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ベートーヴェンの名言8選!発言の意図や背景もエピソードと共に解説

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは18世紀を代表する作曲家で、「西洋音楽史上極めて重要な音楽家」と称されることもあるほど有名な人物です。

情熱的でインパクトの強い楽曲の数々はもちろん、聴力を失いながらも作曲家として大成していくその生き方は、時代を超えて私たちに感動をくれる人物です。そんなベートーヴェンについて「どんな言葉を残したのだろう?」と気になることはありませんか?

今回は演奏家である筆者が、ベートーヴェンの言葉や生涯に励まされたことを思い出しながら彼の名言についていくつかご紹介したいと思います。

はじめに・自称「無給の秘書」シンドラーの存在について

ベートーヴェンにはプロデューサーの存在があった?

ベートーヴェンには多くの逸話や会話録が残っていますが、それらのほとんどが捏造ではないかといわれています。何故かというと、ベートーヴェンにはアントン・シンドラーという秘書がおり、そのシンドラーは「ベートーヴェンの名声を後世に残すためにはどんな捏造も厭わない」というような人物だったからです。彼はベートーヴェンが難聴を患い筆談で会話するようになるとその会話録を捏造し或いは演出するようになりました。

ですので、これからご紹介するベートーヴェンの名言についても創作である可能性が高いということを胸にとどめておくことが必要です。それにしても、ベートーヴェンには身近な人物に「この人を有名にしたい」と思わせる魅力があったことは確かでしょう。

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ベートーヴェンの名言8選

「不屈の人」ベートーヴェンを表している名言1

逆境を乗り越えようとしたベートーヴェンならではの名言です。

神がもし、世界でもっとも不幸な人生を私に用意していたとしても、
私は運命に立ち向かう。

ベートーヴェンは20代後半ごろから難聴を患います。音楽家でありながら日々少しずつ耳の聞こえが遠くなっていく絶望感は、想像を絶するものだったでしょう。絶望から彼は32歳の頃に自殺を決意します。しかし激情のまま遺書を書いていくうちに自身の底知れない音楽への情熱を知り、生きることを選びました。

耳の不自由な音楽家である自分が、その仕事と人生を全うすることが後世の人に勇気を与えられるのではないかと思いそれを自らの使命と架すことを決めたのです。ベートーヴェンの強い決意が伺える名言です。

「不屈の人」ベートーヴェンを表している名言2

本心と向き合い、弱音を吐くこともありました。

できることなら私は、運命と戦って勝ちたい。 だが、この世の中で、自分が最もみじめな存在なのではないか、 と感じてしまうことが、何度もある。 あきらめるしかないのだろうか。 あきらめとは、なんて悲しい隠れ家だろう。 しかも、それだけが今の私に残されている隠れ家なんだ。

不屈の精神力で希死念慮と戦ったベートーヴェンですが、親友に宛てた手紙では正直な不安・弱音を漏らすこともあったようです。

音楽に対して誰よりも熱意を持っている自覚があり、音楽家としての生涯を全うしたいという志がありながらも、聴力を失っていることから悔しい思いをすることも多かったのではないでしょうか。「諦めることができたら楽なのに」という悲痛な思いが伝わってきます。

「不屈の人」ベートーヴェンを表している名言3

「運命」という言葉に説得力があります。

人間はまじめに生きている限り、必ず不幸や苦しみが降りかかってくるものである。しかし、それを自分の運命として受け止め、辛抱強く我慢し、さらに積極的に力強くその運命と戦えば、いつかは必ず勝利するものである。

ベートーヴェンの有名な作品に交響曲第5番「運命」があります。「ダダダダーン」とまるで音を叩きつけるようなあのフレーズは、一度耳にしたら忘れられないほどの強いインパクトがありますね。しかしこの「運命」というタイトルはベートーヴェン 自身が付けたものではありません。

秘書・シンドラーの手記によると、シンドラーが「(交響曲第5番の最初の)この4つの音は何を表しているのですか?」とベートーヴェン に尋ねたところ「運命が扉をノックしている音だ」とベートーヴェンが返答した、ということが書かれています。このエピソードから日本では交響曲第5番を「運命」と呼び、今日に親しまれているのです。

シンドラーの手記の真偽は不確かですが、ベートーヴェンの生涯や作品の魅力からは強い説得力が感じられます。

ベートーヴェンの本当の気持ちを知ることが出来る名言1

本当は人と交わって明るく過ごしたかった?

 不機嫌で、打ち解けない、人間嫌い。私のことをそう思っている人は多い。しかし、そうではないのだ!私がそんなふうに見える、本当の理由を誰も知らない。私は幼い頃から、情熱的で活発な性質だった。人づきあいも好きなのだ。しかし、あえて人々から遠ざかり、孤独な生活を送らなければならなくなった。無理をして、人々と交わろうとすれば、耳の聞こえない悲しみが倍増してしまう。つらい思いをしたあげく、またひとりの生活に押し戻されてしまうのだ。

この言葉は「ハイリゲンシュタットの遺書」からの一文で、ベートーヴェンが死を思い感情のまま絶望を綴った言葉です。ベートーヴェンは肖像画などでも厳しい表情をしており、いかにも気難しそうで、一人を好みそうな雰囲気をもっているように見えます。

しかし遺書の中でベートーヴェンは「本来自分は社交的で、人と関わるのが大好きである。」ということを綴っています。「耳が聞こえなくなってから人がいる場所に行くと孤独感を感じるようになり、独りを選ぶようになった。」という生々しい感情を吐露しました。

ベートーヴェンの本当の気持ちを知ることが出来る名言2

ベートーヴェンにとって音楽はコミュニケーションツールでもあった

私は芸術に携わり、
それを演奏して見せるに勝る
喜びを知らない。

難聴のために人との関りを避けざるをえなかったベートーヴェンにとって、作曲や演奏はそれをきっかけに人とつながることができる唯一の手段・ツールでした。ベートーヴェンの音楽に対する比類なき情熱は、人との関わりを渇望していたことと関係していることでしょう。

「自分の音楽を聴いてほしい」とばかりにダイナミックなベートーヴェンの楽曲の数々は、彼自身の切実な心の叫びそのものだったのかも知れません。本心から生まれ出た芸術作品だからこそ、時代を超えて私たちを魅了し続けているのです。

ベートーヴェンが生きた時代を想像できる名言

フランス革命の頃に活躍しました。

神に頼るとはなんたることだ。
自らの力で自らを助けたまえ。

ベートーヴェンが活躍した時代はヨーロッパで市民革命が起きた時代でした。それまでの音楽家たちは貴族たちの庇護のもとに仕事を得ていましたが、ベートーヴェンの時代になると貴族の求心力・権力は衰退してしまっていたのです。

音楽家にとっては貴族やパトロンたちへの忖度が必要なくなった時代ではありますが、その代わりに自分の力で自分の音楽を売り出していくことが必要となった時代でした。まさに「自らの力で自らを助ける」力が必要だったのです。

ベートーヴェンの芸術観に触れることが出来る名言

言葉、詩にこだわりがあった。

偉大な詩人こそもっとも尊い国の宝だ

ベートーヴェンはゲーテやシラーなどの詩を愛し、自身の交響曲でも「この曲の思いを伝えるには言葉が必要だ」と考え、最終楽章にシラーの詩による歌を入れるほどでした。

その曲とは「第九」の通称でも知られるベートーヴェンの交響曲第9番 4楽章「歓喜の歌」のことです。それまでも「交響曲に合唱や歌を入れる」という着想のあった作曲家はいましたが、当時はまだとても珍しい形態でした。詩と歌、そしてオーケストラとの組み合わせの効果が一般的に認知されるようになったという意味で「第九」は記念碑的な作品でもあるといえます。

その後合唱曲付きの交響曲はメンデルスゾーンやブラームス、マーラーなどの作曲家たちに引き継がれ、そして詩人の世界観と音楽との融合という試みはシューベルトに引き継がれました。

ベートーヴェンの最期を想像できる名言

死の間際に言った言葉

諸君、喝采したまえ、喜劇は終わった
(Plaudite, amici, comoedia finita est)

ベートーヴェンは1827年3月26日に肝硬変でこの世を去りますが、その死の3日前に言ったと言われている言葉です。ラテン語でこの言葉を言ったと言われていますが、これはローマ帝国・初代皇帝アウグストゥスの有名な言葉「喝采せよ、劇は終わった」(Plaudite, acta est fabula )をもじったダジャレで、「医者たちは手を尽くしたそうだが、もうダメらしい」という意味で言ったようです。余談ですが、ベートーヴェンは意外にダジャレが好きだったということもいわれています。

この言葉がベートーヴェンの臨終の際の名言であると伝えている資料や本は多いですが、本当の最期の言葉は『残念、残念、遅すぎた!』“Schade, schade, zu spät!” だったようです。しかも「残念」の意味は、出版社からプレゼントされた12本のワインが病状が悪化して飲めないことを嘆いた言葉とのことです。

その後体調が急変し、苦痛の中言葉にならない譫言をいいながら意識を失い、そのままベートーヴェンは亡くなりました。その譫言の内容については知られていません。

まとめ

苦難の多い人生を送ったベートーヴェンですが、その言葉には希望や情熱が満ちていたことがわかると思います。また彼の楽曲の数々が嘘のない気持ちから生まれた音楽だからこそ、時代を超えて私たちの心に響くのだと実感しました。

少しでもベートーヴェンに親しみを感じ、またその生涯に興味を持っていただけると幸いです。

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