「手塚治虫ってどんな人物だったんだろう」
「手塚治虫の生涯を調べてみたい!」
今年で生誕90周年を迎える漫画の神様こと手塚治虫。代表作には「鉄腕アトム」や「ブラックジャック」、「火の鳥」など有名作が数多く存在し、日本の漫画文化に影響を与えた人物の一人です。
漫画家以外にも、「虫プロダクション」を設立し、日本初の30分のテレビアニメーションなどを手掛け、現在のアニメ文化を発展させた功績などが数多く残っております。
今回は、幼少期から「火の鳥」や「ブラックジャック」など手塚作品を読んできた筆者が、手塚治虫の生涯について書かれた自伝や伝記漫画、エッセイ本を6冊、ご紹介いたします。
もし、手塚治虫の作った作品(漫画)を知りたい場合は、こちらの記事で紹介していますので、見てみてください。
手塚治虫のおすすめ作品・漫画10選【少年から青年まで楽しめる代表作】
自伝
ぼくのマンガ人生
読んでみて
1997年に岩波書店から刊行された手塚治虫の講演記録を活字に残した自伝的記録本。戦時中を過ごした幼少期から、ディズニーに影響を受けた創作活動、手塚自身が語る作品の世界観、そして、子供達への教育方法などについて記録されております。
直接自身の漫画に込めたメッセージを語っている姿が新鮮で、手塚治虫なりのメッセージを深く読み解くことが出来る作品です。友人や妹など周辺人物から見た手塚治虫の証言も掲載されている貴重な一冊です。
みんなのレビュー
古本屋でなんとなく見つけた一冊。手塚治虫が語る半生と哲学。面白かったのが、ディズニーの影響と、手塚治虫が感じていた当時の子供の見え方。たしかに手塚治虫のマンガの特に驚いたリアクションなんかは見れば見るほどディズニーなのです。体の反りかたとか、跳び上がり方などたしかにディズニー。そして手塚治虫が生きていた当時ですら、子供は未来について諦念的で悲観的に見えていた。ずっと同じことを言われてるんだなと思う。手塚治虫の場合はその原因は大人がきちんと子供と向き合わないからとしているのがおもしろい。
引用元:ブックメーター
ぼくはマンガ家
読んでみて
2016年に新装版として立東舎文庫から発刊された自伝エッセイ。幼少期から1979年までの半世紀を綴った作品。自身の生い立ちから漫画家としての活躍、アニメーション黎明期ならではの苦労など、内面的な話なども掲載されております。
「鉄腕アトムクラブ」に連載されていた「ぼくのマンガ記」も文庫版として初収録されており、挿絵が入っていて全体的に明るい雰囲気の作品です。エッセイ内には、アメコミの巨匠・スタンリー・キューブリック氏から手紙をもらったエピソードなど、貴重なお話が載っています。
みんなのレビュー
漫画にしろ何にしろすべて変遷があって今に至るのだなあ、と実感した。漫画大国になった現代の日本を生きる自分にとって、漫画が文化として芽を出し始めた頃の様子を知ると知らないとでは見方が大きく違ってくると思う。文化というものは本当につくる側の人間と受け取る側の人間とで生成されていくことを実感した。手塚治虫のただ漫画が好きで、その先の子どもを思う愛情にも感動したし、何より生涯好きでたまらないものと向き合い格闘し続けた人生に心から尊敬した。
引用元:ブックメーター
漫画
まんが道
読んでみて
1970年から1972年まで「週刊少年チャンピオン」で連載されていた藤子不二雄による自伝漫画。満賀道雄(我孫子素雄)と才野茂(藤本弘)の2人が、漫画家を目指し、宝塚にある手塚治虫宅を訪ねる「あすなろ編」から2013年の完結編である「愛…しりそめし頃に…」まで43年間かけて構成された作品。
藤子不二雄の2人の自伝漫画ですが、この作品において手塚治虫は二人に多大な影響を与えた師匠のような立ち位置で登場します。また、トキワ荘での様々な漫画家との出会いや、当時のトレンドの移り変わりなども描かれていて、漫画ファンにとっては歴史書のような役割を持っている作品です。
みんなのレビュー
『バクマン』『RIN』を読む中で、何度も出てきた『まんが道』 まんがにかける情熱、苦労、感動、努力… 当時を生きていればなおさら、 その時代の面影を一層感じれると思う。 そして、やはりその影響を受けて、 冒頭の2冊が生まれたんだと実感することができた。 まんが好きならば、読んで損はない一冊
引用元:ブックメーター
小学館版 学習まんが人物館 手塚治虫
読んでみて
1996年に小学館から発売された「学習まんが人物館シリーズ」のうちの1冊。「21世紀をデザインした漫画家」として紹介され、絵のうまい人気者だった小学生時代から、「新宝島」でのデビュー、虫プロダクション設立、アニメーションの誕生など様々な功績について描いております。
この作品を手掛けた伴俊男は、手塚治虫のアシスタントを務め、亡くなる時まで手塚プロダクションに所属されていた漫画家です。一番近い位置で見てきたアシスタントだからわかる、人間・手塚治虫が描かれている印象です。
みんなのレビュー
生誕90周年、今年は手塚治虫をぼちぼち読んでみたいと思っています。というわけでまずは伝記から。それにしても、幼い頃から物語を考えることができ、医学博士を取りながら大学時代より売れっ子の漫画家に、さらにアニメスタジオも抱えるって…超人すぎでしょ…やっぱり何事も楽しめる、その才能に勝るものはないのか。
引用元:ブックメーター
エッセイ本
手塚治虫アシスタントの食卓
読んでみて
2019年、ぶんか社グルメコミックスから刊行されたエッセイ漫画。作者である堀田あきおが、手塚プロにアシスタントとして在籍していた頃のエピソードが綴られていて、当時の仕事場の食事事情や、内部事情が事細かに描かれている作品。
アニメ制作と重なり、オーバーワーク気味の仕事量のお話や、手塚治虫の仕事部屋掃除など、他の自伝本ではあまり描かれなかったリアルな部分を知れる1冊となっております。また、同期アシスタントの座談会なども収録され、手塚治虫にまつわる思い出話を知ることが出来ます。
みんなのレビュー
「少女漫画喫茶」が激賞していたのでKindleで読んでみた。手塚治虫論は優れたものも多いが、手塚治虫の娘るみをはじめ身近に接してきた人々の描く手塚治虫は本当に興味深いものが多い、本作もアシスタントという立場を通じたもので、また別の手塚治虫の姿が見えた。ただ虫プロ倒産後の姿なので虫プロ時の手塚治虫ももっと見てみたいなあと思う、誰かその当時のアシスタントさんたちも作品化してくれないだろうか。
引用元:ブックメーター
手塚治虫とトキワ荘
読んでみて
2019年、集英社から発刊された評伝本。様々な資料を基に、なぜ「トキワ荘」に漫画家が多く集ったのか、誰かが彼らをこの一か所に集めたのか、といったテーマを探るために描かれた1冊。
手塚治虫が少年少女誌に「漫画」を掲載したところから始まり、トキワ荘グループがどのように漫画を発展させたのかなど、丁寧に描かれています。当時の時代背景や経済事情と照らし合わせながら、トキワ壮の発展と離散を知ることが出来る内容になっております。
みんなのレビュー
表紙折り返しにあるように『膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、日本マンガ史を解読する「偶像評伝」』。手塚治虫やトキワ荘グループの面々の各年の執筆状況も詳細に載っていたり、松本零士や横山光輝、ちばてつおの事、雑誌社や社会の事も含めて、暦年で纏めた素晴らしい労作。
引用元:ブックメーター
まとめ
上記で紹介した物以外にも「手塚治虫物語」や自身の戦争体験について描いた短編「紙の砦」など、自伝漫画が数多く残されております。
生誕90周年を迎える現在も、AIによる新作漫画の制作など、その多大な影響力を様々な漫画家や科学者などに残しております。自伝などで手塚治虫の人となりを知ってから、手塚作品を読むと、また違った味わいがしてくるかもしれませんね。