アンディウォーホルの名言10選!発言の意図や背景、英訳や名言集も紹介

1960年代からポップアートの開拓者として世界に名を馳せたアンディウォーホル。彼は生涯で何を考え、何を世界へ発信したかったのでしょうか。著名人の残した言葉は私たちに多大な影響を与えますが、アンディウォーホルもその例外ではありません。

「美しくない人なんて、僕は出会ったことがない」
「考え方は豊かに、見た目は貧しく」

など数々の名言を残して来たウォーホルの思想と生き方を言葉の中から探ってみましょう。

ポップアートやアンディウォーホルの作品に興味がある方もぜひ必見です。アンディウォーホルのマリリンモンローに衝撃を受け、ウォーホルの展覧会には必ず足を運ぶ筆者が数々の名言の中から、現代を生きる私たちにも響く言葉を選んで紹介いたします。

アンディウォーホルの名言と意図、背景

アートに関する名言

「好調なビジネスは何よりも魅力的な芸術だ」

Being good in business is the most fascinating kind of art.

アンディウォーホルはもともと商売絵画を主に描いていたので、ビジネスの方面にも長けているのです。この名言からも伺えるように、ウォーホルは商売好きな芸術家で、アートと同じくらいビジネスにも精通していてその重要性を説いているように思えます。

ウォーホルのアートの真髄は大衆心理の描写でした。ビジネスで成功するためには多くの人に役立つことをしなければなりません、つまり、大衆の気持ちをつかむ必要があるのです。ウォーホルはそこに共通点を見出していたのかもしれません。

「アンディウォーホルの全てを知りたいのであれば、私の絵と映画、僕の表面を見るだけでいい。そこに僕がいる。裏には何もない」

If you want to know all about Andy Warhol, just look at the surface of my paintings and films and me, and there I am. There’s nothing behind it.

ウォーホルはポップアートの巨匠として知られていますが、ポップアートはもともとマルセル・デュシャンの「レディメイド」という考え方を進めた芸術です。

マルセルデュシャン

「レディメイド」とは私たちが日頃利用する機会の多い生活用品に「作ること」と「見ること」のどちらかの観点だけではなく、どちらも両立するような関係を持たせて、生活用品としてではなくアートとして捉えるというものです。

既製品であっても新たな視点から見れば芸術として成り立つという考えです。ウォーホルはここからさらに、独自の個性を表現するような日常ではありえない色彩を加えることで「レディメイド」からは一線を画した画家となったのです。

ウォーホルは日用品の重要さ、大衆に評価されるものの素晴らしさに気づきつつ、それに個性を加えることでポップアートを確立していった芸術家です。彼の作品を見れば彼の思想に近づけるというこの言葉は、ウォーホルの生き様を表しているのではないでしょうか。

「物事を見すぎることで、それを持つ意味が全く見えなくなることを僕は恐れる」

I’m afraid that if you look at a thing long enough, it loses all of its meaning.

ウォーホルは日常に溢れるものをモチーフとして選びました。これが普通だと思っていると何も進歩しなくなるという警鐘を鳴らしていたのかもしれません。物事の本質を見ることの大切さを知らせたかったのでしょう。

ガンジーも同じようなことを言っています。「私にはクリスマスのお祭り騒ぎが以前から受け入れられない。それはキリストの生涯、教えにそぐわないように思える。」キリストは素晴らしい人だが、それを信仰する人も素晴らしいわけではない。

イエスキリスト

当たり前になりすぎることによって本来の意味を失ってしまうのは非常に怖いことです。大衆に広く受け入れられて当たり前になってしまった商品や有名人をウォーホルは作品によって揶揄していたのかもしれません。

「なんでオリジナルじゃないといけないんだい?他の人と同じがなんでいけないんだ?」

But why should I be original? Why can’t I be non-original?

自らの作品で大衆心理の重要性とそれだけではいけないと個性の大切さを訴えたウォーホル。自分自身が消費文化の一つになることで当時の風潮に疑問を投げかけていたのでしょう。全員がオリジナルを持つことは結局みんな同じになってしまうことと一緒ではないか。

キャンベルのスープ缶

もともと作られている既製品やみんなが知る芸能人、それも大衆に受け入れられている誰もが知る商品や有名人、それらの素晴らしさを評価しつつもここからさらに個性を表現できるのだということを自らの作品を通じて伝えたかったのかもしれません。

みんなと同じことも大事、そこから個性を見いだすことも大切というウォーホルの思想が詰まった名言です。

「僕がこのような方法で絵を描いているのは、僕が機械になりたいからである。そして、僕がすること全て機械のようにすることが僕がしたいことなんだ。」

The reason i’m painting this way is that I want to be a machine, and I feel that whatever I do and do machine-like is what I want to do.

ウォーホルは周りから見れば個性が強すぎるため、没個性となることを望んでいたのではないかということがうかがえるこの言葉、彼自身がオリジナルだからこそ言える言葉なのかもしれません。

マクドナルド

「東京で一番美しいものはマクドナルド。ストックホルムで一番美しいものはマクドナルド。フィレンツェで一番美しいものはマクドナルド。北京とモスクワはまだ美しいものがない。」と言ったといいます。類まれな個性を持っていながら、大衆的なものに憧れを持っていた様子も伺えます。

この後の名言に出てくるのですが、人は15分ならば誰でも有名人になれるそんな時代が来るだろうと予言しています。こちらも真意は図りかねますが、映像技術などが進んで、みんなが多くの人に知られるようになる、しかし、それが一般的になるため、結果として個性は生まれないということなのでしょうか。

人間・人生に関する名言

「美しくない人なんて、僕は出会ったことがない」

I’ve never met a person I couldn’t call a beauty.

ウォーホルの作品にはさまざまな有名人が登場します。マリリンモンローからジョンレノン、毛沢東まで、どんな人物もシルクスクリーンによって自らの作品へと変貌させました。ウォーホルにとってはどんな人もモチーフになる可能性があり、そのどれもに美しさを感じていたのでしょう。

次に紹介する名言にもに通じるのですが、ウォーホルは見てくれがみすぼらしくてもいいから、考え方は豊かにするようにと説いています。ウォーホルの考える美しい人とは思考が深い人のことであり、外面は二の次三の次ということでしょう。

ウォーホルのこの発言は、決して綺麗事を並べているわけではありません。

「考え方は豊かに、見た目は貧しく」

Think rich, look poor.

ウォーホル自身カメラに映る際、スーツや黒を基調とした服、白黒のボーダーニットを着ることが多かったそうです。自身の作品とは対照的に自らを色で染め上げるのではなく、シンプルなおしゃれにこだわっていました。

最近ではスティーブ・ジョブズが黒のタートルネックにジーパンしか着ないと言う逸話がありましたが、同じ精神を感じます。

かのアインシュタインも毎日服を変えなかったという逸話がありますが、似たようなことを言っている有名人がたくさんいるので、重要なこと以外はシンプルに生きると言うのが大物の考え方なのかもしれません。

「誰もが15分間なら有名人になれる、そんな未来が来るだろう」

In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.

ウォーホルはこのような世界を今から60年も前に予言していたのです。ちなみにこの言葉には続きがあります。

「ぼくは1960年代にそう予言したけど、それはすでに現実になった。ぼくはもうこの言葉には飽き飽きしているんだ。もう二度と言わない。これからはこう言う。『誰もが15分以内に有名人になれる、そんな時代が来るだろう。』」

現代は情報革命を経て、インターネット上で自己を表現する機会がとても増えています。最近利用者がどんどん増えているYouTubeもその一つでしょう。SNSやブログでも自分の考えや創造したものをいつでも発信でき、大勢の関心を集めることができれば一気に有名になってしまいます。

ウォーホルの予想した以上に進化を続ける世界を見て、頭に浮かんだ言葉なのでしょう。現代は当時以上に目まぐるしく進化しています。いったい10年後、20年後はどうなっているのでしょうか、ウォーホルなら何を予言したでしょうか。

「退屈なことが好きなんだ」

I like boring things.

アンディウォーホルは大衆的なものや人をモチーフとして作品を作っていたことは有名です。キャンベルのスープ缶やマリリンモンローマイケルジャクソンなど誰もが知っている対象を絵画に仕上げました。

「退屈なこと=すでに誰もが知っていて驚きのないもの」と捉えると、上記の作品のモデルは誰もが知っていているほど人気のものなので、再びなぞるだけでは誰も興味を示しません。

しかし、ウォーホルはその退屈な既製品を自分の色に染め上げることによって、退屈ではないものに再び作り変えたのではないでしょうか。退屈なものをもう一度大衆の興味を引き付けるような作品に仕上げることのできる自らの才能に気づいて発した言葉かもしれません。

「人生って、繰り返し見るたびに変化していく映像のようなものだ」

Isn’t life a series of images that change as they repeat themselves?

ウォーホルも初めからシルクスクリーンによる大量生産を主戦場としていたわけではありません。もともとは広告デザイナーとして働いていましたが、度重なるイラストの修正や対人関係の悩みから嫌気がさし、その後に興味を持った大量印刷に似た手法から発展させていったのです。

成功している後年の自分から見れば、若い頃に広告デザイナーとして働いていたことが不思議に映るかもしれません。その感覚は自分が変化したからこそ感じられるものでしょう。人生がその連続だとしたら、振り返ってみるたびに過去の体験とその時の記憶に違った印象を受け続けるのかもしれません。

New Life, Old Life

人は生きているうちに変化しながら成長していくものです。それは体であったり、精神的な面であったり、他人との関係性であったり、いろいろな要素がありますが、どの瞬間も同じ自分なんていないのかもしれません。

アンディウォーホルの名言集や関連書籍

名言集

とらわれない言葉

本のページの右半分にアンディウォーホルの言葉が書いてあり、左半分には絵が描いてあります。アンディウォーホルが生涯に残した言葉も作品も同時に楽しめる一冊となっています。デザインもおしゃれにできているため、アートが好きな方にはぜひ手に取っていただきたいです。

伝記

ぼくの哲学

アンディウォーホルの考え方や生き様が彼自身の言葉で書かれています。どんなに有名で偉い人が飲もうとコカコーラはコカコーラであり、世界で最も美しい場所はマクドナルドだという凡人から見たら突飛に思える言葉も彼の人生を知るとそこまで奇異ではないように感じます。

ウォーホルについて少しでも知りたい方には読んでいただきたい一冊です。

作品集

アンディウォーホル全版画 第4版

1997年発売の第3版から改訂した一冊で、1950年代のシルクスクリーンが始まる前の作品から初期の版画、未出版の版画に至るまで500点の作品が収録されています。限定1500部で販売されているアンディウォーホルの作品集です。

有名美術館のキュレーターであるドナ・ディ・サルヴォのエッセイ「アンディウォーホルの版画づくりの起源」も収録されています。30cm×25cmの大型本なので見ごたえ抜群です。

まとめ

アンディウォーホルの名言は個性にあふれているようにも見えますし、真意を付いているようにも思え、不思議な感覚にさせてくれる言葉が多い印象を受けました。皆さんはいかがでしたでしょうか。ポップアートの時代を彩った芸術家がどのようなことを考えていたのか、それに近づけただけでも感慨深いですよね。

ここにご紹介したのは名言のほんの一部です。興味を持った方は他の名言も調べて見てください。新たな発見があるかもしれません。また、今回の記事でアンディウォーホルについてもっと知りたくなった方は、彼の作品や生涯にも触れて見てください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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