血縁者は1600万人?チンギス・ハンの子孫とその功績を解説

チンギスハンと言えば、モンゴル帝国を創建した人物として皆さんもご存知の通りです。定住をしない遊牧民族をまとめ上げるほどの高い指導力とカリスマ性で、モンゴル帝国を巨大な国家へと導いていきました。

そんなチンギスハンですが、子孫がとても多いという話を聞いたことはありませんか?彼の子供や孫も歴史上で登場してきますが、実は現代にも多くの子孫がいると言われています。

今回は、現代にまで脈々と受け継がれている、チンギスハンの血脈についてまとめてみました。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

チンギスハンの子孫は1,600万人いる?

チンギスハンの肖像

アジアの偉大な父11人の筆頭に選出

2015年の1月、イギリス・レイセスター大学のマークジョブリング教授やフランスのポール・サバティエ大学のパトリシア・バラレスク教授らによる研究論文が、科学紙として世界的に有名な「Nature」に掲載されました。この研究は、アジア人男性のDNAを分析してその祖先を調べたもので、アジア人の4割は「11人の偉大な父」のいずれかの子孫であるというものでした。その11人の中で最初に挙げられたのが、なんとチンギスハンだったのです。

今回の研究では、アジアの127の集団に属する5,000人ものアジア人男性のDNAを実際に採取して分析を行いました。着目したのは父から子へそのまま受け継がれる、男性しか持たない「Y染色体」。このY染色体を分析したところタイプ別に11種類に分類でき、それぞれの分布と歴史を調べ上げていく過程でチンギスハンが浮上しました。

統計的にはチンギスハンの子孫は現代に1,600万人も存在するといいます。論文では、モンゴル民族が移動能力の高い騎馬民族だったことで、遺伝子を広く遠くにまで拡散できたのではないかと推察しています。しかし、チンギスハンの墓の場所は謎となっており、実際のDNAを調査できない以上、論証を断定するのは難しいと結論付けています。

チンギスハン以外の偉大な父とは?

この研究でチンギスハンの次に名前が挙がったのが「ギオチャンガ」。中国明朝後期に存在した建州女直の部族長で、清朝の初代皇帝・ヌルハチの祖父として知られる人物です。ギオチャンガの血統は、中国北部からモンゴルにかけて分布し、約150万人に受け継がれていると推定されています。

契丹帝国・遼朝の建国者である耶律阿保機(やりつあぼき)についても、領土であった中国北部周辺では、今でも子孫が多く暮らしているといいます。しかし、残りの8人については人物を特定するに至りませんでした。

今回の研究ではアジアにフォーカスを当てていますが、別の研究者によって全世界を対象に同様の研究を行った例もあります。アメリカのジョン・ホプキンス大学による研究では、イギリスのウェールズ地方に住んでいた「グウィリム」という人物の子孫が、ヨーロッパだけでなくアジアやアフリカ・アメリカなど全世界に渡って分布しているとしています。グウィリムの子孫は600万人程だと推定されおり、この数字をみてもチンギスハンの子孫がどれだけ多いかがわかります。

チンギスハンの子孫の功績

オゴデイ:モンゴル帝国の基礎を整備

オゴデイの肖像

チンギスハンと第1后妃・ボルテとの間には4人の皇子がおり、それぞれが歴史の舞台で活躍しますが、中でも三男にあたるオゴデイの活躍には目を見張るものがあります。彼は2代目モンゴル帝国皇帝として、父・チンギスハンの行っていた領地拡大政策を継承。金王朝を滅ぼし、首都カラコルムを建設しました。

遊牧民族は特定の拠点に定住する文化を持たなかったため、これがモンゴル帝国初めての都となりました。さらに拠点ができたことにより東西の貿易が盛んになり、その後のさらなる領土拡大に繋がっていきます。

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2 COMMENTS

隠し子続出の?Lasiodiplodia属菌 | 菌を知らば百戦危うからず菌を知らば百戦危うからず

[…]  沖縄では大型蝶オオゴマダラとその幼虫が食草としているホウライカガミからL. hormozganensisが分離されています(Nago and Matsumoto, 1994, Hattori et al., 2023)。たまたまオオゴマダラから分離されたのか、あるいはこの蝶が恒常的に同菌を媒介しているのか、調べてみたいものです。 一方、Lasiodiplodia属の未知種が小笠原諸島父島の淡水から分離されています(Sato et al., 2010, Hattori et al., 2023)。父島では同じ未知種がパッションフルーツ、スイートオレンジ、オオハマオモトだけでなく、ネコノシタといった野草からも分離されており、同島ではこの菌の密度がかなり高いことが推測されます(Hattori et al., 2023)。 つい最近、rDNA ITS領域、tef1(トランスレーション・エロンゲーションファクター1)、tub2(βチューブリン2)、rpb2(RNA ポリメラーゼ II サブユニット B)の各遺伝子を用いた最新の分子系統解析により国内産の主な宿主由来の30菌株が6種(L. brasiliensis, L. hormozganensis, L. pseudotheobromae, L. thailandica, L. theobromae, Lasiodiplodia sp.1)に同定・再同定されました。そのうち、L. brasiliensis, L. pseudotheobromae, L. thailandicaは国内分布初確認の種でした(Hattori et al., 2023, )。内訳は以下の通りです。亜熱帯(与論・沖縄本島・宮古島・石垣島・小笠原母島)産の多様な宿主から分離されたL. hormozganensisが10菌株で最も多く、次いで、小笠原父島、栃木県や八丈島、沖縄本島産の多様な宿主から分離された未知種のLasiodiplodia sp.1の8菌株でした。その後に、宮古島産およびフィリピン産輸入マンゴー、父島産のカカオから分離された狭義のL. theobromaeの5菌株、茨城県産パパイア、母島産バンレイシ、母島・フィリピン産輸入マンゴーから分離されたL. brasiliensisの4菌株、宮古島産マンゴー、父島産セイロンベンケイから分離されたL. thailandicaの2菌株、和歌山産のバラ園芸種由来のL. pseudotheobromae 1種が続きます。この中には農業生物資源ジーンバンクの菌株が24菌株も含まれていますが、他に同属菌が約80菌株あり、最新の分子系統解析による再同定が必要です。そうすることにより、上でも触れたように、新たな隠し子が見つかるかもしれません。 前出のチンギス・ハンは后妃5人や地方の妃など30名の他に約500人の妻妾をめとり、大勢の子をもうけました。現在その子孫は1,600万人に上ると見積もられています(血縁者は1600万人?チンギス・ハンの子孫とその功績を解説(Rekisiru)。一方、L. theobromaeはその異名や隠ぺい種も含め、約500の宿主(妻?)に寄生し、おそらく100種前後の仲間とともに熱帯・亜熱帯に君臨しているとも言えそうです。 […]

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モンゴル人B

バーブルはチャガデイじゃなくてチャガデイ・ハーン国出身のティムール朝のティムールの子孫だったはずですね。

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