ハインリヒ・ヒムラーとは?生涯・年表まとめ【関連映画も紹介】

ハインリヒ・ヒムラーの思想と性格

ナチスはゲルマン民族を優性民族と位置づけていました

「ユダヤ人を絶滅させる」という行動を何故遂行することができるのかは、ヒムラー自身が「反ユダヤ主義」であり、「アーリア民族至上主義」であったことにあります。

彼は、「優性民族」のアーリア人こそがドイツを支配しヨーロッパを統一すべきと考え、「劣等民族」のユダヤ人を迫害、国外に追放することを目指していました。そしてヒトラーの「ユダヤ人絶滅政策」により、恐ろしいユダヤ人殺害のシステムを組織化したのです。

ヒムラー一家

しかしその反面、彼と面識がある人は、「真面目で優しい性格だった」という人もいます。盲目の人物に本を読み聞かせにいったり、ウィーンの恵まれない子供たちの慈善芝居にも出演したりしています。家庭でも「娘思いの父だった」と後にヒムラーの娘が回想しています。

ハインリヒ・ヒムラーの最後の様子

ナチス親衛隊の制服は犯罪者の証であった
出典:Wikipedia

ドイツが敗戦した後、ヒムラーは一般兵士のふりをして逃げていました。親衛隊への最後の命令は、「親衛隊の制服を国防軍の軍服に着替え、国防軍に潜り込んで逃亡するように」だったといわれています。そして20日ほど逃走しましたが、イギリス軍に拘束されリューネブルク捕虜収容所に収容されました。

ヒムラーは強制収容所で何をしているかをよく知っていた為、ユダヤ人迫害等を戦後連合軍から糾弾されることを覚悟していました。そこで収容所で自身の名前を名乗り、収容所長と政治的交渉をしようと試みています。

ヒムラーの死後の写真

しかし結局交渉は拒否され、身体検査を受けることになりました。身体検査の際に軍医が口の中を調べようとした時に、軍医の手にかみつき奥歯に隠していた青酸カリのカプセルをかみ砕いています。医師たちは、ヒムラーを逆さにしたり、胃洗浄を試みたりしましたが間に合わず、約12分間苦しんだ後に死亡したといいます。

遺体はアメリカ軍とソ連軍が検死を行った後、リューネブルクの森に埋められました。埋葬後墓石等は与えられなかったので、どこに埋葬されているかは不明です。

ハインリヒ・ヒムラーが残した言葉

ヒトラーとヒムラー

ヒトラーが命じれば、私はたとえ実の母親でも撃ち殺すだろう。そしてそんな命令を下すほど信頼してくれたことを誇らしく思うだろう

ヒトラーへの忠誠が分かる発言です。実際に彼はその忠実さによって「忠臣ハインリヒ」といわれました。これが美称にせよ蔑称にせよ、ヒトラーと国から与えられた職務には忠実であるというのは、ヒムラーの共通した風評であったといいます。

恐るべき「労働を介した絶滅」の根底にある思想です

反ユダヤ主義はシラミの駆除と同じことだ。シラミを駆除することは何ら世界観の問題ではない。それは清潔さの問題である。まもなくシラミはいなくなる

非常に過激な発言です。このような演説をドイツ各地で行っていたといいます。ヒムラーが「ホロコースト」をどの様に考えていたかを端的に現した言葉です。

ハインリヒ・ヒムラーにまつわる都市伝説・武勇伝

都市伝説・武勇伝1「オカルトオタクだった」

ハインリヒ1世の霊廟を参るヒムラー

ヒムラーは理想主義者な側面があり、異常なオカルトオタクでスピリチュアリズム的ことにのめり込んでいたといわれています。城を購入して「交霊術」に興じてたそうです。特に「ハインリヒ1世」を尊敬して、城の中で瞑想してハインリヒ1世と交信をし、お告げを聴くのが恒例化していました。

最後には、自身はハインリヒ1世の化身と信じるようになったといいます。城の中にはヒトラー用の部屋を作り、総統が来ることを心待ちにしていたといいます。しかし最後までヒトラーから相手にされることはありませんでした。

都市伝説・武勇伝2「日本から影響を受けていた」

ヒムラーは日本の武士道に非常に興味を持っていたといいます

ヒムラーの歴史観で一番大事なものは、地位や社会階級ではなく「ゲルマン民族の血」でした。個人はすぐに死ぬ存在であるが、祖先から子孫へという民族の血の流れは悠久であり、不滅のものと考えていたのです。

そのため祖先、家系の名誉のためには自決するのもいとわないという日本の武士道に共鳴していたといいます。ヒムラーは常にこれを親衛隊の思想の模範とすべきと考えており、「日本を見習え」と演説していたそうです。

「ルーン文字」「カナ文字」との関連性を調べていたといいます

他のSS隊員の証言によると、ヒムラーの日本への関心はかなり強く、日本史に精通していたといいます。そのため日本人がアーリア人種であることを立証しようとし、ルーン文字とカナ文字の関連性についての調査に意見をしたりしていたといわれています。

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