鳥葬とは何?いつどこで始まった?やり方や行っている国、理由まで解説!

チベットの鳥葬

ダライ・ラマは活仏なので、鳥葬はされません
出典:Wikipedia

チベットの葬儀は鳥葬だけではありません。他に塔葬・火葬・水葬・土葬がありますが、一般の人が選べるのは、鳥葬、火葬、水葬、土葬です。多くの人は鳥葬で葬られますが、鳥葬が多い理由については後で説明します。

チベットの鳥葬には、遺体を鳥に食べさせるための細かな手順があるのが特徴です。

鳥葬のやり方

タカの仲間で屍肉をエサにするものの
総称が「ハゲワシ」・写真はインドハゲワシ
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チベットでは人が亡くなると、遺体から魂を抜くために、僧侶がお経をあげます。その後、遺体は郊外に設置された鳥葬台に運ばれます。そして、ハゲワシなどの鳥に遺体を食べさせますが、このとき鳥が食べやすいように遺体を細かく切断します。切断すると、辺りには血の匂いが立ち込めるため、鳥を多く呼び寄せる効果もあるそうです。

遺体は食べ残しがないように、専門の職人によって骨まで細かく砕かれます。経済的に職人を雇えない人もいますが、そういった人々は近くに川があれば、遺体を川に流して処理する水葬をすることもあるようです。

またチベットでも職人がいない地域もあり、その場合は鳥葬の後に骨が残るため、決まった場所に放置されます。

鳥葬は人の魂を天に還す手段

亡くなった後は天に上る、どこの国でも
そう考えられたのは興味深い

チベット仏教では、人が亡くなると魂が抜け出て、身体は抜け殻になると考えられています。先程も紹介しましたが、鳥葬で抜け殻となった遺体を鳥に食べてもらうことで、それまでたくさんの命を与えてくれた自然に恩返しをしました。

そして鳥に食べられた遺体は、鳥が空を飛ぶことで天に上ります。それをチベットの人々は遺体が天に還ると考えました。これで魂だけでなく、地上に残った身体も天に還れます。鳥に食べてもらうのは、あくまで亡くなった人が天に還るための手段だったのです。

日本では鳥葬と呼ばれていますが、中国では天葬と呼びます。これは天に還る部分を大切に考えているからでしょう。そのためか、チベットでは重罪人が亡くなっても鳥葬にできません。チベットの人たちが鳥葬を選ぶのも納得できます。

ゾロアスター教の鳥葬

イランの都市・ヤズドの沈黙の塔
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ゾロアスター教の鳥葬は、チベットの鳥葬と違い、風葬の要素を併せ持っています。風葬とは遺体を自然の中に放置して、自然に還す方法です。その過程の中で鳥や獣が遺体を食べることもあり、鳥葬が生まれることになったのでしょう。

ゾロアスター教で鳥葬しかできない理由

ゾロアスター教の拝火神殿の火
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ゾロアスター教で鳥葬が行われた理由は、葬儀に火を使えなかったためです。

人が亡くなると遺体には悪魔が住み着くと考えられ、処分を急ぎました。処分するための手段が葬儀でしたが、ゾロアスター教は日本語で拝火教と訳されるほどで、火は神の象徴とされる神聖なものです。

遺体を火で焼却する火葬は、神聖な火を遺体で汚すことになると考えられました。また、水葬や土葬も遺体で自然を汚すことになるため、行えませんでした。そのため遺体は自然に任せ、道端などに置いておかれたのです。

置いてあるうちに遺体が鳥に食べられることもあり、人々の間に鳥葬が浸透したのではないでしょうか。

遺体の腐乱対策!インドのダフマとは

インドの都市・ムンバイにある沈黙の塔
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ダフマは英語では「沈黙の塔」と呼ばれている、ゾロアスター教で鳥葬をする施設の名前です。

現在ではインドで多く信仰されているゾロアスター教ですが、インドは湿度が高く、遺体を放置しておくと乾燥する前に腐乱してしまうという問題が出てきました。そこでダフマが使われるようになりました。

ダフマは天井に大きな開口部があり、鳥が遺体を食べるために塔内に降りてこられます。中に遺体を横たえておけば、ただ置いておくよりも速く分解されて白骨となります。また、衛生面と大地を汚さないために、ダフマは地面よりも一段高く作ってあるなど、周辺にも配慮されています。

鳥葬は衛生的ではないと言われることもありますが、ダフマを利用しているゾロアスター教の鳥葬は環境に優しく、合理的な葬儀だと言えるでしょう。

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