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ロマネスクとは?建築・様式について簡単に解説【ゴシックとの違いや代表作も】

「そもそも『ロマネスク』って何?」
「ロマネスク建築ってどんな様式?」
「ロマネスク建築の代表的な建物は?」
「ロマネスク建築とゴシック建築の違いは?」

この記事を読んでいるあなたは、このような疑問を抱いているかもしれません。ロマネスクとは、中世の西ヨーロッパで誕生した建築様式です。教会を建築するための技術や知識が最大限に使われました。

ベネディクト会修道院(ドイツ)

ロマネスク建築によって建てられた建築物は現在でも多数残っており、世界遺産として登録されている建物もあるほどです。この記事ではロマネスク建築について、歴史的な建物が大好きで世界の建築物の写真を眺めることが趣味の筆者が詳しく解説します!

ロマネスクとは何か

「ロマネスク」とは簡単にいうと

ロマネスクとは、建築をはじめとして絵画や彫刻、音楽、文学など芸術的な様式を表す用語の一つです。ロマネスクは日本語に訳すると「ローマ風の」という意味であり、フランスの考古学者によって名付けられました。

「ローマ風の」という意味からも分かるように、ロマネスクは古代ローマ文化への憧れや影響を受けたものを示しています。

ウィンチェスター聖書の「モーガン・リーフ」の挿絵

ロマネスク時代は10世紀から12世紀頃のロマネスク建築から始まったとされ、19世紀頃から正式に「ロマネスク」という言葉が使われるようになりました。

ただし、19世紀当時のロマネスクの評判はあまり良いものではありません。ロマネスクは「物事にこだわらない大らかさがあり、奇抜過ぎる」と思われていたのです。

20世紀に入ってから、ようやくロマネスクの良さが認識されるようになりました。芸術的な評価を得られるようになり、その中でもロマネスク建築は世界遺産に登録されていったのです。

「ロマネスク建築」とは簡単にいうと

ロマネスク建築とは、10世紀後半から11世紀初頭に誕生した建築様式です。イタリアやドイツ、フランスを中心とした西ヨーロッパで始まり、発展しました。

教会建築としての意味合いが強く、ヨーロッパの多くの教会や大聖堂、修道院にはロマネスク建築が用いられています。

そのため、ロマネスク建築物は修道士たちの巡礼路や世俗と離れた森や山頂などの僻地に建てられていることが多いです。

ロマネスク建築の基盤は教会建築

ロルシュ修道院

ロマネスク建築は、キリスト教の修道院の活動がヨーロッパに大きな影響を与えていた時期に生まれました。そのため、教会をはじめとする大聖堂や修道院などの教会建築が基盤となっています。

12世紀には教会の建築が増加し、ヨーロッパ各地においてロマネスク建築を用いた建造物が多く建てられました。当時の教会の役割は現在よりも厳格であり、絵画や彫刻といった豪華な装飾物はほとんどありません。

神に感謝し、世俗と離れて修道士としての活動に勤しむことを第一の目的として建てられました。そのため、ロマネスク建築の建造物を見れば、当時の修道士たちの生活を垣間見ることができるでしょう。

ロマネスク建築の代表的な建物

シュパイヤー大聖堂の内観

ロマネスク建築様式で建てられた建物は数多くありますが、その中でも特に代表的な建物を三つ紹介します。

シュパイアー大聖堂

シュパイヤー大聖堂は、ドイツの都市であるシュパイヤーに建てられた聖堂です。正式名称を「聖マリア・聖ステパノ大聖堂」といい、赤い砂岩でできたロマネスク建築の建物になります。

後述するロマネスク建築の特徴である「バシリカ式」を顕著に表しており、ロマネスク建築の中でも最も美しく優れたデザインを持つ建物です。

シュパイヤー大聖堂

そんなシュパイヤー大聖堂は、ローマ皇帝であったコンラート2世の埋葬地として1030年から1061年に建設されました。コンラート2世以外にも、他のローマ皇帝やローマ王、彼らの家族や僧侶たちがシュパイヤー大聖堂に葬られています。

シュパイヤー大聖堂は二度破壊される被害に遭いました。しかし、その都度修復されて、今では建設当時の姿を見せています。1981年には文化遺産として、ユネスコの世界遺産に登録されました。

ピサ大聖堂

ピサの斜塔で有名なピサ大聖堂。1272年、イタリアのトスカーナ州ピサにある「ピサのドゥオモ広場」にて建てられます。

ピサ大聖堂

ピサ大聖堂は、イタリアの都市ピサがキリスト教信仰の中心地となった富と権力を示す目的で建設されました。ロマネスク建築が盛んになった11世紀から作られ始めたため、ロマネスク建築の様々な様式や技術が用いられています。

例えば、「バシリカ式」や「ヴォールト建築技術」などが代表的なものです。他にもロマネスク建築の特徴である「アーチ」なども取り入れられました。

また、ピサ大聖堂の鐘楼として作られた斜めに傾いている塔は「ピサの斜塔」と呼ばれ、現在ではピサ大聖堂も含めた観光スポットとして人気を博しています。

ヴォルムス大聖堂

ヴォルムス大聖堂

ヴォルムス大聖堂はドイツの都市ヴォルムスに建てられた聖堂です。シュパイヤー大聖堂と同じく、美しいロマネスク建築物の一つとして知られています。

建築材料もシュパイヤー大聖堂と同様に赤い砂岩が使われており、内観の厳かな雰囲気を醸し出す要素として役立ちました。建築様式もロマネスク建築の特徴を持っており、「バシリカ式」の聖堂が外観によく現れています。

ヴォルムス大聖堂の内観

ただし、上記二つの代表的な建物と異なる点として挙げられるのが建築目的です。ヴォルムス大聖堂は純粋に神に捧げるものとして作られ、装飾品は非常に簡素なものばかりです。

そのため、ヴォルムス大聖堂はロマネスク建築物の中でも装飾の少ない重厚なロマネスク様式を顕著に表している建造物と言えるでしょう。

ロマネスク建築の特徴

ロマネスク建築は厳密な建築規則があるものではありません。しかし、各地方でデザインが違っていても、次のような共通の特徴が見受けられます。

1:分厚い壁

スペインのロマネスク建築物

ロマネスク建築の特徴として、まず挙げられるのは分厚い壁。この特徴は、ロマネスク建築様式の一つである「ヴォールト建築構造」の天井が関係しています。

後述で詳しく説明しますが、「ヴォールト建築構造」で作られた石造りの天井は構造上外に開こうとする力が働きます。

そんな天井を支えるために、ロマネスク建築で建てられた建物の壁は非常に分厚くなっているのです。ロマネスク建築物の中には、壁の厚さが約1mになる建物も存在します。

また、この分厚く重厚な壁は、ロマネスク建築が流行した時代に活動していた修道士たちの禁欲的な生活を思い起こさせる一つの要素にもなるでしょう。

2:小さな窓

シュパイヤー大聖堂の中央通路の一部

小さな窓が多いことも、ロマネスク建築の特徴です。分厚い壁と同じく建物を支えるために窓を小さく作っています。そのため、ロマネスク建築物は自然光が入りにくい内観です。

また、他の建築様式と比べて技術が未発達な時代にできた建築様式であることも理由の一つになっています。

ロマネスク建築以降の建築様式では建物の強度と窓の作成を上手く両立した技術が出来あがりました。しかし、ロマネスク建築時代はまだそこまでの技術がなかったため、小さな窓が主流になったのです。

3:半円アーチ

スペインのサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院

半円のアーチもロマネスク建築の特徴として挙げられるでしょう。ヨーロッパ建築では様々な形のアーチが用いられていますが、ロマネスク建築ではローマ風の半円形のアーチを使用しています。

重厚な壁と半円アーチが組み合わさった外観と内観は、荘厳かつ美しい姿です。この風景が観光客たちの目を惹く要素になっていると言っても過言ではありません。

4:豪華な柱頭

スペインのサンタ・フリアナ聖堂の柱頭

基本的に簡素な内観であるロマネスク建築。その中で、唯一豪華に出来ている柱頭はロマネスク建築の内観における最大の特徴といえるでしょう。

多くの柱頭には、植物の模様や物語をモチーフにしたデザインが使われています。植物の模様としては編み籠や蔓草(つるくさ)などが多く、そこに動物を組み合わせたものもあります。

モチーフにされた物語には、悪魔から人々の魂を守る天使や十字架の降下、騎士の話が多いです。いずれもキリスト教を思わせるものであり、宗教信仰の活動が激しかった時代を感じることができますよ!

ロマネスク建築の様式とは

カルブロゼのバシリカ

ロマネスク建築の様式には、初期のキリスト教建築の要素が多く含まれています。代表的なロマネスク建築の様式を三つ紹介しましょう。

ヴォールト建築構造

ヴォールト建築構造は、石造りのトンネル型の天井のことです。ヴォールトとは、かまぼこ形のような半円型の天井様式の総称になります。

トンネル型の天井が続いているものや交差しているものなど、建物によって異なるヴォールト建築構造が使われているのです。

美しいヴォールト建築構造の天井

ロマネスク建築の特徴でも述べたように、このヴォールト建築の天井を支えるためにロマネスク建築の建物は壁が分厚くなりました。

ヴォールト建築構造は、ロマネスク建築の次に流行したゴシック建築でも用いられています。

バシリカ式の内観

バシリカとは、ローマ帝国時代に教会建築に利用された建築様式です。かつては、教会や修道院の他にも商業施設や集会所、裁判所としても使われていました。

平面で長方形の構造をしており、バシリカ式の内観は連結された柱と高い位置に作られた窓が特徴的です。

サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂(五大バシリカの一つ)

初期のロマネスク建築は、バシリカ式の中でも天井と屋根は木造で壁は石造りといった非常に簡素な作りでした。

その後、ヴォールト建築構造による石造りの天井などが増えていきます。しかし、長方形のデザインは変わらずそのままでした。

西構えの入り口

ロマネスク建築では、西側を正面とする西構えの入り口が建築様式の一つとなっています。初期のロマネスク建築から発展していきました。

その後、複数の塔を組み合わせた様々なデザインが出来上がります。そして、11世紀から13世紀かけて各地で西構えの入り口を持つ建物が増えていったのです。

ロマネスク建築とゴシック建築の違い

ロマネスク建築の流行が過ぎ去った後、新たな建築様式として出来たのがゴシック建築です。ロマネスク建築とゴシック建築。この二つを比べてみると、次のような違いが分かります。

1:壁と建物の高低

ロマネスク建築で作られたサン・ミリャン教会(スペイン)

ロマネスク建築とゴシック建築の建物の外観を見て、すぐに分かる違いは壁と建物の高低差です。ロマネスク建築は壁が厚くて低い建物が多いですが、ゴシック建築は壁が薄くて建物の高さは高く作られています。

なぜこのような違いができたのか。それは、それぞれの建築技術が大きく関係しています。ロマネスク建築では天井を支えるために壁を分厚く作らねばなりませんでした。そのため、どうしても建物を高く建設することができなかったのです。

ゴシック建築で作られたケルン大聖堂(ドイツ)

しかし、ゴシック建築時代には重さを逃す建築技術が向上していたため、壁が薄くて高い建物を作ることができました。これは、ロマネスク建築とゴシック建築の一番わかりやすい違いですね。

2:窓の大きさ

窓の大きさもロマネスク建築とゴシック建築では違います。ロマネスク建築では建物の強度を保つために小さい窓が主流になっていますが、ゴシック建築は大きな窓が多いです。

こちらも建物の強度を保つ建築技術がゴシック建築時代に進んでいたことが理由として挙げられます。

巨大なバラ型の窓が特徴的なゴシック建築の聖ヴィート大聖堂(チェコ)

ロマネスク建築では飾り気のない小さな窓でしたが、ゴシック建築ではステンドグラスを使用した豪華で大きな窓に様変わりしたのです。

3:内観の装飾

内観の装飾も、ロマネスク建築とゴシック建築では違いが見られます。ロマネスク建築は装飾品が少なく、質素な内観が特徴的です。しかし、ゴシック建築では重厚な雰囲気はそのままでありながら豪華な装飾品が増えました。

例えば、大きな窓を作ることができるようになり、窓のガラスに色彩豊かなステンドグラスを使用するようになったのです。

サント・シャペル教会のステンドグラス(フランス)

このステンドグラスには聖書の物語が描かれており、聖書の内容に詳しくない人や文字が読めない人でも聖書を分かりやすく学べるようになっています。

また、天井の重みを逃がすために作られた斜めのアーチ状の梁(フライング・バットレス)や天井に筋をつけたリヴ・ヴォールトなどもあります。これらもゴシック建築の華やかな雰囲気を醸し出す要素です。

ロマネスク建築が与えた影響

ロマネスク建築は冒頭でも述べたように、主にヨーロッパで広まった建築です。しかしその影響は日本にも届いています。

日本キリスト教団の本拠である大阪教会は、ロマネスク建築風に設計されました。他にも東京商科大学や神戸商業大学もロマネスク建築風の建物です。

ロマネスク建築の歴史

960年又は1000年「ロマネスク建築の誕生」

ザンクト・ミヒャエル聖堂(ドイツ)の内観

ロマネスク建築が誕生した年には諸説ありますが、一般的には960年頃か1000年頃とされています。東ローマ帝国の元で発展したビザンティン建築と同時期に西ヨーロッパで流行しました。

それ以前の建築にもロマネスク建築の特徴が見られるため、960年以前の建築は「プレ・ロマネスク」と呼ばれます。

ロマネスク建築は、9世紀頃から始まっていた侵略や紛争が終わった後に誕生した建築様式です。異なる文化や宗教観との対立を経ていたために、ロマネスク建築は教会建築を主流としました。

11世紀末「フランスやドイツにて建築が活発に」

ル・トロネ修道院(フランス)

11世紀からは、フランスやドイツを中心にロマネスク建築の建設が活発に行われるようになります。そして、フランスとドイツ、それぞれの特色に合わせたロマネスク建築物が多く建てられました。

フランスでは、各地域の材料を利用した多様なロマネスク建築物が建設されます。しかし、多様な建物でありながらもキリスト教の表現を用いることは共通していました。

ドイツは内観に三つの祭室を作る様式を取り、数多くの大聖堂や修道院を建設します。そして、今でも在存しているドイツのロマネスク建築物のほとんどが世界遺産に登録されているのです。

12世紀半ば「ロマネスク建築の最盛期」

トリーア大聖堂(ドイツ)

11世紀末から建設が活発化したロマネスク建築は、12世紀半ばまでに最盛期を迎えます。

西ヨーロッパがそれ以前よりも安穏した時期に入り、経済や農業活動によって人口が増えたことが理由の一つです。

人口が増え、安定した生活を送ることができれば人々はそれまでより芸術や信仰に目を向け始めます。それにより、ロマネスク建築による教会建設に拍車がかかりました。

12世紀半ば「ゴシック建築への移行」

ロマネスク建築が最盛期を迎えた後、その特徴を併せ持ったゴシック建築が誕生しました。ゴシック建築はロマネスク建築よりもさらに技術を高めたものであり、大聖堂の建築に多く利用されています。

ドゥオモ大聖堂(イタリア)

ゴシック建築が誕生したことでロマネスク建築による建物は少なくなってきましたが、ゴシック建築以降の建築様式の基盤をロマネスク建築が作ったことは間違いありません。

ロマネスク建築に関するまとめ

いかがでしたでしょうか?この記事では、ロマネスク建築の代表的な建物や特徴、様式、歴史までを詳しく解説しました。

ロマネスク建築は、ヨーロッパの宗教的な争いを経て生まれた古い建築様式です。そのため、現在の教会や大聖堂と比べると一見質素で地味な建物に見えるかもしれません。

ノートルダム・ラ・グランド教会(フランス)

しかし、簡素でありながらも重厚な壁や天井を見れば、当時の修道士たちの生活やキリスト教の信仰を思い浮かべることができます。また、ロマネスク建築以降に誕生したゴシック建築と比較する楽しみもありますね。

あなたもロマネスク建築の建物を見て中世ヨーロッパの雰囲気を味わってみませんか?

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