ロゼッタストーンとは?意味や内容、解読者について詳しく紹介

ロゼッタストーンの解読者は?

ロゼッタストーンは1799年に発見され、1822年にようやく解読されました。ギリシア語の解読は1803年に終了しましたが、民衆文字と神聖文字の解読には10年以上の歳月を要しました。そんな2つの文字を解読したのは2人の学者です。

トーマス・ヤング

トーマス・ヤング。物理学者で1800年からは医師として活動していた

トーマス・ヤングはイギリスの物理学者です。言語学者でもないトーマスがなぜ解読に加わっていたのかというと、理由は単純でロゼッタストーンの解読は一種のブームとなっていたからです。

ロゼッタストーンの解読には言語学者だけでなく他分野の人間も加わっており、トーマスもその1部でした。言語学者としてはアマチュアだったトーマスですが、彼は解読のきっかけとなる発見をします。

1814年に、トーマスは民衆文字の文章のなかに異国人の名前が発音通りにつづられているのを見つけました。この発見により、シャンポリオンはエジプトの古代文字を解読するきっかけを得ることができたのです。

ジャン・フランソワ・シャンポリオン

シャンポリオン。神聖文字の解読に成功し、古代エジプト学の父と呼ばれている

シャンポリオンはロゼッタストーンの解読に初めて成功した、フランスのエジプト学者です。シャンポリオンはロゼッタストーン解読当時、グルノーブル大学の教授として古代エジプトの研究を行っており、文化にも精通していました。

また、語学的な才能に優れており、アラビア語やコプト語(4世紀以降のエジプト語)など10以上の言語を習得しています。

トーマスとはライバルのような関係であり、互いを認めあっていました。神聖文字の解読にはトーマスの発見がきっかけとなっています。トーマスは物理学者で、言語学やエジプトについて詳しくありませんでした。そのため、異国人の名前を発音通りにつづっているのはわかったのですが、その先へと進めなかったのです。

対してシャポリオンは専門家であったため、トーマスの発見から考えを発展させることができました。シャンポリオンは、発音通りにつづられた言葉は異国人の名前だけでなく、エジプト語のつづりにも使われていることを発見します。

シャンポリオンはこの発見と、エジプトや言語についての豊富な知識により1822年に民衆文字とヒエログリフの解読に成功しました。

ロゼッタストーンは現在どこにある?

大英博物館

イギリス・ロンドンにある大英博物館。世界最大の博物館の1つで古今東西の遺物や美術品が展示されている

現在、ロゼッタストーンはイギリスの大英博物館にあります。

フランスが見つけたロゼッタストーンがイギリスにある理由は、1801年にアレクサンドリアでフランスがイギリスに負けたからです。当時のイギリスはロゼッタストーンの考古学的な価値に気づいており、フランスに勝利しロゼッタストーンの引き渡しを要求しました。

フランスはかなり渋りましたが、最終的にイギリスの手に渡ることとなります。なぜ、イギリスに所有権が移ったのか、正確な情報はありません。一説によればイギリスの将軍が、フランスの将軍からロゼッタストーンを直接奪い取り、大砲を乗せる荷車に乗せて運んだと言われています。

無事、ロンドンへと持ち込まれたロゼッタストーンはその翌年から大英博物館で一般公開されました。最初は少し角度をつけて、そのまま展示していましたが1847年になってケースの中に設置されるようになりました。

以降、ロゼッタストーンが大英博物館を離れたのは、戦争中を除けばルーブル美術館の1回しかありません。ロゼッタストーンは大英博物館の中で最も人気の展示物として、現在も公開されています。

エジプトへの返還要請

ロゼッタストーン発見の地ラシードに飾られたレプリカ

現在、イギリスが保管しているロゼッタストーンですが所有権について争いがおこっています。

当初はナポレオン戦争中にフランスからイギリスに所有権が移ったということで収まりましたが、2003年にエジプトが正当な所有者であることを指摘しました。

実際、発見されたのはエジプトなので指摘の内容は妥当だと世界的にも認められています。しかし、現在も大英博物館にあることからわかる通り、イギリスはエジプトへいまだにロゼッタストーンを返していません。

もともとエジプトにあったのだから返してあげましょうよ、と思うかもしれませんが、実はエジプトは正式な返還要請を出していません。それを理由に大英博物館は返還の姿勢を示していません。

大英博物館が返還する意思を見せないのには、他にも理由があります。大英博物館には、他にも他国の文化的遺産が展示されています。その代表がパルテノン神殿の彫刻群です。これについてもギリシャから返還するようにと声が挙がっているのですが、イギリスはこれを受け入れていません。

パルテノン神殿の彫刻群

なぜ大英博物館が頑ななまでに返還に応じないのかというと、以上のような返還要請に1回でも応じてしまえば、貯蔵している他国の文化財をすべて返さなければならなくなるからです。そうなってしまえば大英博物館は、今まで保っていた地位を失いかねません。

こういった事情があるため、ロゼッタストーンも当分の間、エジプトへ返還される予定はないでしょう。ここまで言うと大英博物館が他国の文化財を独占する悪者に見えます。しかし、大英博物館にあるからこそ、良い状態が保たれている文化財も多いです。

そのため、一概に悪いとも言えません。文化財の問題については、これからも議論が行われることは間違いないでしょう。

ロゼッタストーンに関するまとめ

ロゼッタストーンについて紹介しましたが、いかがでしたか?最後に簡単にまとめます。

  • ロゼッタストーンは1799年に発見された古代エジプトの石碑
  • 神聖文字・民衆文字・ギリシア文字で書かれている
  • プトレマイオス5世の功績と法令についての内容が記されている
  • 神聖文字と民衆文字はシャンポリオンによって解読され、トーマスは解読のきっかけを作った

記事の中では紹介しませんでしたが、日本のいくつかの博物館ではロゼッタストーンのレプリカが展示されています。もし興味がありましたら、1度訪れてみてはいかがでしょうか。

本記事がロゼッタストーンについて知る助けになれたのなら幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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