「カートコバーンについて知りたいんだけど、映画化されてるの?」
「カートコバーンに関する映画の中で、オススメはどれ?」
このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、カートコバーンを題材として取り上げた映画は多く、様々な切り口から彼の人生が語られています。オススメは、「モンタージュ・オブ・ヘック」と「About a son」。どちらも彼の人生を取り上げたドキュメンタリー映画です。
この記事では、バンド歴10年、カートコバーン関連の資料を収集することを趣味にしている筆者が、カートコバーンの映画を全部で8つ厳選してご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
絶対に見るべき!カートコバーンのオススメ映画2選
まず、ここではカートコバーンを語る上で絶対に外せない作品を2つご紹介します。
モンタージュ・オブ・ヘック(オススメ度:★★★★★)
基本情報
監督 | ブレット・モーゲン |
---|---|
製作年 | 2015年 |
製作国 | イギリス |
出演 | カートコバーン クリス・ノヴォセリック コートニー・ラブ ドナルド・コバーン ウェンディ・オコナーほか |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの人生をザックリと知りたい人
- カートコバーンの親族や親しい人の証言を聞きたい人
観賞してみて
「モンタージュ・オブ・ヘック」は、カートコバーン好きなら必見の映画です。
なぜなら、この映画にはバンドメンバーや父母、そして妻など、最もカートに近かった人々の生の声がぎっしりと収録されているからです。それらの証言を聞くと、カートコバーンが驚くほどに色々な「顔」を持っていたことがわかります。
たとえば、NIRVANAのバンドメンバーであったクリス・ノヴォセリックは、若かりしカートの思い出を回想しながら、「バンドメンバー、そして友人としてのカート」の姿を私たちに伝えてくれます。
一方、カートの父母は「息子としてのカート」を、妻であるコートニー・ラブは「最愛のパートナーとしてのカート」を語るというように、それぞれの人物が十人十色の語り口でカートの姿を描き出します。
もちろんカート自身のインタビューや映像もふんだんに盛り込まれているので、「まだカートコバーンを知ったばかり」という方でも十分に楽しめる作品に仕上がっていますよ。もちろん、コアなファンの方でも新しい発見があること間違いありません。
さらに、カートの人生における重要なエピソードに関しては、アニメーションなどを用いてわかりやすく補完している点も魅力のひとつ。「カートコバーンの人生をざっくり知りたい」という方にもオススメです。
みんなのレビュー
About a son(オススメ度:★★★★☆)
基本情報
監督 | AJ・シュナック |
---|---|
製作年 | 2006年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | カートコバーン (語り) |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの人間性に触れたい人
- カートコバーンのコアなファンの人
観賞してみて
一言で言えば、「カート好きなら心にグッとくる」映画です。およそ1時間半もの間、カートコバーンがインタビュアーの質問に答える形でひたすら自分の考えを話し続けます。
インタビューの冒頭で、カートが「この先、ここまでオープンに私生活を語ることなんてないと思うよ」と述べていますが、実際ここで語られるのは、決して飾ることのない等身大のカートです。
カートコバーンは、「ドラッグに依存し、27歳で自殺した」という経歴から、ロックスターのテンプレートのように語られることが多いですが、実際はちょっぴり寂しがり屋の普通のバンド青年でした。もちろんその音楽的才能には目を見張るものがあるのは事実ですが、メディアがカートを飯の種にするために過剰に騒ぎ立てていた印象は否めません。実際、カート自身もロックを商業利用するメディアをとても嫌っていました。
「About a son」は、メディアによって作り上げられた偶像としてのカートではなく、そんな「ひとりの人間」としてのカートを描き出した良作です。
特に、最後の「今から20年後のロックを考えると悲しい。ファッションのスタイルに過ぎず、人付き合いの道具と化している」という一節は、現代のロックの在り方を暗示しているようで、心に迫るものがあります。カートのファンのみならず、音楽好きであれば必見の映画と言えるでしょう。
ただ、音声のみのインタビューという性質上、カート自身の映像は出てきません。そのため、「カートの姿を見たい」という人は注意が必要です。
みんなのレビュー
こんな見方もある!カートコバーンの死に関する映画2選
Kurt&Courtney(オススメ度:★★★☆☆)
基本情報
監督 | ニック・ブルームフィールド |
---|---|
製作年 | 1998年 |
製作国 | アメリカ |
出演 | カートコバーン コートニーラブほか |
こんな人にオススメ!
- カートコバーンの他殺説について知りたい人
- コートニー・ラブについても知りたい人
観賞してみて
カートコバーンが好きな人であれば、「妻のコートニーが彼を殺したのではないか」という他殺説を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「シド・アンド・ナンシー」を彷彿とさせるタイトルからは想像もつきませんが、本作は、そんな「カートコバーン他殺説」を主軸として構成されたドキュメンタリー映画です。具体的には、コートニー・ラブを含む関係者への取材から、カートコバーンが他殺された可能性について検討する内容に仕上がっています。
この映画を鑑賞し終えた後、確かにコートニーへの見方は変わりますし、カートコバーンが他殺された可能性も無きにしもあらずかな、という感想を抱くようになる人が多いと思います。
ただ、ここで考えて欲しいのは「果たしてこれは本当に映画として世に出すべきものだったのか」という点です。メディアのおもちゃになったり、自分の作品が商業利用されたりすることを徹底的に嫌っていたカートが、このような形で自分の死を題材にした映画を許すとは到底思えません。
あらゆる角度から真実に迫ることはもちろん大切ですが、それなら「映画」という形を取らなくてもよかったのではないか、というのが率直な感想です。
ただ、カートコバーンの元恋人を含む貴重なインタビューが収録されているのも事実なので、カートコバーンを好きな人であれば「これはこれでアリ」という内容と言えるでしょう。