詩経
詩経は、中国最古の詩集です。漢詩の原型でもあるため、儒教で経典化されました。西周の時代に歌われていた民謡などを孔子が編集したと言われています。詩という通り、四文字や五文字の漢字から構成されているものや、七字句・三字句からできる歌が記されています。
詩経ができた当時は王が民衆の思いを感じとるために記録されていました。現在では、殷・周王朝時代から春秋時代の人々の暮らしを垣間見れる貴重な資料として扱われています。
礼記
礼記は前漢時代の終わりに書かれた、政治や冠婚葬祭、祭事などの儀礼の解説・理論集です。政治や倫理、宗教、祭事など幅広い範囲の「礼」について49編に渡って記されています。
礼について書かれた本は「礼記」の他に「周礼」「儀礼」がありますが、その中でも礼記が最も読みやすく、礼を理解するのに優れていると言われています。49編はそれぞれ独立しており、『大学』と『中庸』は後に四書として独立しました。
春秋
春秋は、中国春秋時代について記された歴史書です。内容は、王や諸侯の死亡記録、戦争や諸侯同士が交わした盟約などの外交、日食や地震などの自然災害の記録が主に記されています。年月日ごとに紀元前722年〜紀元前481年の242年間の内容が年表風に書かれています。
儒教では、『春秋』は孔子自身が作った、または孔子が手を加えたという説があります。しかし孔子が『春秋』のどの部分に手を加えたかはわかっていません。
四書五経の覚え方
世界史の試験では四書五経の9つの書が何か、問われることがあります。数が多くて覚えにくい、という方のために覚えやすい語呂合わせを四書と五経に分けていくつか紹介します。
「師匠の申すことはなかなかの大論争を招く」
師匠(四書)の申す(孟子)ことはなかなかの(中庸)大論争(大学・論語)を招く、です。長文は苦手、という方は四書の頭文字(孟子・論語・大学・中庸)をとって
「もちろんだっちゅーの」
も覚えやすくておすすめです。続いて五経は
「五人兄弟は来季の春も易しい詩を書く」
五人兄弟(五経)は来季(礼記)の春(春秋)も易しい(易経)詩(詩経)を書く(書経)、です。頭文字だけをとると
「春に礼、易しい詩を書く」
も暗記が簡単です。あなたオリジナルの語呂合わせを考えるのも楽しそうですね。
五経にある格言・名言
五経は、論語で有名な孔子がまとめたこともあり、含蓄のある格言や名言が豊富です。2つほど紹介するのでぜひご覧ください。
「凡そ人の人たる所以は礼儀なり。礼儀の始めは、容体を正し、顔色を斉え、辞令を順にするに在り」
人の人たるゆえんは礼儀にある。礼儀の始めは姿勢や態度、歩き方を正すことであり、その次に表情を和やかにし、最後に言葉づかいを気をつけること。
こちらは礼記に記されています。人としての基本を記したもので、礼儀の基本は
- 姿勢や態度を正す
- 顔色を整える
- 言葉づかいに気をつける
とされています。良い印象を与える態度や表情、言葉づかいができたなら、良い人間関係を築けるでしょう。もし人間関係で悩みがあるなら、礼儀を見直すと改善できるかもしれません。
「己を修めて人を責めざれば、則ち難より免る」
ひたすら自分を磨くことに努め、人の過失を咎めない。これを心がければ、危難を免れることができる。
こちらは春秋に記されています。与えられた仕事をこなし、行動や批判を慎んで相手側に付け入る隙を与えなければ、トラブルがおこることもないという言葉です。口は災いの元、とも言えます。悪口や陰口はいずれ言った本人に返ってくるものです。
そんなことを言っている暇があったら、自分の成長のために時間や体力を使う方が有意義です。自分のための努力は、いずれあなたを助けてくれるでしょう。
五経を深く知るためのおすすめ本
四書五経入門
四書五経について簡単にまとめられた、数少ない本です。各書個別に、分けられて解説されることが多いのですが、こちらの本は四書五経すべてが一冊にまとめられて解説されています。中国思想についても触れられるため、中国の思想に興味のある方にもおすすめです。
全体的にわかりやすく書かれているため、入門書としても最適です。
四書五経ー中国思想の形成と展開
入門書ですが、少し学術的色合いが濃い書籍です。四書五経の各経典の概説があり、それぞれのイメージをつかめます。
中国の思想の変化と日本への影響、四書五経の現代における役割なども書かれており、知的好奇心を満たす内容になっています。
五経に関するまとめ
いかがでしたか?最後に本記事の内容を簡単にまとめます。
- 五経は儒教の基本となる5つの経典のこと
- 五経はもともとあった書を孔子がまとめたもの
- 五経は『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の5書から構成されている
五経は中国の古典です。古代からの知識が詰めこまれており、読むことでその叡智を感じとれます。なにかに行き詰まったときは五経を読むと、解決の手がかりがつかめるかもしれません。
今回、五経の名言について軽く触れましたが、感銘を受ける格言はまだまだありますので、ぜひ読んでみてください。
本記事を読んで「五経について理解を深まった」「この機会にさらに五経について知りたい」と思っていただけたら幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。