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古事記と日本書紀の違いや共通点は?神話の真実や編纂した時代も解説

「古事記と日本書紀ってそもそも何?」
「古事記と日本書紀の違いは?」
「書かれている内容は?」

などの疑問を持っていませんか?古事記と日本書紀は、日本神話から古代日本の歴史までが書かれた現存する日本最古の歴史書です。また、ともに日本の成り立ちを記す歴史書ではありますが、相違点も数多く見られます。

古事記

同じ奈良時代に制作された古事記と日本書紀。どのような違いがあるのかを理解するは非常に難しいですよね。そもそも古事記と日本書紀は書かれている内容に若干の違いがあり、その他にも作られた意図、執筆方法などにも大きな違いがあります。

そんな古事記と日本書紀は、一体どんな意図で執筆されたのか?古事記・日本書紀にはどのような違いがあるのか?それぞれに書かれている内容はどんなものなのか?など、古事記と日本書紀に関してわかりやすくお伝えしていきます。

そもそも古事記・日本書紀とは

日本書紀

冒頭でも触れた通り、古事記・日本書紀は日本神話から古代日本の歴史までが書かれた、現存する日本最古の歴史書です。日本の国土の成り立ちから日本建国の経緯、歴代天皇の系譜など、日本国にとって極めて重要な内容が記されているのです。古事記と日本書紀を総称し「記紀」と言う場合もあります。

ともに第40代天武天皇の意向により編纂が開始され、日本各地で民間伝承されていた神話を、ひとつに体系化して書かれたものが、記紀が伝える日本神話と考えられています。以下より、それぞれの大まかな特徴を見て行きましょう。

古代日本の歴史書である「古事記」とは

古事記と日本書紀の編纂を命じた第40代天武天皇

古事記は、日本の成り立ちから第33代推古天皇のご事績までが集録されており、上・中・下の全3巻で構成されています。おおまかに分類すると、上巻には神話が書かれ、中巻には神話から歴史へ移行する過渡期が書かれ、下巻には古代日本の歴史が書かれているのが特徴です。

また、特に神話の部分は物語風に書かれていて、現代語訳であれば小説を読む感覚で楽しめます。登場するエピソードも豊富なため神様を身近に感じられ、日本書紀に比べてかなり取っつきやすく、初めて日本神話に触れる方には古事記がオススメです。

日本の正史として位置づけられる「日本書紀」とは

記紀でご事績が語られる初代神武天皇

日本書紀は、日本の成り立ちから第41代持統天皇までのご事績が集録されており、全31巻+系図1巻という膨大な量で構成され、日本の正史として位置づけられています。

出来事を年代順に記述し、ひとつの出来事に対しても「一書曰(あるふみいわく)」といった形で、いくつかの別伝を紹介しており、古事記よりも記録としての要素が強くなっています。これは、記紀の作成意図の違いによるものです。このような特徴があるため、古事記に比べると読み物としての楽しみは少なくなっています。

日本書紀では削られている出雲神話の主人公 大国主神

なお、古事記ではかなりの紙幅を占めている「出雲神話」が、日本書紀には一切記されていません。

古事記と日本書紀の4つの違いとは

このように古事記も日本書紀も、基本的には日本神話から古代天皇のご事績が書かれているのですが、多くの違いも存在します。

1.作られた意図の違い

江戸時代の国学者 本居宣長による古事記傳

古事記と日本書紀は作られた意図が異なっています。

簡単に言うと、古事記は国内向けに、日本書紀は海外向けに作られました。古事記は、日本人に日本の成り立ちや天皇家のルーツを伝える目的で、日本書紀は海外に対し日本国としての正当な歴史をアピールするために作られたのです。なお、この時代の海外とは、主に大陸と朝鮮半島を指しています。

2.執筆方法の違い

古事記を執筆した太安万侶

前述の通り、古事記は国内向けに、日本書紀は海外向けに書かれている関係で、その執筆方法も異なっています。

日本書紀は海外向けなので、全て漢文で書かれている一方、古事記は日本国内向けなので、漢文で書くと日本人が読めなくなってしまいます。しかも、古事記が執筆された段階の日本では、ひらがなとカタカナが成立していませんでした。

そこで、執筆者の太安万侶(おおのやすまろ)が使用したのが「日本語の音を漢字で表記する」という手法でした。これは万葉集でも使われている「万葉仮名」と同じもので、後に「加→か」「不→ふ」などの表記へと変わっていき、平安時代頃にひらがなとして成立し、現在に至ります。

3.作った人の違い

日本書紀を作ったの中心人物 舎人親王

記紀は作った人物も異なります。

古事記は、天皇の事績や各地の神話が記されていたとされる「帝紀」と「旧辞」の内容を、稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗記し、その内容を口頭で太安万侶(おおのやすまろ)に伝えました。そして、稗田阿礼から伝え聞いた内容を太安万侶がまとめて古事記が完成したのです。なお、大元となった帝紀と旧辞は現存していません。

一方の日本書紀は、川島皇子ら12名が中心となり作成が開始されましたが一時中断され、後に天武天皇の皇子 舎人親王(とねりしんのう)が中心となって事業を引き継ぎ完成させました。

4.編纂された時代の違い

国宝に指定されている真福寺収蔵の古事記

記紀は天武天皇の意向で作成が始まり、完成したのはともに奈良時代です。しかし、作成にかかった時期は微妙に異なっており、完成したのも天武天皇が崩御した後でした。古事記は、和銅5年(712年)第43代元明天皇の御代に完成、一方の日本書紀は養老4年(720年)第44代元正天皇の御代に完成しました。

このように、完成には約8年の開きがあるのですが、作成にかかった期間にはもっと開きがあり、古事記は約4ヶ月、日本書紀は約39年もの歳月をかけて作られたと言われています。

「古事記・日本書紀」と「風土記・万葉集」との関わりは?

風土記の編纂を命じた第43代元明天皇

記紀と同時期に作られた書物に、風土記と万葉集があります。風土記・万葉集ともに記紀とは作られた目的が違うので、直接的な関りはありません。

風土記は、各土地の地名、各土地の産物、各土地の状態、地名の起源、各土地に伝わる伝承などを調査し提出するよう元明天皇の御代に全国各地に命じ、それらをまとめ、各土地ごとの風土記が完成しました。現存しているのは出雲国、播磨国、常陸国、豊後国、肥前国の5つのみで、その中でも出雲国風土記のみが完本に近い形で現存、他の4つは一部が欠けた状態となっています。

また、出雲国風土記には「国引き神話」などの古事記・日本書紀には書かれていない出雲系の神話が記されています。

万葉集

万葉集は、記紀より時代が下った奈良時代末期に成立した、日本に現存する最古の和歌集です。天皇、貴族などの高貴な人物から有名歌人、農民、作者不詳の和歌までさまざまな身分の人が詠んだ優れた歌が収められています。

このように、直接的な関りはありませんが、記紀・風土記・万葉集は全て奈良時代に成立しており、この時代の歴史や風俗を知る貴重な史料となっています。

古事記と日本書紀の神話は史実だった?

記紀神話に登場するアマテラスを祀る伊勢神宮内宮

古事記や日本書紀に書かれた内容は、おおまかに「神話的な記述」、「伝説的な記述」、「歴史的な記述」の3つに分類できます。以下より、それぞれの特徴を確認し、記紀にはどんなことが書かれているのか見て行きましょう。

神話的な記述

記紀神話に登場するイザナギとイザナミ

古事記は「天地初発」、日本書紀は「天地開闢」という世界創世の神話から、初代神武天皇が登場する前あたりまでが、日本神話に関する内容となります。イザナギノミコトやイザナミノミコト、アマテラスオオミカミやスサノオノミコトといった有名な神様が登場するのがこの部分です。

黄泉国、岩戸隠れ、ヤマタノオロチ退治、因幡の白兎(古事記のみ)、天孫降臨など、有名な神話が多数記されています。これらの神話には、八百万の神(やおよろずのかみ)と言われる個性的な神様がたくさん登場し、ちょっと笑えるエピソードも多いため、記紀の中では最も親しみやすい箇所と言えるでしょう。

伝説的な記述

記紀に登場するヤマトタケル像

アマテラスの孫が地上に降り立ち(天孫降臨)、その子孫が初代天皇に即位した後は、歴代天皇のご事績へと話が移り変わっていきます。ただ、初代神武天皇から第15代応神天皇あたりまでご事績の一部には、神様が政治に介入してきたり、人間離れした逸話があったりと、依然として神話的な伝説が含まれています。

なお、ここには初代神武天皇、ヤマトタケルノミコト、神功皇后といった人物が登場、神話が歴史へと移行する過渡期に相当し、神話と歴史に連続性が見いだせる世界的にも極めて希少な部分と言えるでしょう。

歴史的な記述

古事記の最後に記述がある第33代推古天皇

第16代仁徳天皇の辺りからは、歴代天皇の歴史的記録としての色が濃くなっていき、古事記は第33代推古天皇、日本書紀は第41代持統天皇までのご事績が記されています。

記紀ともに第16代仁徳天皇、第21代雄略天皇、第26代継体天皇、第33代推古天皇といった古代の有名な天皇が登場し、日本書紀のみに聖徳太子や中大兄皇子、第40代天武天皇といった方々が登場します。

古事記と日本書紀のおすすめ書籍・本・漫画

現代語古事記

現代語で古事記を楽しめるオススメの一冊です。随所に筆者の解説が入っているので、解釈が難しい部分の理解も深まります。内容はもちろんのこと、正しい古事記の知識を得られる良書です。簡潔な解説と、諸説の紹介、筆者の考えがまとまっており、非常に学びになる一冊です。

マンガ 面白いほどよくわかる!古事記

古事記を漫画で学びたい方にオススメの一冊。神話は難しいイメージが強いですが、漫画で読めばそのお悩みも解消されます。系譜や解説も付いており、さらにマンガの質も高いです。日本の神様たちに親しみが湧き、日本がもっともっと好きにります。

マンガ遊訳 日本を読もう わかる日本書紀

日本書紀を漫画で学びたい方にオススメの一冊。日本書紀の序盤にあたる神話部分からヤマトタケルの死までを漫画でわかりやすく伝えてくれます。 どうしても古事記よりとっつきづらい傾向にある日本書紀ですが、漫画なら楽しく読めます。日本書紀の入門に是非おすすめしたい一冊です。

古事記と日本書紀に関するまとめ

古事記と日本書紀は日本の成り立ちを示す、たいへん重要な歴史書です。一方で、序盤には神話が書かれていることから、荒無稽な作り話と思われる場合も少なくありません。

しかし、近年の考古学の成果により、一部の神話には史実を反映している可能性が判明してきました。神話を全て史実と捉えるのは危険ですが、日本の原点や日本人の国民性を知る上で、神話は極めて重要です。

日本は現存する中では、世界で最も古い歴史を持つ国で、神話と歴史が繋がる世界で唯一の国です。その根拠が古事記や日本書紀に書かれています。ぜひ、一人でも多くの日本人が古事記や日本書紀に触れて頂ければ嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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