現在のタージマハル

タージマハルは現在、人気の観光地となっていますが、それにはさまざまな困難を乗り越えなくてはなりませんでした。度重なる略奪行為がタージマハルを襲ったのです。
人気の観光地になったタージマハル

シャー・ジャハーンとムムターズ・マハルの息子・アウラングゼーブの死後、墓石にかけられていた刺繍された布が盗まれました(それにはたくさんの真珠が散りばめられていたそうです)。それを皮切りに、タージマハルでは内部の装飾品が盗まれるようになりました。
1800年代に入り、アジアでの貿易のために作られたイギリス東インド会社がインドを統治することになりましたが、彼らそのものが略奪を働きました。このとき丸屋根の上の金箔の飾りが失われたということです。
その上、タージマハルは退廃的だから、解体してイギリスで売り払おうという案までありました(幸いなことにこの案は実現しませんでした)。
その豪華さと美しさ故に、略奪の対象となったタージマハルですが、1983年にはユネスコの世界遺産に登録されました。2001年には観光客は200万人を越え、2017年には700万人の観光客がタージマハルを訪れています。
環境問題が浮上!タージマハルを守るためには

インドでは急激な発展に伴って環境汚染が深刻な問題になっています。排気ガスがタージマハルを汚しているだけでなく、石炭や石油を燃やすことが原因の酸性雨により大理石が解けてしまう恐れが出てきました。
インド政府はタージマハルを守るために、周辺で石炭を使うことを禁止し、タージマハルの周辺では電気自動車を使うなどの対策を取っています。
それでも、大理石が黄ばんできたため、2015、2016年には汚れを落とす処理を行っています(大理石の表面に泥を塗って、乾かしてから落とすという方法です)。
観光客が増えることで建物に負荷がかかることを心配して、入場制限も行われるようになりました。しかし、環境の悪化に対策が追いついていないようで、2018年には暴風のため、2020年には雷雨のために施設の1部が傷ついてしまいました。
入場制限も外国人観光客には適用されないそうですが、もっと厳しい制限を行う必要も出て来るかもしれません。これからもタージマハルを美しいまま保っていくために、私たちにも何ができるのか考えていかなければなりません。
タージマハルに関するまとめ
タージマハルの意味やできるまでの経緯と歴史について解説しました。美しいタージマハルを見る目がこれからは少し変わることでしょう。
多くの子どもを生み、結局はお産で命を落としたムムターズ・マハルが聖者となることに、女性は複雑な気持ちになるかもしれません。しかしどのような生き方でも精一杯生きた証がタージマハルだとしたら、私たちはタージマハルの美しさを味わうだけでなく、後の世の人々に伝えていかなけれはなりません。
自分の墓がこのように世界中から人々を集め、魅了していることを知ったら、ムムターズ・マハルは何を言うのか、ぜひ聞いてみたいと思います。