
みんなのレビュー
About a son(オススメ度:★★★★☆)
基本情報
監督 | AJ・シュナック |
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製作年 | 2006年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | カートコバーン (語り) |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの人間性に触れたい人
- カートコバーンのコアなファンの人
観賞してみて
一言で言えば、「カート好きなら心にグッとくる」映画です。およそ1時間半もの間、カートコバーンがインタビュアーの質問に答える形でひたすら自分の考えを話し続けます。
インタビューの冒頭で、カートが「この先、ここまでオープンに私生活を語ることなんてないと思うよ」と述べていますが、実際ここで語られるのは、決して飾ることのない等身大のカートです。
カートコバーンは、「ドラッグに依存し、27歳で自殺した」という経歴から、ロックスターのテンプレートのように語られることが多いですが、実際はちょっぴり寂しがり屋の普通のバンド青年でした。もちろんその音楽的才能には目を見張るものがあるのは事実ですが、メディアがカートを飯の種にするために過剰に騒ぎ立てていた印象は否めません。実際、カート自身もロックを商業利用するメディアをとても嫌っていました。
「About a son」は、メディアによって作り上げられた偶像としてのカートではなく、そんな「ひとりの人間」としてのカートを描き出した良作です。
特に、最後の「今から20年後のロックを考えると悲しい。ファッションのスタイルに過ぎず、人付き合いの道具と化している」という一節は、現代のロックの在り方を暗示しているようで、心に迫るものがあります。カートのファンのみならず、音楽好きであれば必見の映画と言えるでしょう。
ただ、音声のみのインタビューという性質上、カート自身の映像は出てきません。そのため、「カートの姿を見たい」という人は注意が必要です。
みんなのレビュー
こんな見方もある!カートコバーンの死に関する映画2選
Kurt&Courtney(オススメ度:★★★☆☆)
基本情報
監督 | ニック・ブルームフィールド |
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製作年 | 1998年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | カートコバーン コートニーラブほか |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの他殺説について知りたい人
- コートニー・ラブについても知りたい人
観賞してみて
カートコバーンが好きな人であれば、「妻のコートニーが彼を殺したのではないか」という他殺説を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「シド・アンド・ナンシー」を彷彿とさせるタイトルからは想像もつきませんが、本作は、そんな「カートコバーン他殺説」を主軸として構成されたドキュメンタリー映画です。具体的には、コートニー・ラブを含む関係者への取材から、カートコバーンが他殺された可能性について検討する内容に仕上がっています。
この映画を鑑賞し終えた後、確かにコートニーへの見方は変わりますし、カートコバーンが他殺された可能性も無きにしもあらずかな、という感想を抱くようになる人が多いと思います。
ただ、ここで考えて欲しいのは「果たしてこれは本当に映画として世に出すべきものだったのか」という点です。メディアのおもちゃになったり、自分の作品が商業利用されたりすることを徹底的に嫌っていたカートが、このような形で自分の死を題材にした映画を許すとは到底思えません。
あらゆる角度から真実に迫ることはもちろん大切ですが、それなら「映画」という形を取らなくてもよかったのではないか、というのが率直な感想です。
ただ、カートコバーンの元恋人を含む貴重なインタビューが収録されているのも事実なので、カートコバーンを好きな人であれば「これはこれでアリ」という内容と言えるでしょう。
みんなのレビュー
ソークト・イン・ブリーチ(オススメ度:★★★☆☆)
基本情報
監督 | ベンジャミン・スタットラー |
---|---|
製作年 | 2015年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | トムグラントほか |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの他殺説について深く知りたい人
観賞してみて
私立探偵であるトム・グラントが、コートニーラブから依頼を受けた際のテープなどを根拠として、カートコバーン他殺説を突き詰めていったドキュメンタリー映画。
遺書の解析をした言語学者やカートの死の第一発見者、毒物学者などの意見を聞き、様々な側面から彼の死を追う内容になっています。
ただ、この作品についても、前述の「カート&コートニー」と同様、彼の死から20年以上経ってから映画化する必要はあるのか?というのが正直な感想。かなりバイアスのかかった内容ですし、商業目的で映画化したのではないかという疑念を抱かざるを得ません。
また、カートコバーンの「歌詞に意味はない」という発言から「歌詞の暗い内容は彼の内面世界の表れではなかった」と解釈するのはあまりに安直ではないかと思います。
たとえば、カートコバーンについて最も詳しく書かれている伝記のひとつ、『カートコバーン/Heaven』を読めば、彼の鬱屈とした少年時代が、カートの性格や音楽性に如実に反映されていたことがよくわかります。もちろん、カート自身も幼少期のトラウマや彼自身の経験について幾度となく語っています。
カートコバーンやコートニーラブについて多角的に捉えたいという方なら鑑賞する価値はあるかもしれませんが、個人的にはカート自身の意志にそぐわない映画なのではないかと思います。
みんなのレビュー
カートコバーンがモデルになった映画1選
世界的なロックミュージシャンであるカートコバーンですが、ここでは彼をモデルにした映画をご紹介していきます。
Last Days(オススメ度:★★★★☆)
基本情報
監督 | ガス・ヴァン・サント |
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製作年 | 2005年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | マイケル・ピット ルーカス・ハースほか |
こんな人にオススメ!
- 客観的な視点からカートコバーンの死について考えたい人
- ある程度カートコバーンの死に関する基礎知識がある人
観賞してみて
「LAST DAYS」という名の通り、カートコバーンの過ごした最期の2日間をモデルとして描いた作品です。
主人公の「ブレイク」はカートと同様、大成功を収めたロックミュージシャン。物語は、彼が薬物のリハビリ施設から抜け出すところからはじまります(蛇足ですが、この「リハビリ施設からの脱走」というのも、カートコバーンが死の直前に実際行なっていたことです)。
本作の特徴は、あくまで淡々と、そして流れるように無機的な日常が語られていること。大仰な演出はなく、彼の表情もあまり映されることはありません。
「映画としての面白さ」があるかと聞かれると微妙なところですが、カートコバーンが確かに感じていたであろう「空虚さ」が巧みに描き出されているのは間違いありません。主演のマイケル・ピットが驚くほど役を作り込んでおり、カートコバーンの気だるい雰囲気を見事に再現している点も好印象。
ただ、詳細な説明があまりないラフスケッチのような作品であるため、背景知識が一切ない状態でこれを観ると少し戸惑うかもしれません。そのため、「カートのことをある程度知っている」という人にオススメの作品です。
みんなのレビュー
他にもある!カートコバーン関連の映画3選
カートコバーンがメインとして取り扱われているわけではないものの、彼に関連する映画はまだまだあります。そこで、ここでは彼の関連映画についていくつか簡単にご紹介していきます。
Nirvana Live at the Paramount
こんな人にオススメ!
- カートのライブパフォーマンスを観たい人
観賞してみて
カートコバーンがギターボーカルをつとめていた「ニルヴァーナ」のライブ映像です。“Polly”や“Territorial Pissings”など、珠玉の名曲のライブムービーが全15曲収録されています。
これまで紹介してきた映画には生前のカートの映像はあまり含まれていませんが、ここでは生き生きとパフォーマンスするカートの姿を存分に楽しむことができますよ。
Hype!
こんな人にオススメ!
- ニルヴァーナが活躍した当時の音楽事情を詳しく知りたい人
観賞してみて
ニルヴァーナを含む、当時「グランジ」と呼ばれたバンドたちのムーブメントを題材にしたドキュメンタリーです。
カートと不仲だったパール・ジャムのほか、かけがえのない師匠であり友人でもあったメルヴィンズなど、様々なグランジ関係者のインタビューを聞くことができますよ。
また、ニルヴァーナ最大のヒットソングである「スメルズ・ライク・ティーンズ・スピリット」の貴重な初ステージも収録。カートコバーンのファンのみならず、音楽ファンは必見です。
hit so hard
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの妻であったコートニーラブの音楽活動についても知りたい人
- カートとコートニーの未発表曲が聴きたい人
観賞してみて
この作品は、コートニーラブのバンド、「ホール」の元メンバーであるパティ・シュメルの半生を追ったドキュメンタリー。
彼女の人生自体も非常にドラマチックで興味深いのですが、カート好きにオススメしたいポイントは「カートとコートニーが共作した未発表曲が収録されている」という点です。アコースティックギターと歌のみのシンプルな構成ですが、単純なコード進行に乗ったふたりの歌声を聴くと思わず泣いてしまいそうになりますよ。
また、ふたりと仲の良かったパティが撮りためたホームビデオには、若かりし頃のカートとコートニーの姿も映し出されています。
カートコバーンの映画に関するまとめ
いかがだったでしょうか。この記事では、カートコバーンに関する映画を全部で8つご紹介してきました。
ここまで述べてきたように、カートコバーンに関する映画には、ドキュメンタリーから彼の死の真相に迫ろうとするまで、様々な種類のものがあります。どれも魅力的な作品ではありますが、個人的に特にオススメしたいのは「About a son」です。
「About a son」に収録されているカートの肉声を聴いていると、「彼はひょっとすると、まだどこかで生きているのでないか」という不思議な感覚にとらわれます。というのは、彼が親しげな口調で自分の本音を吐露しているのを聞いていると、まるで自分とカートが古い友人であったかのような錯覚に陥るからです。
本文中でも触れたように、この作品は「等身大のカート」を描くことに成功した数少ない作品のひとつです。カートコバーンが好きな方は、ぜひ手にとって鑑賞してみてくださいね。