リーマンショックとは?いつ起きた?原因や日本の株価への影響などを解説

リーマンショックの原因

リーマンブラザーズの破綻

米国で差し押さえ対象となった住宅の数。2007年1月から右肩上がり
出典:Wikipedia

先ほどもお話しした通り、リーマンショックのきっかけはリーマンブラザーズの破綻でした。そもそも、なぜ超大手のリーマンブラザーズが破綻してしまったのかと言うと、同社はサブプライムローンで大きくなった会社だったからです。

サブプライムローンは高いリスクがある分、リターンも大きい投資です。リーマンブラザーズは経営戦略として、1999年にサブプライムローンの証券化を推し進めました。幸い、当時は住宅バブルが到来していたため、業績の拡大に成功します。

そのため、住宅価格が下がり、サブプライムローン問題が発生するとその影響をダイレクトに受けました。最終的に、負債総額約64兆円と、米国史上最大の倒産となってしまいます。政府による救済措置も取られず、リーマンブラザーズ倒産をきっかけに金融への不安が広がり、世界的な金融危機へと発展してしまいました。

証券化商品市場と知識のない機関投資家の参入

一目ではリスクの高い商品とわからない仕組みになっていた

当時の証券化商品は、高い利回りと安定性が魅力的な投資商品でした。世界中の投資家から支持を集め、証券化市場は急速に成長していきます。しかし、良いことばかりではなく、複雑でわかりにくい仕組みの商品や担保の信用性が低い証券も発行されました。

住宅ローンや証券に関する知識が豊富な投資家ばかりなら疑問に感じることもあったでしょう。ですが、それらに対する理解が浅い投資家は、表面上の評価を信じて積極的に投資をしてしまいました。

アメリカだけでなく、世界中の投資家が購入してしまったため、リーマンショックの影響は各国へと飛び火したのです。

証券化商品の下落

危険を感じ、投資家が証券を売り始めた

2007年、プロの投資家たちはサブプライムローンの延滞率が上がっていることに気づきました。そこで、危機感を抱いた投資家たちは、サブプライムローン関連の証券化商品を売却し始めます。

対して、証券化商品に関する知識の浅い投資家たちは的確な価格を出せません。そのため、証券化商品の適正価格がわからなくなってしまい、商品価格の下落を後押ししてしまいました。

リーマンショックの影響

2009年の実質GDP成長率。茶色は景気が後退した国
出典:Wikipedia

リーマンショックが日本へ与えた影響

日本は、サブプライムローンの証券化商品をあまり所有していなかったため、アメリカの金融危機による金融機関への影響は、ヨーロッパ諸国に比べて軽いものでした。ですが、外国証券を多く運用していた生命保険会社は影響を受け、倒産した会社もあります。

しかし、金融機関のダメージは少なかったものの、国内の経済への影響は多大なものでした。

円高不況

円高により、輸出産業が大ダメージを受けた

リーマンショックによって金融不安が広がり、アメリカドルではなく、比較的安全な円に投資する投資家が増えました。結果、1ドル104円だった為替レートが1ドル87円と極度の円高となってしまい、日本の輸出産業に大きなダメージを与えました。

円高だけでも大打撃ですが、アメリカの金融機関がお金を融通しなくなったことも日本の景気後退に拍車をかけました。金融不安によって疑心暗鬼となったアメリカの金融機関は車のローンに慎重な姿勢を取ったため、自動車の需要が落ち込んでしまったのです。

このことも日本に大きな影響を与えました。

株価低迷

需要が下がり、日経平均株価が大暴落した

円高により、大打撃を受けた日本の株価は大暴落。日経平均株価は約1万2000円から7000円近くまで下落しました。この下落幅は26年ぶりの安値として記録されています。

倒産も相次ぎ、上場企業をも含む約1万5000件の会社が不景気により破綻しました。

就職氷河期

就職氷河期だったが、バブル崩壊後よりも期間が短かった

円高不況により、業績が悪化した企業は非正規雇用の労働者を解雇し、内定の取り消しも行いました。結果、2009年3月末までに19万人もの人々が失業し、2009年7月には完全失業者数は359万人にのぼりました。

とはいえ、バブル崩壊後の就職氷河期より期間も程度も軽いものだったという声もあります。

アメリカへの影響

アメリカは真っ先に影響を受けた

リーマンショックの影響が最初に現れたのは、問題の中心となったアメリカです。リーマンショック前までは5%だった失業率は、リーマンブラザーズ倒産後からは月日が経つごとに悪化し、2009年10月には10%を記録しました。

また、逆張りした一部の投資家は利益をあげたため、貧富の差か拡大しました。

西ヨーロッパへの影響

ヨーロッパも大ダメージを受けた

西ヨーロッパの金融機関は、サブプライムローンに深く関わっていたため、大きな打撃を受けました。リーマンショックが与えた経済的影響は、欧州債務問題やギリシャ破綻危機などの金融危機を引き起こす原因となり、ヨーロッパ経済に大きなダメージを与えることとなります。

そのため、失業率も高い数値が長らく続きました。

影響の少なかった国々

中南米

メキシコ国旗

アメリカと地理的に近い中南米ですが、アメリカから始まった金融危機の影響は軽いものでした。過去に起こった金融危機の教訓を生かし、常に外貨を準備していました。

リーマンショック時には他の国と同様に収入は減りましたが、それまでの蓄えが十分ありました。ただし、北米自由貿易協定により、アメリカと密に貿易をしていたメキシコは影響を受けました。

ドイツ

ドイツ。ヨーロッパの中でも立ち直りが早かった

リーマンショック時は打撃を受けたドイツですが、西ヨーロッパの中では比較的ダメージの少ない国でした。政府は、破綻しかけていた不動産金融の大手を救済し、銀行から預金を引き出そうとする人が殺到しないよう、預金の全額を保護すると発表しました。

ドイツの経済は輸出に頼っていたため、経済の立ち直りも遅いのではと思われました。しかし、影響の少ない新興国への輸出が増え、日本と違って為替相場が安定していたこともあり、ダメージは軽いものでした。

一時期はGDP成長率が5%減り、戦後最低を記録しましたが、その翌年には4%増となります。さらに失業率も7.8%で低下しました。ヨーロッパの中でも早く経済が上向きとなったため「ドイツの独り勝ち」とも言われています。

中国

中国は政府が金融機関を管理していたため、ダメージが少なかった

中国は金融機関の資金調達を制限し、政府や中央銀行が主導して貸付をしていたためリーマンショックによる影響は軽微なものでした。

金融機関への影響は少なかったのですが、2008年後半に入ると経済に陰りが生じました。というのも、中国はリーマンショック以前から輸出大国として急成長しており、ヨーロッパへ輸出していたからです。

とはいえ、迅速な対応と国内消費の拡大により、中国は世界最速で金融危機を脱しました。翌年には9.1%の経済成長率を誇り、世界で最も高い数値となりました。

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