イギリスの階級社会・制度をわかりやすく解説!名前や服装も簡単に紹介

イギリス階級社会・制度の種類

イギリス階級のピラミッド
イギリス階級のピラミッド

イギリスの階級は大きく分けて3つあります。「上流階級」「中流階級」「労働者階級」です。

イギリス階級をピラミッド型にした写真を見ての通り、人口の約半分が地位の低い「労働者階級」で占められています。次に「中流階級」があり、トップである「上流階級」は全体の1%ほどしか存在しません。

この階級制度をもとにイギリス社会では教育から職業、言葉にいたるまで生活環境が異なります。「生まれたときから住む世界が違う」社会であるともいえるでしょう。

①上流階級

イギリス階級のトップに君臨するエリザベス女王
出典:Wikipedia

上流階級とは王族と貴族から構成された階級であり、貴族には代々爵位を継承してきた世襲貴族の人々のみが当てはまります。

世襲貴族が所有する爵位は全部で5種類。爵位の順番は下記の写真の通りに構成されており、呼び方も爵位によって異なるので注意してくださいね。

爵位の順番と名称・呼び方
爵位の順番と名称・呼び方

世襲貴族の爵位の下には準男爵や叙勲制度によって与えられるナイト(騎士爵)の称号があります。ただし、ナイトの称号は爵位の一つであって「一代貴族」にはなっても世襲貴族にはならず上流階級に含まれません。

そのため、イギリスの「上流階級」は人口の約1%の割合しか存在しないのです。しかし、割合が少ないからこそ権力や地位は絶対的なものとなります。1%とは少ないながらも現実的な数字といえるでしょう。

イギリスでは上流階級の割合を保つために爵位保持者を1人にしたり、爵位の継承は近い血筋の男子のみにするなど厳しい決まりがあります。複数の爵位(◯◯伯爵や△△公爵など)を持っていても継承するのは1人だけなのです。

*叙勲制度
イギリス国家に貢献した者に対して勲章を与える制度

*一代貴族
世襲制ではなく一代のみ貴族の称号を与えられた貴族のこと

②中流階級

弁護士は中流階級で高い地位を持つ仕事!

中流階級とは企業家などのビジネスマン、医師や弁護士といった専門的知識を持つ人々で構成されています。職業によって地位が3つに分かれていることも特徴的ですね。主な組み分けは以下の通りです。

  • 上層部:医者、弁護士、企業家、著名な芸術家
  • 中層部:教師、エンジニア、公務員
  • 下層部:会社員

しかし、中流階級では会社内での昇進や事業の成功によって下層部から上層部への下克上が可能になります。上流階級や労働者階級とは異なる特徴ですね。

③労働者階級

国民の過半数を占めているのに貧困率が高い

労働者階級とは工場労働者やお店の店員など主に肉体労働を行う人々で構成された階級です。イギリス国民の過半数がこちらに該当します。

労働者階級から中流階級になることは難しく、日々の生活で精一杯な人々が多いです。しかし、稀に天才的な才能や運によって労働者階級から一気にスターダムにのし上がった人が存在します。

元サッカー選手のデビッド・ベッカムやビートルズのメンバーだったポール・マッカートニーも実はイギリスの労働者階級出身です。彼らはスポーツ界や芸能界で活躍し労働者階級から抜け出して今や中流階級のトップに存在しているといえるでしょう。

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階級を見分ける3つの基準

イギリスでは日常生活を送るうえで階級ごとに違いがあります。それは「言葉遣い」と「服装」です。気をつけて観察していると相手がどの階級に属する人か分かります。

基準①:言葉遣い

階級によって話し方が違う!?

万国共通語である英語ですが、イギリスでは階級ごとに英語の話し方が異なります。

王族をはじめとする上流階級の人々は「クイーンズ・イングリッシュ」と呼ばれる上品で美しい英語を使い、中流階級の人々は少し訛りを交えた英語を使うことが特徴的です。

労働者階級の人々は「コックニー」と呼ばれる下町訛りなど生まれ育った地域によって異なる英語を使います。イギリスの下町や郊外に行くと店員さんの訛りがひどくて聞き取れないこともあるぐらいです。

基準②:服装

上流・中流階級では男性の定番ファッションはスーツ!

階級の違いは服装にも表れます。上流階級の人々が主に着るのは王室御用達のファッションブランド。コートやチェック柄が特徴的な「バーバリー」や紳士服ブランド「ダックス」などが有名です。

お金に余裕がある中流階級の人々もハイブランドの洋服を着ていることがあります。低所得者である労働者階級の人々はファストファッションなどカジュアルなスタイルが多いですね。

基準③:読む新聞の種類

イギリスの高級紙「タイムズ」
出典:Wikipedia

身近な日用品でも階級の違いは分かります。例えば、新聞の種類。イギリスでは階級によって読む新聞も異なります。

上流階級の人々が好んで読むのは高級紙と呼ばれる新聞です。中でも発行部数が多く認知度が高いのは「デイリー・テレグラフ」「タイムズ」ですね。

学者向けの「ガーディアン」やビジネスマン向けの「フィナンシャル・タイムズ」などの高級紙は中流階級の人にも読まれています。

そして、中流・労働者階級の人々が好むのは事件やゴシップ記事が多いタブロイド紙。主に「デイリー・メール」「ザ・サン」が人気です。

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2 COMMENTS

岩野祐里

ご質問いただきありがとうございます。
大変失礼いたしました。こちらは「新富欲(しんふよく?)」ではなく「新富裕(しんふゆう)」が正しいものです。英国の原文で「new affluent workers」となっており、翻訳すると「新しい裕福な労働者たち」となります。そのため、「新富裕労働者階級」という名称の方がより原文よりで正確だと判明しました。現在は「新富裕労働者階級」に変更してあります。お確かめください。
気づかせてくださったことに感謝を申し上げるとともに、誤植があったことを深くお詫び申し上げます。以後はこのようなことがないように気をつけてまいりますので、引き続きレキシル記事を楽しんでいただけると幸いです。

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