イギリスの階級社会・制度をわかりやすく解説!名前や服装も簡単に紹介

イギリス階級社会・制度が与えた3つの影響

学歴に差が生まれた

パブリックスクールであるラグビー校
出典:Wikipedia

イギリスの階級社会や制度が与えた影響としてまず挙げられるのが「教育」です。

上流階級では寮生活の私立学校「パブリックスクール」に通い、大学もオックスフォード大学など名門校へ進学することが当たり前になります。中流階級でも大学進学をする人がほとんどですね。

しかし、労働者階級は高額な学費を払うことが難しいため進学をせずに就職する人が多いです。学歴において上流・中流階級と差があるため、就ける職業も限られてきます。

ひと昔前だと「労働者階級が成功するにはサッカー選手か俳優になるしかない」といわれるほどでした。その影響からイギリスの有名なスポーツ選手や俳優は労働者階級の出身者が多いです。

階級ごとの差別が発生

ロンドンのイーストエンドに位置する高層住宅
出典:Wikipedia

階級制度があれば上の階級が下の階級を見下すことが多々ありますね。イギリスの階級社会でもそれが見受けられました。

労働者階級の言葉遣いを揶揄するなどの暴力的な差別のほかにも、低所得者用の公営団地「カウンシルエステート」が建つも民営化されたり取り壊されたりなど社会的な被害も受けています。

首都ロンドンでは西側の「ウエストエンド」は上流・中流階級者、東側の「イーストエンド」は労働者階級が住むといった住み分けもあるぐらいです。これは階級社会が定着化した18世紀から19世紀ごろの名残でもありますね。

貴族という地位が特別化した

サッチャー元首相も上流貴族ではない
出典:Wikipedia

イギリスの階級制度は他の国々と違い世襲貴族の数が非常に少なく、現在でも世襲貴族は約800家しか存在しません。そのため、首相や官僚には上流階級だけでなく中流階級の人々がなることもあります。

しかし、どれだけ社会的地位が高く資産があっても彼らの家族が上流階級の仲間入りをするのは難しいものでした。叙勲制度によって一代貴族にはなれても世襲的な爵位の継承はできないからです。

現代において「資産運営に苦労する貧乏貴族」と「資産はあっても貴族になれない企業家」がいるのはこうした背景がもとになっているのですね。イギリスにおける上流階級の貴族とは特別な存在なのです。

例外として、大地主や領主である「ジェントリ」は爵位を持たずに上流階級の一部として扱われています。

イギリスの階級制度の現在

現代のイギリス社会はもっと複雑!?

上記で紹介した現代イギリスの7つの階級制度は以下の通りです。

  • エリート階級
  • 確立した中流階級
  • 技術系の中流階級
  • 新富裕労働者階級
  • 新興サービス労働者階級
  • 伝統的な労働者階級
  • プレカリアート階級

トップの3つは経済的に恵まれた人々であり、「新富裕労働者階級」「新興サービス労働者階級」の2つは教養や社会的人脈を持つ人々になります。ワーストの2つは低賃金労働をしており、特に「プレカリアート階級」の人は公共福祉に頼って生活している状態です。

イギリスの階級制度がよく分かるおすすめ映画3選

おすすめ映画①:「ハリーポッター」

誰もが一度は聞いたことがある映画「ハリーポッター」ですが、作品にはイギリスの階級社会の要素が散りばめられています。ハリーやハーマイオニー、ロンなど登場人物の生い立ちをよく観察するとイギリスの階級制度の仕組みが分かりやすいですよ!

おすすめ映画②:「タイタニック」

映画「タイタニック」はイギリスの豪華客船タイタニック号の沈没を描いたものです。作中では上流階級の女性と労働者階級の男性の身分を超えた恋愛が描かれており、20世紀イギリスの階級社会が垣間見えます。

おすすめ映画③:「わたしは、ダニエル・ブレイク」

2016年公開の映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」では労働者階級である老人とシングルマザーの生活模様が描かれました。現代イギリスの貧困層の生活をよく表現した作品です。

イギリス階級に関するまとめ

今回はイギリス階級社会・制度について解説しました。一口に階級といっても複雑な制度や仕組みがあり、なかなかに難しいものがありますね。

昔と比べて少しずつ階級による貧富の差はなくなったとはいえ、上流階級や中流階級に比べて貧困にあえぐ労働者階級の人々はたくさんいます。

イギリスの階級についての歴史や知識を学ぶことで、現代に生きる私たちにとって「階級とは何か」を改めて考えるきっかけとなれば幸いです。

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2 COMMENTS

岩野祐里

ご質問いただきありがとうございます。
大変失礼いたしました。こちらは「新富欲(しんふよく?)」ではなく「新富裕(しんふゆう)」が正しいものです。英国の原文で「new affluent workers」となっており、翻訳すると「新しい裕福な労働者たち」となります。そのため、「新富裕労働者階級」という名称の方がより原文よりで正確だと判明しました。現在は「新富裕労働者階級」に変更してあります。お確かめください。
気づかせてくださったことに感謝を申し上げるとともに、誤植があったことを深くお詫び申し上げます。以後はこのようなことがないように気をつけてまいりますので、引き続きレキシル記事を楽しんでいただけると幸いです。

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