「怪盗ってアニメやドラマから生まれた存在じゃないの?」
「怪盗のモデルになった人物がいたって本当?」
怪盗はフィクション、そんなイメージが強い一方で、実在したのかが気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はそもそも怪盗は実在したのか、その起源やモデルとなった5人の人物を紹介します。この記事を読めば、怪盗がフィクションだけの存在なのか、明らかになりますよ。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、岩野祐里(いわのゆり)。5歳の頃、イギリス史に夢中になり図書館へ通いながら育つ。大学では国際文化を専攻し、イギリス史と英文学の研究に没頭。その後、大学院にて修士課程を修了。研究論文は「19世紀英国の社会と犯罪」について。歴史全般の研究歴は11年、イギリス史は21年に及ぶ。現在はWebライターとして活動中。
怪盗は実在したのか?
結論からいえば、怪盗はフィクションの存在であり、現実には実在しません。中には実在したと言われる怪盗もいますが、彼らは大規模な犯罪を犯した犯罪者というだけです。
ちなみに、現代の「怪盗」という言葉は、20世紀ごろの文学作品から誕生したとされています。前述した大規模な犯罪を犯した者たちをモデルに、当時の作家たちが「奇想天外な方法で盗みを行う神出鬼没で正体不明の盗賊」という存在を作り上げたのです。
特に、フランスの小説家モーリス・ルブランが生み出した怪盗「アルセーヌ・ルパン」や日本の小説家江戸川乱歩が描いた「怪人二十面相」などが有名ですね。こうして怪盗の存在は大衆小説の発展とともに、世界へと瞬く間に広がっていきました。
怪盗を象徴する3つの特徴
ここでは、怪盗を象徴する下記3つの特徴を紹介します。
- ①劇場型犯罪を行う
- ②義賊が多い
- ③社会的人気を持つ
上記の特徴を知れば、これまでとは違った視点で怪盗を見れるようになりますよ。
①劇場型犯罪を行う
怪盗は、現実にいる泥棒と違い、劇場型犯罪を好みます。劇場型犯罪*とは、演劇のような芝居がかった犯罪のことです。怪盗にとって犯罪現場は舞台であり、自分はその主役として観客を楽しませることを目的としています。
彼らは予告状を送りつけて観客であるマスコミを呼び、変装して目当ての建物に侵入。そして、演劇の名場面のように目的の品物を皆の前で盗み出すのです。リスクの有無に構わず、劇場型犯罪を犯すことは怪盗の大きな特徴のひとつといえるでしょう。
劇場型犯罪は、怪盗だけではなく連続殺人や脅迫事件でも使用されてきました。連続殺人鬼「切り裂きジャック」や怪人二十面相をもじった脅迫事件「グリコ・森永事件」などが有名です。
②義賊が多い
怪盗には、義賊の一面を持つ者が存在します。義賊とは、金持ちや権力者から財産を盗んで貧困者に与える盗賊のことです。中には、当時の民衆に疎まれた権力者を狙う者を「義賊」と呼ぶこともあります。
民衆運動が活発化した近代には多くの義賊が登場し、彼らを題材とした小説や映画、演劇が作られるようになりました。その影響で、民衆には怪盗が「弱者に優しい盗賊」として根付くようになったのでしょう。
③社会的人気を持つ
怪盗は、前述した劇場型犯罪を好む特徴からいつの時代でも社会的人気を誇っています。怪盗という言葉が生まれた20世紀ごろの世界は、今以上に社会情勢も不安定で貧富の差も広がっていました。
そんな状況で、実在の人物が行った義賊的行為をもとに、文学作品がより色鮮やかに「怪盗」を描き出したのです。警察や被害者にとって怪盗は憎き相手でも、民衆にとっては英雄のような存在に見えたことでしょう。