お金の歴史をわかりやすく解説!成り立ちや役割も簡単に紹介

金本位制度の導入

金のイメージ

金本位制度とは、金と紙幣を必ず交換することで紙幣の価値を安定化させる仕組みのことです。金本位制を初めて本格的に導入したのはイギリスでした。金本位制度が始まった19世紀、イギリスは世界最強の国でした。そのため、多くの金を保有しており、金本位制度を実行することが可能でした。

イギリスではじまった金本位制度はヨーロッパの他の国々やアメリカ、日本でも導入され世界共通のシステムとなります。世界のどの国の通貨でも金と交換できることから、為替リスクが小さくなり貿易がしやすい環境が出来上がりました。

管理通貨制度に移行

1929年に世界恐慌が発生すると、各国は金と自国紙幣の交換を停止しました。自国の金が外国に流出するのを防ぐためです。こうして各国は金本位制度から相次いで離脱します。かわって始まったのが管理通貨制度でした。

紙幣のイメージ

管理通貨制度は各国の中央銀行が通貨の発行量を調節するしくみです。金によって保障されているわけではないので、通貨の発行量や発行する国の信用度によって通貨の価値は大きく変動します。

経済力が強いアメリカのドルはとても高い信用を持ちますが、経済力の弱い発展途上国通貨は信用が低いです。また、管理通貨制度において、通貨の交換レートは常に変動します。国の信用や通貨の発行状況によって通貨の力が異なるからです。

デジタルマネーの登場

デジタルマネーは1990年代後半に登場した新しい形の通貨です。デジタルマネーの定義は様々ありますが、ここでは「通貨として利用可能なデジタルデータ」とします。現在日本で使用されているデジタルマネーは以下の2つです。

レジで「nanaco」に現金をチャージずる様子

1つ目は電子マネーです。電子マネーは現金をデジタル化したものです。現在、電子マネーは公共交通機関やコンビニなどで幅広く利用されています。電子マネーは「Suica」などの交通系と「WAON」や「nanaco」、「楽天Edy」のような流通系、「iD」や「QUICPay」のようなクレジットカード系があります。

ビットコインのイメージ画像

2つ目は仮想通貨です。仮想通貨は電子マネーと異なり、法定通貨の裏付けがありません。たとえば、先ほどあげた電子マネーは必ず「円」という法定通貨と等価で交換しなければなりません。しかし、仮想通貨は法的な交換義務はないので、交換レートは取引によって決定されます。

仮想通貨の代表が「ビットコイン」でしょう。ビットコインは2009年に運用が始まった仮想通貨です。ブロックチェーンとよばれる技術によって価値が保証され、その技術を信用する人たちの間で通貨としての価値を持ちました。

ビットコインを利用可能としたオランダのカフェ

やがて、個人だけではなく企業も価値を認めるようになるとビットコインの価値は上昇しました。しかし、現在もビットコインに通貨としての価値があるのかどうかについては議論が分かれます。2020年代はビットコインを含む仮想通貨の価値が確定する時代となるかもしれません。

お金が持つ3つの役割

お金の役割のイメージ画像

価値の保存

貯蓄のイメージ画像

お金の役割の一つ目は”価値の保存”です。金属貨幣が登場する前の物品貨幣には大きな欠点がありました。それは、年月が経つと価値が減ってしまうということです。たとえば、布は長期間保存すると虫に食われたり、繊維が風化するなどして劣化してしまいます。米なら腐ってしまうでしょう。

こうした欠点を補ってくれたのが長期間いたむことなく使用できる金属貨幣でした。長期保存に耐えられる金属貨幣の登場により、お金の価値は保たれ”貯蓄”が可能に。将来のため、またはいざというときに使うことが可能となったのです。

交換の手段

交換のイメージ画像

お金の役割の二つ目は”交換の手段”です。お金が登場する以前、人々は欲しいものを手に入れるために自分のものと相手のものを交換する物々交換を行っていました。しかし、物々交換では互いの条件を一致させるのが大変です。

そこで、登場したのがお金でした。例えば、卵が売りたい場合は卵1個〇〇円と値段を付けます。卵が欲しい人は、〇〇円を持っていけば必ず卵を手に入れることができました。お金を持っている人は自分が欲しいものを確実に手に入れられるようになります。

価値の尺度

物差しのイメージ画像

お金の役割の三つ目は”価値の尺度”です。たとえば、二つのリンゴが目の前にあるとします。リンゴAは色艶がよく、酸味と甘みのバランスが取れていて非常においしいもの、リンゴBはAよりも劣るものだとしましょう。二つのリンゴの価値の差をわかりやすくするにはどうしたらよいでしょうか?

もっとも手っ取り早いのは、リンゴAは1000円、リンゴBは100円というように値段をつけることです。値段をつけると、誰でも二つのリンゴの価値をわかりやすく理解できるでしょう。

また、お金があれば異なったモノの価値を比較するのも可能になります。リンゴを100円とし、自転車を10000円とするなら、自転車の方がリンゴよりも価値があるのがわかるでしょう。このように金額はモノの価値をはかる物差しの役割を果たすのです。

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