チェルノブイリ原発事故で生まれた「象の足」を見たら即死?真相や現状とは

「チェルノブイリ原発にある象の足って何?」
「見たら死ぬと聞いたけど本当?」

チェルノブイリ原発事故といえば、1986年に起きた「レベル7」という最悪の原発事故です。原発事故では約4000人余りが死亡し、約350万人が被爆したといわれました。

チェルノブイリ原子力発電所
出典:wikipedia

現在も後遺症に苦しむ人は多くおり、チェルノブイリ原発の半径30㎞以内は居住禁止となっています。このチェルノブイリ事故の時に出来た「象の足」という物質は、とても危険であり見ると即死するという噂も流れました。この記事では、「象の足」とは何なのか?見たら本当に即死するのか?現在はどうなっているのか?などを解説していきます。

なお、この記事ではウクライナがソ連構成国であった当時の事故であったために、ウクライナ語表記ではなく、ロシア語表記の「チェルノブイリ」で解説しています。あらかじめご了承下さい。

この記事を書いた人

フリーランスライター

高田 里美

フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。

チェルノブイリ原発事故とは?

事故のあった4号炉
出典:宇宙デビューに向けて

チェルノブイリ原発事故とは、1986年4月26日に起きた原発事故です。「国際原子力機関(IAEA)」が策定した「国際原子力事象評価尺度(INES)」で最高レベルの「レベル7」に分類されており、2011年の福島原発事故に並んで史上最悪の原発事故と呼ばれています。

事故による犠牲者は国連の推計によると約4000人とされていますが、実際はもっと多いだろうといわれています。ウクライナ領内だけで、被爆者は350万人にも登っているのです。作業に携わった兵士や作業員は約60〜80万人だったといいますが、そのうち約20万人が大きな被ばくを受けたといわれています。

チェルノブイリ原発を消火活動する作業員
出典:RUSSIA BEYOND

チェルノブイリ原発は当時のソ連(現:ウクライナ)にある原子力施設でしたが、チェルノブイリ原発には4つの原子炉がありました。そのうちの4号炉が実験中に制御不能に陥り、炉心溶融(メルトダウン)の後に爆発してしまい、大量の放射能をまき散らしたのです。

この事件発生直後、ソ連は隠ぺいを図り対策が後手に回ってしまっていました。そのために近隣住民の非難が遅れ、被害者を多く出す結果となってしまったのです。事件後ソ連は、事態終息のために兵士や作業員を投入。放射能を防ぐための「石棺」を作り、4号炉を閉じ込めることに成功しています。しかしこれはあくまで応急処置であり、次の手も考えないといけない段階となっているのです。

チェルノブイリ原発事故とは?原因から被害・死者数、現在の様子まで解説

チェルノブイリの「象の足」とは?

象の足、確かに象の足に似ている
出典:エリアブルー

チェルノブイリには、事故の時にできた見たら死ぬといわれる「象の足」というものがあるといいます。象の足とは、原発事故の時にできた炉心溶融物の塊のことを表します。事故で制御を失い核燃料が高温で溶け、コンクリートなどと混ざりあってできているのです。この象の足は常時致死量レベルの放射線を放ち続けており、近づくのは危険といわれています。

事件当時1分で確実に死ぬといわれた

チェルノブイリの象の足
出典:Cherish

特に事故当時は、象の足近辺が8,000レントゲン毎時の放射線量だったために、人間が1分その場にいれば死が確定するといわれました。即死ではないものの、1分というわずかな時間でも確実に死に至る恐ろしい物体だといえるのです。

即死レベルといわれる放射線を浴びてしまった場合は、中枢神経系に重大な障害を引き起こし、知覚異常・灼熱感を覚えた後に脳が浮腫状となってしまい、昏睡して3日以内に死亡するといわれています。

象の足ができた理由とは?

事故で炉が溶けてしまったという
出典:日本原子力文化財団公式HP

象の足は簡単にいうと、「原発事故によって溶けた燃料が地面に落ちて固まった塊」だといわれています。炉心という原子力に必要な核燃料棒を設置している部分があり、通常は核分裂を利用して熱が発生し、それを冷やすための冷却装置があります。

しかしチェルノブイリではこの冷却装置が上手く作動せず、熱が高温になってしまい炉が溶けてしまいました。この時溶けた燃料が溶け落ちて固まったのが「液体デブリ」となったのです。そして形状が象の足に似ていることから、「象の足」と呼ばれるようになりました。

象の足には約1割、核燃料のウランが含まれているという
出典:Wikipedia

象の足の70〜90%は二酸化ケイ素であり、核燃料のウランが1割程度と、サンプルを取り判明しました。サンプルは非常に硬く、サンプル採取用のドリルでは削りとれなかった程なのだそう。

最終的に銃で破壊した破片を調査したといわれています。

象の足には被害者作業員も

原子力発電所の作業員も犠牲になっている
出典:ilovevaquero

象の足には、事件当時巻き込まれた作業員の遺体も含まれているといわれています。4号炉で作業していた作業員たちは、強烈な放射線のために救助はおろか、遺体も見つかっていない状態です。犠牲となった作業員の方の墓は、ぎりぎり人間が近づいていけるチェルノブイリ原発内に墓碑がたてられているといいます。

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