「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」の真相
実はマリー・アントワネットの発言ではなかった
「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」という発言は、実はマリー・アントワネットの台詞ではなかったと言われています。実際に、マリー・アントワネットが発したという記録はどこにもないのです。
しかし、マリー・アントワネットが贅沢な宮廷菓子を好んでいたことは間違いありません。特に、マリー・アントワネットが愛したと言われるのが「グーゲル・フプフ」という菓子です。グーゲル・フプフとは、元々はオーストリア発祥の菓子であり、ハプスブルク一族にも親しまれていました。
また、マリー・アントワネットがオーストリアからフランスへ持ち込んだ菓子の中に、「キプフェルン」という菓子があります。このキプフェルンは、後世において三日月を意味する「クロワッサン」として世界に知られることになるのです。
ルソーの自伝「告白」
「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」は、18世紀にフランスで活躍した哲学者ジャン=ジャック・ルソーの自伝的な著作「告白」に書かれていた台詞が起源だったのです。
この作品内において、ワインの共にするパンを求めていたルソーは、とある高貴な婦人の言葉を思い出します。その言葉とは、パンを持っていない農民に対して婦人が口にした「ブリオッシュを食べればいい」という発言でした。しかし、この発言をした婦人の名前は明かされていないのです。
そして、この作品が書かれた時期はマリー・アントワネットが9歳の頃であり、オーストリアの宮廷で暮らしていた時代でした。そのため、「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」という台詞は、マリー・アントワネットの発言ではないのです。
なぜマリー・アントワネットの台詞と信じられたのか
この名言はマリー・アントワネットの発言ではないにもかかわらず、なぜそうであると信じられていたのでしょうか。その理由は、フランスで起きていた気候不順によりパンの入手が難しくなっていた時代背景の他に、フランス国民の間でマリー・アントワネットの評判が非常に悪かったことにありました。
オーストリア出身のマリー・アントワネットは、従来のフランスにおける制度の軽視や浪費癖などが度々批判の対象となっていたのです。そして、フランス革命直前の時期には、既に民衆からの人望は無くなっていました。その後、革命派の歴史家が、当時のフランスにおける上流階級の人間が持つ傲慢さを表現するために、ルソーの「告白」に出てくる台詞を都合よく引用したのです。
その結果、ルソーの「告白」に登場する高貴な婦人とマリー・アントワネットのイメージが重ねられていきました。そして、フランスでは「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」という台詞が、マリー・アントワネットを象徴する言葉だと信じられてしまったのです。
マリー・アントワネットによる「パン」の名言に関するまとめ
今回はマリー・アントワネットによる「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」の名言について解説しました。
マリー・アントワネットが言ったとされる「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉は、実はマリー・アントワネットが発した台詞ではありませんでした。その真相は、ルソーの自伝「告白」に登場する高貴な婦人の発言が、後世においてマリーアントワネットを象徴する言葉であると伝えられてしまったことにあるのです。
この記事ではマリー・アントワネットによる「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」の名言について、時代背景から発言の真相まで紹介しましたが、マリー・アントワネットという人物についてより詳しく調べてみるのも面白いでしょう。
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それでは長い時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
あいうえお