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ウパニシャッド哲学とは?各宗教との関係や内容など分かりやすく解説

ウパニシャッド哲学って何だろう?
聞きなれない言葉だし、難しそうだな…。

普段、あまり耳にすることのない「ウパニシャッド哲学」という言葉。哲学というと、ソクラテスやニーチェなどヨーロッパの哲学者を思い浮かべる人が多いですが、このウパニシャッド哲学は東洋思想の1つです。成立したのは紀元前1200年ごろ、かなり古い時代からある哲学となっています。

実は、ウパニシャッド哲学は現在私たちに馴染みのあるスポーツと深いかかわりがあります。古代から伝わる哲学がスポーツと関係があるなんて意外ですよね。ここでは、東洋思想やアジア特有の価値観などに関心が深い筆者が、ウパニシャッド哲学の歴史や内容をご紹介します。

ウパニシャッド哲学とは

インドで生まれたウパニシャッド哲学

ウパニシャッド哲学を簡単にいうと

ウパニシャッド哲学とは、バラモン教の聖典・ヴェーダの最終章にあたる「ウパニシャッド」という奥義書をもとにした哲学です。成立した紀元前10世紀から紀元前5世紀ごろのインドの神秘思想がたっぷりつまっています。その後に生まれてくるインド哲学や東洋思想の源となりました。

バラモン教とは

ガネーシャもバラモン教の神

バラモン教とは、紀元前13世紀ごろにインド西部に侵入してきたアーリア人が、先住民のドラヴィダ人を支配する過程で生まれてきた宗教です。インドには現在もカースト制が存在していますが、「バラモン」というのはカーストのトップである司祭階級の名前で、ブラフミンとも呼ばれています。

バラモン教の聖典・ヴェーダには、神への讃歌や祭祀の手順、それらの神学的意味などが書かれているのですが、その最終章であるウパニシャッドにはバラモン教の哲学が書かれていました。けれども紀元前10世紀から紀元前6世紀ごろの後期ヴェーダ時代、祭祀がどんどん形だけになっていくことに不満をもった人々がウパニシャッドをもとに思索を通して真理を探求しはじめます。そうして生まれたのがウパニシャッド哲学です。

ウパニシャッド哲学の内容は

「梵我一如(ぼんがいちにょ)」の思想とは

ウパニシャッド哲学で最も大事な思想・梵我一如

ウパニシャッド哲学の中心となった思想が「梵我一如」です。宇宙の原理である「梵」と自己の中心である「我」が相似的に同じであるという境地に達することで、自分自身がもつ「業」がもたらす輪廻から解き放たれ、解脱(げだつ)できるとされました。解脱に至ると、永遠の幸せが手に入るといわれています。

「梵」「我」はあまり馴染みのない言葉ですが、「業」や「輪廻」は仏教の教えでも聞かれますね。これからそれぞれの用語について詳しく説明していきます。

「業」「輪廻」とは

仏教用語でもある「業」「輪廻」とは?

「業」とは「カルマ」と呼ばれ、身体的な行為や発言、頭で思ったことなどを指します。人間の行為や発言、思考はその場限りのものではなく、その人が亡くなった後もその魂に受け継がれます。仏教に由来する言葉に「因果応報」というものがありますが、ある結果が起こる原因は今世のものではなく、過去にその人の魂が生きていた人生で起こしたことが原因である、というイメージが「業」です。

この「業」の思想が成り立つのは、輪廻転生の思想があるからです。業のある限り、人は何度でも生まれ変わって魂の修行を続けるというのが「輪廻転生」です。生まれ変わり続けている間、人間は業から解放されないために「解脱」を目指しました。

「梵(ブラフマン)」とは

「梵」は宇宙の原理のこと

「梵」は「ブラフマン」とも呼ばれ、宇宙全体を支配する根本原理のことを指します。「原理」というと法則や決まりごとのようなものを想像してしまいますが、ブラフマンの語源となったサンスクリット語が「力」を意味しているように宇宙に満ちるエネルギーのようなものと考えると分かりやすいでしょう。

ブラフマンは外界にあるすべてのものと活動の背後にあって、変わることのないものです。不変なので「原理」と呼ばれるのでしょう。宇宙にあるすべての存在に浸透しているため、バラモン教やヒンドゥー教の神々もブラフマンの現れとされています。

「我(アートマン)」とは

「我」とは自分の魂のこと

「我」は「アートマン」と呼ばれ、意識の最も深いところにある個の根源を指します。日本でいう「魂」に近いとされています。自分という1人の個人を、この「自分」として生かしている「霊魂」であり、「人格」です。

先ほど説明した「梵(ブラフマン)」とこの「我(アートマン)」が本当は同じものであることを実感することが「梵我一如」の思想です。実感することで人間は業から解き放たれ、生まれ変わることなくブラフマンと一体となった永遠の至福を生きられるとされました。

「解脱」に至るには

解脱に至る方法、それは…

永遠の至福状態に至るにはどうしたらいいのでしょうか。ウパニシャッド哲学では、梵我一如は体験によって得られるとし、瞑想とヨガを修行としました。日本ではダイエットやエクササイズの一環のようなイメージのヨガですが、ウパニシャッド哲学では解脱に至るメソッドの1つなのです。

なぜヨガで解脱に至るとされているのでしょうか。それは、ヨガが感覚器官や心の動きを自分でコントロールすることが目的の修行だからです。感覚器官や心を制御できれば、精神や魂の動きもコントロールできるとされました。宇宙の原理と個人の魂が同じであるように、身体と精神も同じであるとウパニシャッド哲学では考えられたのです。

インドで生まれた他の宗教との関係

バラモン教以来の儀式を行うヒンドゥー教の人々

インドではたくさんの宗教が生まれたのですが、そのなかでもヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教は大きな影響力をもつものです。ヒンドゥー教はバラモン教を発展させたもの、ジャイナ教や仏教はバラモン教のヴェーダに反対する立場をとっています。

どの宗教でも業によって輪廻転生が起こり、そこからの解脱が目指されています。ウパニシャッド哲学が核となっているのです。インド古来の哲学として、ウパニシャッド哲学はそれぞれの宗教で発展を遂げています。

ウパニシャッド哲学のおすすめ関連書籍

ウパニシャッド(講談社学術文庫)

辻直四郎の『ウパニシャッド』は、ウパニシャッド哲学について知りたいならぜひ読んでおきたい名著です。ウパニシャッド哲学の核の部分を抽出し、分かりやすくシンプルな文章で書き表しています。著者の辻直四郎は1899年生まれの古代インド学者で、日本におけるインド古典学のパイオニアです。

やさしく学ぶYOGA哲学 ウパニシャッド (YOGA BOOKS)

ヨガ哲学としてのウパニシャッドを知りたいなら、こちらの書籍がおすすめです。ウパニシャッド哲学をより理解するための導入である「タットヴァ・ボーダ」から入り、3種類のウパニシャッドを読み進めていきます。ポップなイラストや図表が載っているのも分かりやすくて嬉しいです。

ウパニシャッド哲学に関するまとめ

ウパニシャッド哲学の内容や他の宗教との関係について解説してきました。どのように感じられたでしょうか。

梵我一如の思想は、現代を生きる私たちからすると突飛に感じられる部分もあるかもしれません。理解できなかったところはそのままにして、「そういう考え方がある」ということを覚えておくだけでもいいと思います。自分と違う考え方があることを知識として知っておく、そのような姿勢は異なる文化と共に暮らしていくことにつながるはずです。

もっと理解してみたくなったら、ここでご紹介した書籍を手に取ってみてください。ウパニシャッド哲学は東洋哲学の1つなので、図書館でその分野の本を当たってみるのもいいでしょう。この記事が、新たな世界の見方への扉を開く助けになっていたら嬉しいです。

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