「どうして拷問器具に苦悩の梨って名前がついてるの?」
「苦悩の梨は今でも使われているって聞いたけど本当?」
苦悩の梨は、16世紀から18世紀のヨーロッパで使用されていたとされる拷問器具です。
ただ、拷問器具にも関わらず「苦悩の梨」という名がついているのに違和感を感じる人は多くいますよね。また、実際にどんな風に使われていたのか気になる人もいるはず。
そこで、今回は拷問器具・苦悩の梨の由来や使用方法を紹介します。また、苦悩の梨にまつわる都市伝説や現状も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
苦悩の梨とは
前述したように、苦悩の梨(Pear of anguish)は16世紀から18世紀のヨーロッパで使用されていたとされる拷問器具です。形が洋梨に似ていたことから「苦悩の梨」と名づけられました。
苦悩の梨の特徴として、使用する部位によって先端の大きさが異なっています。しかしながら、苦悩の梨自体の大きさは手のひらサイズのものがほとんどでした。そのため、持ち運びしやすい利便性がありました。
また、苦悩の梨は別名「苦悶の梨」や「苦痛の梨」と呼ばれています。この他に懺悔の梨や教皇の梨との別称もありました。これらの別名の由来は、相手に苦痛や苦悶を与えることから使用されたと考えられます。
しかし、そのような別名はあまり使用されず、苦悩の梨で呼ばれることが多いです。
苦悩の梨の使用方法
苦悩の梨は、ネジを回すと梨の部分が開く形状になっています。詳細には、梨のヘタの部分にあたる箇所のネジを回すと、梨の果実に当たる部分が4つに開くようになっています。
そのため、苦悩の梨は拷問対象者の口や肛門といった穴に挿入して使われていました。挿入後は徐々に苦悩の梨が開いていくので、例えようのない苦痛が襲ったと思われます。
外部から苦痛を与える一般の拷問器具に対して、苦悩の梨は内部から苦痛を与えるのに特化しています。さらに、得体の知れないものを挿入される恐怖と人に見られる羞恥心など、精神面にも攻撃を与えます。
苦悩の梨は、名前からでは想像できないような地獄のような拷問器具とも言えますね。
【罪状別】苦悩の梨の使用例
苦悩の梨は、罪状ごとに体のどこへ挿入するかが異なります。また、挿入する箇所によって専用の苦悩の梨が使用されたそうです。
ここからは、次の罪状別に苦悩の梨の使用例を紹介します。
- 神への冒涜
- 同性愛
- 魔女
神への冒涜
神を冒涜する罪において、苦悩の梨は罪人の口に挿入されました。目的としては、二度と神への冒涜ができないようにするためです。口の中で限界まで苦悩の梨が開いている状態のため、食事ができません。そのため、そのまま餓死するケースもありました。
また、強制的に口を開いていくので無理に開かせた結果、口が裂けたケースもあったそうです。さらに熱した苦悩の梨を使用したケースもあり、当時の過酷な拷問状況がうかがえます。
同性愛
同性愛を犯した罪において、苦悩の梨は罪人の肛門に挿入されていました。キリスト教の世界では同性愛者は異端とされ、処罰の対象でした。肛門に挿入された苦悩の梨は、開かれたことで肥大化。その限界を超えると、肛門から直腸にかけて破壊されます。
肛門の中で徐々に苦悩の梨が開いていくことを想像すると、恐怖に足がすくみそうになりますね。
魔女
魔女狩りにおいて、苦悩の梨は魔女(罪人)の膣に挿入されました。当時のヨーロッパでは隣人の恨みを買った者や貧困者が魔女とされていました。また、不特定多数の男性と行為を行った女性も魔女として扱われたそうです。
魔女として疑われた女性たちは膣に苦悩の梨を犯すような形で挿入されました。膣の中で展開された苦悩の梨による痛みは、想像を絶するものだったと考えられます。
魔女裁判(魔女狩り)とは?起こった経緯や結末、関わった人物まで紹介