古事記と日本書紀の神話は史実だった?
古事記や日本書紀に書かれた内容は、おおまかに「神話的な記述」、「伝説的な記述」、「歴史的な記述」の3つに分類できます。以下より、それぞれの特徴を確認し、記紀にはどんなことが書かれているのか見て行きましょう。
神話的な記述
古事記は「天地初発」、日本書紀は「天地開闢」という世界創世の神話から、初代神武天皇が登場する前あたりまでが、日本神話に関する内容となります。イザナギノミコトやイザナミノミコト、アマテラスオオミカミやスサノオノミコトといった有名な神様が登場するのがこの部分です。
黄泉国、岩戸隠れ、ヤマタノオロチ退治、因幡の白兎(古事記のみ)、天孫降臨など、有名な神話が多数記されています。これらの神話には、八百万の神(やおよろずのかみ)と言われる個性的な神様がたくさん登場し、ちょっと笑えるエピソードも多いため、記紀の中では最も親しみやすい箇所と言えるでしょう。
伝説的な記述
アマテラスの孫が地上に降り立ち(天孫降臨)、その子孫が初代天皇に即位した後は、歴代天皇のご事績へと話が移り変わっていきます。ただ、初代神武天皇から第15代応神天皇あたりまでご事績の一部には、神様が政治に介入してきたり、人間離れした逸話があったりと、依然として神話的な伝説が含まれています。
なお、ここには初代神武天皇、ヤマトタケルノミコト、神功皇后といった人物が登場、神話が歴史へと移行する過渡期に相当し、神話と歴史に連続性が見いだせる世界的にも極めて希少な部分と言えるでしょう。
歴史的な記述
第16代仁徳天皇の辺りからは、歴代天皇の歴史的記録としての色が濃くなっていき、古事記は第33代推古天皇、日本書紀は第41代持統天皇までのご事績が記されています。
記紀ともに第16代仁徳天皇、第21代雄略天皇、第26代継体天皇、第33代推古天皇といった古代の有名な天皇が登場し、日本書紀のみに聖徳太子や中大兄皇子、第40代天武天皇といった方々が登場します。
古事記と日本書紀のおすすめ書籍・本・漫画
現代語古事記
現代語で古事記を楽しめるオススメの一冊です。随所に筆者の解説が入っているので、解釈が難しい部分の理解も深まります。内容はもちろんのこと、正しい古事記の知識を得られる良書です。簡潔な解説と、諸説の紹介、筆者の考えがまとまっており、非常に学びになる一冊です。
マンガ 面白いほどよくわかる!古事記
古事記を漫画で学びたい方にオススメの一冊。神話は難しいイメージが強いですが、漫画で読めばそのお悩みも解消されます。系譜や解説も付いており、さらにマンガの質も高いです。日本の神様たちに親しみが湧き、日本がもっともっと好きにります。
マンガ遊訳 日本を読もう わかる日本書紀
日本書紀を漫画で学びたい方にオススメの一冊。日本書紀の序盤にあたる神話部分からヤマトタケルの死までを漫画でわかりやすく伝えてくれます。 どうしても古事記よりとっつきづらい傾向にある日本書紀ですが、漫画なら楽しく読めます。日本書紀の入門に是非おすすめしたい一冊です。
古事記と日本書紀に関するまとめ
古事記と日本書紀は日本の成り立ちを示す、たいへん重要な歴史書です。一方で、序盤には神話が書かれていることから、荒唐無稽な作り話と思われる場合も少なくありません。
しかし、近年の考古学の成果により、一部の神話には史実を反映している可能性が判明してきました。神話を全て史実と捉えるのは危険ですが、日本の原点や日本人の国民性を知る上で、神話は極めて重要です。
日本は現存する中では、世界で最も古い歴史を持つ国で、神話と歴史が繋がる世界で唯一の国です。その根拠が古事記や日本書紀に書かれています。ぜひ、一人でも多くの日本人が古事記や日本書紀に触れて頂ければ嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。