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ルネ・マグリットはどんな画家?生涯・年表まとめ【代表作品も紹介】

ルネ・マグリットの生涯年表

1898年 – 0歳「マグリット、ベルギーに生まれる」

マグリットの少年時代

若いころのマグリット。すべてはここからはじまった。

1898年11月21日、マグリットは仕立屋と行商で生計をたてる父レオポール・マグリットと母・レジーナ・ベルタンシャンの長男として誕生しました。はじめに住んでいた町はエノー州レシーヌでしたが、2歳の頃にジリーに、6歳の頃にはシャトレに移住します。この期間には、レーモン、ポールと弟2人が誕生しました。

1912年マグリット14歳になるこの年の2月24日、母・レジーナは寝室を抜け出し、サンブル川に投身自殺を図ります。3月12日の朝、顔をナイトガウンで覆われ変わり果てたすがたとなって発見されたレジーナ。この事件はながくマグリットの心にとどまることになりました。

のちの妻・ジョルジェットとの出会いと別れ

マグリットの愛を一身に受けたジョルジェット

1913年、マグリットは父と弟2人と一緒にシャルルロワに移住しています。この年のシャルルロワの祭に参加したマグリットは、そこでのちの妻となるジョルジェットと出会いました。マグリット14歳、ジョルジェット12歳、2人は一緒にメリーゴーランドに乗りますが、この時点では交際には至っていません。

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、一家はシャトレに移住します。ジョルジェットとも離ればなれとなります。翌1915年にはブリュッセルで一人暮らしをはじめました。この時期のマグリットは印象派風の作品を描き残しています。

1916年 – 18歳「王立アカデミーに入学、本格的に画業の道へ」

王立アカデミーがマグリットの世界を広げる

友人となったピエール・ブルジョアの肖像(1920年)

1916年にマグリットは王立アカデミーに入学、一家がブリュッセルに移住します。アカデミー在学中には未来派や抽象派、キュビズム、ピュリスムとさまざまな新しい絵画に出会いを重ねています。1919年に詩人のピエール・ブルジョア、E.L.Tメセンスらに出会ったこともこうした出会いのきっかけとなりました。

1920年、マグリットはジョルジェットと運命的な再会を果たします。マグリットは画学生、ジョルジェットは画材店員となっていました。7年という空白期間を超えてふたりを結びつけたものは、やはり絵画だったのです。

結婚し、本格的に画業に就く

マグリットが手掛けた広告

1921年から1年間の兵役に就いたマグリット。兵役を終えた翌1922年、ついにジョルジェットと結婚します。マグリット22歳、ジョルジェット20歳の夫婦となりました。マグリットは生計を立てるため壁紙デザイナーやポスター・広告デザイナーとしての仕事を請け負うようになります。

20代半ばから後半にかけて雑誌の発刊や初の個展など画家としての活動を本格化させています。この頃、友人のメセンスと1925年に雑誌『食道』を、1926年に雑誌『マリー』を発刊しました。またこの時期に初のシュルレアリスム作品「迷える騎手」を制作しています。1927年には拠点をパリに移し、アンドレ・ブルトンらシュルレアリスム画家たちとの交流をもちました。

1928年 – 30歳「パリでの挑戦と父の死を乗り越え、各地で個展をひらく」

パリでの挑戦と父の死

「夢の鍵」(1930年、個人蔵)、この時期は「言葉とイメージ」を追求していた

1928年8月、マグリットの父・レオポールが亡くなります。マグリットを常に応援し、支え続けてきた父。その死はマグリットの心に大きな虚無感を生みました。またシュルレアリスム画家としての大成を期して移ったパリにおいても、マグリットは十分な評価を得ることができず、むしろパリのシュルレアリスムを代表する画家アンドレ・ブルトンと仲違いをしてしまいます。1930年、マグリットはパリでの挑戦を終えブリュッセルに戻ったのでした。

各地で個展をひらく

「人間の条件」(1933年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵)

1930年、マグリットは弟ポールとデザイン事務所「スタジオ・ドンゴ」を設立します。以降、並行してマグリットは制作を続け、各地で個展を開いていきます。また、この時期は「イメージの詩学」から「問題と解答」へと方法論を深化させています。

  • 1928年:ブリュッセル(レポック画廊)にて個展
  • 1930年:パリ(グーマンス画廊)のシュルレアリスム・コラージュ展に参加
  • 1933年:パリ(ピエール・コル画廊)のシュルレアリスム展に参加
  • 1936年:アメリカで初の個展、ロンドンの国際シュルレアリスム展に参加
  • 1938年:パリの国際シュルレアリスム展に参加、ロンドンで個展を開く

1939年 – 41歳「第二次大戦とマグリット」

侵略されても祖国にとどまる

「黒い旗」(1937年、スコットランド国立近代美術館蔵)

1939年、マグリット41歳になるこの年の9月にドイツ軍はポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発します。多くの画家がフランスへと避難する中、マグリットもまた一時的に南フランスのカルカソンヌにたどり着きます。しかし、マグリットは妻・ジョルジェットが虫垂炎でブリュッセルにとどまっていたため、妻の元へと戻りました。パリのシュルレアリストたちはアメリカへと亡命しますが、マグリットたちベルギーのシュルレアリストは祖国にとどまっています。

画家・マグリットの戦い

「幸福の兆し」(1944年、ブリュッセル・バーガー・コレクション蔵)

その後のマグリットは、ファシズムに対抗するかのように明るく柔らかい画題が増えてゆきます。加えて、多くの個展、グループ展に出品するようになりました。1943年頃から1947年頃までのちに「ルノワール」の時代と呼ばれる作品群を制作しています。1944年9月、イギリス軍がベルギーを開放。1945年5月にはドイツが降伏。ヨーロッパでの戦闘はようやく収束へと向かいました。

「省略」(1948年、ベルギー王立美術館/マグリット美術館蔵)

1947年、パリのシュルレアリスムを牽引するブルトンとの対立から、シュルレアリスム国際展への招待が取り消される事態に見舞われたマグリット。翌1948年のフランスでの個展を復讐の機会とするため、のちに「ヴァッシュ」の時代と呼ばれる作品群を制作、1948年にはパリで初の個展をひらきヴァッシュ様式の連作を出品しました。

1950年 – 52歳「戦争を超えて、晩年のマグリット」

石化した世界の表すもの

「自然の驚異」(1953年、シカゴ近代美術館蔵)

1950年以降、石化した世界を描いた作品が増えてゆきます。代表的なものは「会話術」「自然の驚異」など。冷たく硬い世界を描くことで、移ろいやすく無常な現世を表現しているとも考えられます。これらの作品は、二度の世界大戦を終えた世界に平和の尊さを訴えかけているかのようです。

回顧展

「魅せられた領域」(1953年、ベルギー、クノッケ・ル・ズートのカジノ蔵)

1954年、マグリット56歳になる年に最初の大回顧展が行われました。この前後の時期には有名な2点の壁画制作を行っています。1953年のクノッケ=ヘイスト市営カジノの壁画「魅せられた領域」、1957年シャルルロワのパレ・デ・ボザールの壁画「無知の妖精」です。

1961年~62年にかけてはフランスのシュルレアリスト画家イヴ・タンギーとの共同展を巡回にて行います。1962年にはクノッケ=ヘイストで大回顧展、1965年にはニューヨークで回顧展が行われました。

1967年 – 68歳「ルネ・マグリット、逝く」

「騎手のいる風景」(1967年、個人蔵)は未完のまま残された遺作として知られる

1967年8月15日、ルネ・マグリットはすい臓がんのためベルギー国・ブリュッセルにて死去しました。享年68歳。その謎めいた、しかし奥底に人類への愛と未来への希望をたたえた作品は、いまなお多くの人を魅了しています。ルネ・マグリットは今この瞬間もブリュッセル・スカールベーク墓地に、愛する妻のジョルジェットとともに眠っています。

ルネ・マグリットの関連作品

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マグリット 光と闇に隠された素顔

マグリットの生涯や作品について解説した書籍です。ベルギー王立美術館公認解説者の森耕治氏の著作だけにその正確さ・奥深さに定評のある一冊です。この一冊を読むだけでも、マグリットの事績と作品に相当詳しくなることができると思います。

もっと知りたいマグリット 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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関連外部リンク

ルネ・マグリットについてのまとめ

今回は、シュルレアリスムの代表画家であるルネ・マグリットについて、その生涯を概観しつつ各時代の代表的絵画をご紹介しました。生真面目で自律的な性格のマグリットは、芸術家にイメージされがちな奔放さとは異なる個性を持っていました。それなのに、作品はまた全然イメージが違っていて、その冷静と情熱のギャップがマグリット最大の魅力ではないでしょうか。

人類史に残る第二次世界大戦が世界中の人々の人生を翻弄した時代にあって、マグリットはコツコツと自身の信念--人間愛を作品に描き出していきました。今回ご紹介した他にも、たくさんの素晴らしい作品があります。この記事を読まれた方が、マグリットの絵画に興味を持たれ、1点でも多くのマグリット作品に出会っていただけたら嬉しいです。

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