アーサーcクラークは、20世紀を代表するSF作家です。SF界の「ビッグスリー」(他に、ロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフ)と呼ばれ、『2001年宇宙の旅』、『幼年期の終わり』、『宇宙のランデブー』など多くの作品を残しました。『宇宙のランデブー』では、ヒューゴー賞をはじめ、ネビュラ賞、ローカス賞など名だたる文学賞を受賞しています。
また、紳士的な人柄はつとに有名で、英国においてはナイトに叙され、移住したスリランカにおいても最高勲章を受章しています。
SF作家の中でも、科学的知識の豊富さとたしかな文体で知られたアーサーcクラークは、スキューバダイビングの愛好者としても有名です。70代でポリオ後症候群を患ってからは、車いす生活となりましたが、90歳でなくなる直前まで執筆活動をつづけました。
この記事では、13歳で『2001年宇宙の旅』を読み、アーサーcクラークの虜となった筆者が、アーサーcクラークの人生とSF世界の魅力についてをご紹介します。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
アーサーcクラークとはどんな人物か
名前 | アーサーcクラーク |
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没日 | 1917年12月16日 |
誕生日 | 2008年3月19日 |
生地 | イギリス国サマセット州マインヘッド |
没地 | スリランカ国コロンボ |
配偶者 | Marilyn Mayfield(1964年に正式離婚) |
埋葬場所 | 共同墓地Borella Cemetery(コロンボ) |
アーサーcクラークの生涯をハイライト
アーサーcクラークは、1917年に英国サマセット州マインヘッドに生まれました。少年時代から星や宇宙に興味を持っており、SF雑誌との出会いを経てSF小説を書くようになります。第二次大戦中は、イギリス空軍将校として、レーダーによる早期警戒システムの構築等に関わりました。
小説家としての活動は、1937年頃から開始していましたが、人気がでたのは1946年の『アスタウンディング』5月号に掲載された『太陽系最後の日』です。
その後、『幼年期の終わり』(1953年)、『都市と星』(1956年)、『2001年宇宙の旅』(1968年)、『楽園の泉』(1979年)などを次々と発表しています。とりわけ『2001年宇宙の旅』は、スタンリー・キューブリック監督による映画公開ののち小説を発表、いずれもSFの最高傑作として全世界で人気を博しました。
その後も数多くのSF長編・SF短編、エッセイを発表するなど活発な執筆活動を行っています。1950年代には、ダイビングの趣味が高じてスリランカに移住しました。1960年代からはポリオを罹患し車いす生活となりますが、書くことへの意欲が衰えることはありませんでした。
2008年3月、心肺機能不全のため死去しました。
アーサーcクラークの性格
アーサーcクラークの性格は、思い切りのいい英国紳士を思わせます。
1953年。36歳のころ、アメリカ・フロリダ州へ旅行にいき、そこで出会ったアメリカ人女性と結婚しています。また、1950年代にはスキューバダイビングを愛するあまり、スリランカに移住しています。
結婚生活は半年ほどで破綻していますが、移住は一生の決断だったらしく生涯をスリランカで過ごしました。同じ英国人作家で、クラークと深い親交のあったマイケル・ムアコックも、アーサーcクラークを「紳士」と評しています。
アーサーcクラークの死生観
アーサーcクラークは、さまざまな作品の中で死生観、宗教観をうかがわせるシーンを書いており、これらはアーサーcクラーク作品における、一つの特徴となっています。その一方で、自身は、宗教については終生淡白ともいえるほど距離をとっていました。
例えば、イギリス空軍に所属をしていたころは「汎神論者」といい、2000年当時インタビューに応じた際は「無神論者」といっています。しかし、その作品においては、死者の果たす役割や生きることへの根源的な懐疑を扱うなど、命について深い洞察を行っています。
アーサーcクラークの死因
アーサーcクラークは、2008年3月にスリランカの自宅で亡くなりました。死因は、呼吸器の合併症、心肺機能不全などと報じられています。
アーサーcクラークは、1962年にポリオに感染しており、その後は車いす生活になっていました。1988年にはポリオ後症候群を発症するなど、病気を抱えながら晩年を過ごしています。そのため、死因としては「ポリオ後症候群」による呼吸困難と心不全という説明がされています。
アーサーcクラークの代表作
作品1『2001年宇宙の旅』
アーサーcクラーク作品で、もっとも有名な作品といえるのが『2001年宇宙の旅』です。人工知能や冷凍睡眠といった作中に登場する技術は、まさに先見の明といえるもの。SFが現実世界を先取りした例としてとりあげられることが多いです。続編に『2010年宇宙の旅』『2061年宇宙の旅』『3001年終局への旅』があります。
作品2『幼年期の終わり』
宇宙人との邂逅を描く長編SFです。宇宙人に管理され、平和と繁栄を手に入れた人類は、やがてあらたな存在へと進化してゆく、というもの。しかし、その宇宙人の狙いとは何なのか、なぜ地球へやってきたのかという謎に惹かれます。
作品3『宇宙のランデブー』
接近した小惑星、それは他の文明が作り出した構造物だった、というストーリです。ラーマと呼ばれる構造物に乗り込む人類がその中で目にしたものとは。終始、ドキドキさせられる、アーサーcクラーク作品群の中でも出色の作品です。
作品4『渇きの海』
月面で遭難した観光船救出のために繰り広げられる人命救助を主題としたSF作品です。大きな骨組みとしてはSF邦画などでも馴染みのある展開があり、安心して読み進めることができます。もちろん、月面であること、砂礫の世界観もあり、しっかり緊迫感も味わえます。
作品5『都市と星』
閉鎖空間という管理された世界に安住する人類。その中で、外界を志向する若者が現れたことで、物語が進展してゆきます。管理された被治者として安穏と暮らすのか、真実を求めて冒険の海に漕ぎだすのかという、人類にとって奥深いテーマのように感じられます。