「稲葉事件って昔話題になったよね?」
「交際していた女性は結局どうなったんだろう…」
稲葉事件は北海道警察所属の警察官が、覚せい剤や麻薬を密売していた事件です。北海道警察の人間が麻薬で逮捕された初の事例となり、交際相手の畑中絹代も同じ警察官であったために話題となりました。
稲葉事件は色々な分野に大きな影響を及ぼしましたが、警察官の交友関係も問題となっています。そこでこの記事では、稲葉事件で同じように逮捕された交際相手である「畑中絹代」について紹介していきます。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
稲葉事件とは?
稲葉事件とは、2002年7月に北海道警察の警察安全特別捜査隊班長であった稲葉圭昭元警部が逮捕された事件です。覚醒剤取締法違反容疑と銃刀法違反容疑で逮捕・有罪判決を受けています。北海道警察において薬物の逮捕者は初でした。
稲葉元警部は麻薬を売人から購入するのではなく、自ら密輸に関与して利益を得て、拳銃を暴力団関係者に売りさばいてお小遣い稼ぎをしていたといいます。そして捜査の中で、過去のおとり捜査において故意に犯罪を誘発するような捜査があった疑惑も出てきました。
稲葉事件の概要
2002年に札幌市で飲食店を経営していた男が、自ら札幌北署に出頭し、道警に務めている稲葉圭昭が覚せい剤を使用し、沢山所持していることを供述したことが始まりだったといいます。その後稲葉圭昭の尿検査実施により、陽性となったことにより覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されました。供述によると、2000年頃からストレス発散で使用するようになったといいます。
そして道警は稲葉名義のアジトを家宅捜索したところ、ロシア製の銃と覚せい剤を発見しました。なぜ所持していたかというと、捜査の資金調達のためにそれらを販売していたといいます。
稲葉圭昭は暴力団関係の捜査に関わっており、情報を入手するために暴力団関係者を捜査協力者として雇い情報を得ていました。しかし徐々に稲葉は資金の調達に困るようになったといい、捜査協力者と共に拳銃や覚せい剤の密輸に手を染めるようになっていきます。自首した飲食店経営者も稲葉の協力者の1人でしたが、金銭トラブルが生じたことがきっかけで自首したそうです。
稲葉圭昭とはどんな人物?
稲葉圭昭は1953年北海道門別町で生まれています。父親も警察官で道内を転々としていたそうですが、柔道で頭角を表し柔道の名門校に進み、番町と呼ばれるまでになりました。高校卒業後は東洋大学に進学し、そこでも柔道に打ち込んでいます。
しかし学生の頃の素行は良いとは言えず、万引きなどで補導歴があったのだそう。そのために警察官にはなりたくなかったそうですが、結局1976年に柔道の特別枠で北海道警に入ることになりました。翌年1977年には、柔道特別訓練隊員として道警本部警備部機動隊に配属となり、1979年に道警本部刑事部機動捜査隊に異動し、殺人や強盗事件を担当。ここで頭角を表し、90年には警部補に昇進しています。
1993年に道警防犯部銃器対策室に配属され、8年間で100丁もの拳銃を押収し「銃隊のエース」と呼ばれていました。2001年には警部に昇進。エリート警察官として活躍していましたが、この頃から次第に資金繰りが厳しくなってきたといい、刑事の立場を利用して覚せい剤の密売を開始。そして2002年に事件が発覚し、覚せい剤や拳銃の所持により逮捕されました。