纏足以外にも似たような風習はあった
纏足を見慣れていないと、どこか奇妙に感じられますが、中国だけが特別な風習を持っていたのではありません。世界中に女性を対象とした風習があり、今もその名残を感じることがあります。
それは確かに女性の生き方を限定して差別する目的もあったでしょう。しかし、決してそれだけではないようです。そんな風習をいくつか紹介します。
西洋でも小さな足が良かった?
ヨーロッパでも大きな足は労働者のものとされ、身分が高くなるほど女性は小さな足が求められました。ヨーロッパでは、もともと足は人目に晒すものではなかったことも、小さな足がもてはやされる原因となったようです。
人によっては、冷水で足を冷やして小さな靴に無理に足を入れることもあったということです。17世紀にバレエが流行り、定着すると、バレエシューズで小さくなった足がもてはやされるようになり、小さな足は貴さの象徴になるのです。
童話の「シンデレラ」では、姉娘が無理に小さなガラスの靴に足を入れようとしますが、これは小さな足の女性の方が、良い縁談に恵まれると人々が思っていたことの証でしょう。
日本のお歯黒、入れ墨
日本でも既婚女性はお歯黒をして眉を落とすという風習がかなり長い間常識で、北海道や沖縄では入れ墨を入れていました。同じ日本人であっても、今その姿を見たら、きっと奇妙に感じるはずです。
これらの風習は結婚したことを対外的に明らかにして、女性の行動を制限する目的もありましたが、お歯黒には虫歯予防の意味合いがあったといいますし、入れ墨は魔除けを兼ねていたそうです。決して女性差別だけのものだったわけではないのです。
今では意味がないと思えるようなことでも、そのときには意味があり、人々にとって大切なことだったのでしょう。
今ではお歯黒も入れ墨も、実際にやっている人や過去にやった経験のある人はいなくなってしまいました。ですから私たちはその風習の意味を推測するしかできません。しかし纏足を実際に行った人は少数ですがまだ生きています。その人たちの思いを知ることは、現在の私たちの役に立つように感じられます。
纏足に関するまとめ
中国にかつて伝わっていた纏足という風習について解説してきました。その内容と歴史、現在の纏足に関する見方まで紹介しましたから、きっと纏足について理解が深まったはずです。
興味本位で語られることが多い纏足ですが、きちんと理解することで中国の女性の生き方についても思いやることができるでしょう。そしてそれはお歯黒や入れ墨をしていた日本人女性にとって、他人事ではありません。
纏足がなぜ生まれ、消えていったのかを考えることは、私たちがこれからどんなふうに生きていくのかを考えることにつながるように感じられます。