カートコバーンの名言25選!発言の背景や英語原文も紹介

27歳で拳銃自殺によって短い生涯を終えた伝説のロックバンド、ニルヴァーナのボーカルギター、カート・コバーン。稀代のロックミュージシャンであったカートは、優れた楽曲とともに数々の名言を残しています。

彼は、メディアによって作られた自分のイメージに生涯苦しめられた人間であり、「虚偽」や「権力」を何よりも嫌っていました。そんな彼が残した言葉は、SNS全盛時代を生きる私たちが現代社会に翻弄されないための強力な武器となり得るでしょう。

この記事では、カートコバーンの大ファンであり、彼に関する資料やDVDも収集している筆者が、彼の残した珠玉の名言を全部で25個ご紹介していきます。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

人生観やものの見方を大きく変えるカートコバーンの名言

波乱万丈な人生を生きてきたカートコバーンの遺した言葉の中には、私たちの人生観や価値観を大きく変えてくれるようなものがあります。ここでは、そんなカートの名言をご紹介していきます。

ギターを弾くカートコバーン

「俺って虚無的で嫌味だし皮肉屋だけど傷つきやすくて誠実な面だってある」

(ドキュメンタリー映画「About a son」より)

カートコバーンは元々明るい性格の少年でしたが、父母の離婚がきっかけとなって鬱屈とした感情を心に抱くようになりました。そして、NIRVANAが商業的にブレイクした後、メディアはそんな彼の幼少期のことを書き立てて「虚無的で皮肉屋のロックスター」という虚像を作り上げようとします。

幼少期のカートコバーン

しかし、カート自身は、メディアが自分のことをステレオタイプ的に語ることを何よりも嫌っていました。この言葉は、そんなカートが感じていたメディアへの反発心を如実に反映したものと言えるでしょう。

ー 有名人であっても、1人の人間。いいところも悪いところもあるのは当然のことだ。

そんなカートの思いが伝わってくるような名言です。

「俺は昔宇宙人で母に拾われたと信じてた。毎晩宇宙にいる本当の両親と交信してた。まだたくさん仲間がいる気がしてた。俺も仲間もホームシックで生きてる間にほんの一部の仲間としかめぐり会えない。でもいつか使命がわかるはず。」

(ドキュメンタリー映画「About a son」より、一部中略)

詩のような美しい言葉で綴られた名言です。

一見するとただ戯言を述べているだけのようにも思えますが、「生きてる間にほんの一部の仲間としかめぐり会えない」のは、私たちも不時着した宇宙人と一緒なのではないでしょうか。

人生の中で、心からわかりあえる存在と出会い、自分にしかできない使命を見つけるのは難しい。しかし、自分たちは、与えられた今日を精一杯生きていくしかない。

カートは、そんなメッセージを私たちに伝えたかったのかもしれません。

ロック好きにはたまらないカートコバーンの名言

カートコバーンといえば、「グランジ・ロック」というジャンルの先駆者として有名です。ここでは、誰よりもロックを愛した彼が述べた名言をご紹介していきます。

カートコバーンのポートレート
出典:FASHIONSNAP.COM

「音楽はエネルギーだ。ムード、雰囲気。フィーリングなんだ。」

(『Kurt Cobain Journals』より)

カートコバーンは、10代のころに地元のバンド「メルヴィンズ」に心酔し、彼らのローディー(楽器運搬や運転などをこなす役割)を勤めるようになります。そんなメルヴィンズについて、カートが自身の手記に記しているのがこの言葉。カートの音楽観がよく表れている名言です。

また、カートは同じ文章の中で、メルヴィンズの音楽が「暴力の中で日々生きているのだという現実をつきつけてくる」ことについても称賛しています。人生の美しい部分だけでなく、狂気や暴力といった暗い側面も表現することこそがカートにとっては需要だったのですね。

「ギターを手にしたら取りつかれた。何年も毎晩何時間も弾き続けた。寝るまでずっと」

(ドキュメンタリー映画「About a son」より)

カートコバーンは、14歳のときにギターを手にして以来、四六時中音楽漬けの生活を送っていました。その熱中ぶりは、元カノであるトレイシーに生活費を全額出してもらっている時でさえ、昼夜を問わずにギターを録音し続けていたことからもわかります。

ギターを弾くカートコバーン

カートが自分の内的世界を音楽によって表現できたのは、この名言のように「すべてを捨ててギターに打ち込んだ」おかげかもしれませんね。

生き方の指針となるカートコバーンの名言

私たちの人生において、「音楽」は灰色の毎日に彩りを添えてくれる存在であることは間違いありません。その意味で、私たちがアートとの向き合い方を考えることは、「生き方」そのものを考えることと言っても過言ではないでしょう。

27歳で早逝したカートコバーンですが、彼の残した言葉の中には現代社会におけるアートとの向き合い方をもう一度考えさせるようなものもあります。

カートコバーンとコートニーラブ

「今から20年後のロックを考えると悲しい。ロックが死んだら世界は爆発するだろう。すでに切り刻まれ盗まれて利用されまくってもう死んだも同然だ。見てられない。」

(ドキュメンタリー映画「About a son」より)

衰退していくロック・ミュージックについて述べた一文。商業的に消費されていくロックを憂いたカートのこの言葉は、何も音楽業界に留まることではありません。

私たちは、このカートの名言から、「芸術を観賞するのではなく、消費している」現状をもう一度見直す時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

「パンクロックは開放だ。表現すること、そして表現する権利があることは極めて重要だ。誰だって、アーティスティックになれる」

(『Kurt Cobain Journals』より)

カートコバーンは、筋骨隆々とした男性が規範とされ、既存の常識が最良のものとして見なされるような世界を徹底的に批判していました。

カートが愛したセックスピストルズ

一方、そんな彼が支持していたのは、同性愛やジャーナリズム、革命、創造性、そして音楽でした。つまり、カートにとってのパンクロックとは、既存の体制からの抑圧に抵抗するための手段に他ならなかったのです。

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