北斎漫画とは?内容や作成の背景、与えた影響まで分かりやすく解説

海外に与えた影響

北斎漫画はひょんなことから海を越え、ヨーロッパの画家たちに衝撃を与えます。もちろん浮世絵もそうなのですが、今まで触れたことのない日本の絵に彼らはどのような刺激を受けたのでしょうか?

きっかけとその影響を本章ではお話していきます。

「緩衝材」が印象派に影響を与えた?

フェリックス・ブラックモン。彼が北斎漫画を見つけたと自身で語っている。

北斎の作品が海を渡った理由は「緩衝材」という説が有力です。日本では当時鎖国状態で、浮世絵などを直接輸出するなどのことはもちろん、人の往来は限定的でした。

北斎の作品を初めて手にしたとされるブラックモンは、なんと輸入品の壺に入っていた緩衝材の中に北斎漫画を見つけたというのです。その後、彼をきっかけに印象派と呼ばれる画家に影響を与えたとされています。

ただし、この説は若干の問題点もあり、懐疑的な意見もあります。しかし、北斎の作品がゴッホやモネに影響を与えたことは間違いないとされています。

近代美術を変えてしまったとも

ゴッホが浮世絵の影響を受けて描いた『タンギー爺さん』。背後には浮世絵らしきものが描かれている。

当時のヨーロッパ美術は王立アカデミーがすべての基準でした。キャンバスには目一杯の絵を書き、見たものをそのまま描くというものです。

しかし、北斎漫画や北斎の作品は余白を活かす方法や極端なまでの遠近法、簡略化されつつもそれがなにかを明確にする画法が満載。当然そんな考えのなかった彼らですから、受けた衝撃の大きさは言うまでもありません。

一部の画家は北斎にインスパイアされたことで、北斎の構図を真似た作品も出てきました。それと同時にそれまでの絵画の技法も大きく変化していったのです。

北斎漫画に触れたいなら

さて、ここまで触れてきた北斎漫画ですが、私達が目にする方法もあります。その方法は本はもちろんのこと、電子データや展覧会で触れることができるのです。

本章では北斎漫画を実際に見てみたいという人に向けておすすめの書籍や電子データ、展覧会の情報をお届けします!

本を買う

北斎漫画に関する本は実はかなりたくさん出版されています。その中でも特におすすめしたいのが、青幻舎から出ている『北斎漫画(全3巻セット)』です。

全3巻の単行本にまとめられた北斎漫画のスケッチたちとともに、北斎研究家・永田生慈の解説付きで理解を深めながら読み進めることができます。2011年刊行と少し古い本ですが、北斎漫画を知るためにはぜひ手にしておきたい本です。

海外の図書館の電子データで読む

実は北斎漫画は海外の図書館でデータベース化されており、誰でも読むことができます。現在3つの図書館が公開していますが、もっとも読みやすいのがスミソニアン協会図書館にあるデータです。

北斎漫画だけではなく北斎の作品がPDFとして公開されており、ダウンロード可能。サイトは英語ですが読んでみたい人にはうってつけのツールです。

スミソニアン協会図書館へのリンクはこちらをクリックしてください。

展覧会へ行く

あまり表に出てこない北斎漫画ですが、ここ数年の漫画ブームの影響もあってか、展覧会が各地で開かれています。実は12月10日〜1月31日まで、広島県立美術館での展覧会が決まっています。

普段は見ることができない北斎漫画を生で見られる大チャンス!入場料は一般1,200円、高・大学生1,000円、それ以下は600円となっています。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

広島県立美術館。北斎漫画の企画展は年末年始を除いて開催される。

北斎漫画に関するまとめ

北斎漫画は、日本の画家志望の人以外にも海外の画家にも、そして現在に至るまで幅広い人たちに受け入れられ、かつ影響を与えてきたことがわかりました。ここまで北斎は予想していたでしょうか?

絵の世界にどっぷりと浸って、その絵の世界を変えてしまったその姿はまさに「画狂老人」の名にふさわしいと言えますね。昔は高級品で一般人の手にはなかなか渡らなかった北斎漫画に私達は簡単に触れることができます。少しでも興味を持ったら実際に読んでみてはいかがでしょうか?

それでは長時間に渡りお付き合いいただきありがとうございました!

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