「スカフィズムは死ぬより辛い処刑って本当?」
「地獄の方がマシといわれているけどどんな刑なの?」
スカフィズムとは、古代ペルシアで行われていたという拷問・処刑方法の1つです。数ある処刑の中でも「特に辛い」といわれており、漫画にも出てきて話題となりました。
そんなスカフィズムとはどういった処刑なのか?スカフェズムの処刑手順や死因などについてこの記事では解説していきます。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
スカフィズムとは?
スカフィズムとは、古代ペルシア人が発案した処刑方法です。刑に小舟を使用していることから、別名「The boats」と呼ばれています。紀元前550年〜350年まで続いたアケメネス朝ペルシアで使用されていたといい、殺人や裏切りなど重い罪の罪人に対して行われ、ほとんどの犠牲者はギリシャ人だったそうです。
元々はペルシアで行われていた処刑法ですが、12世紀の東ローマ帝国の記録にも残っているといい、長らく苦しめた上での処刑として使用されていたことがわかります。
スカフィズムの処刑手順
スカフィズムの処刑方法は以下の通りになります。
1.ボートに犠牲者を入れる
まずは二隻の木のカヌーを準備します。あるいは丸太をくりぬいて使用することもあったようです。まずカヌーの中に犠牲者を寝かせ、手・足・頭が出るようにもう一隻の船で蓋をし、中で身動きが取れないようにロープなどでぐるぐる巻きにされました。
2.犠牲者に蜂蜜やミルクを強制的に飲ませる
次に犠牲者に蜂蜜やミルクの混合物を強制的に飲ませました。多く飲ませることにより犠牲者は、嘔吐し下痢をしたといいます。そして下痢などはそのままの状態で、表に出ている手・足・顔などに大量の蜂蜜やミルクをかけていきました。
蜂蜜やミルクをかける行為を毎日続けることで、甘い匂いにつられて蜂やハエなどの虫がよってくるために、スカフィズムを受けている犠牲者は地獄の責め苦をすぐに味わうことになるのです。
3.そのまま炎天下に放置
汚物をそのまま放置された状態で、炎天下の中淀んだ汚い池に浮かべたり、そのまま放置したりしました。放置している間は日差しにさらされ続け、船の中は汚物で一杯になっていきます。放置して数時間後には昆虫の群れが顔などに集まってきて、顔や手などあらゆるところを刺されてしまうのです。
4.犠牲者は虫やネズミに襲われる
犠牲者の化膿部分や汚物にハエなどの昆虫が引き寄せられて、卵を生んでいきます。卵が孵化すると芋虫となり、犠牲者の肉を食べ始めるのです。そしてやがて血流が阻害されるために傷口が壊死していき、腐った肉をネズミが食べたりして生きながら体を削られる地獄の責め苦を味わうことになります。
5.犠牲者に毎日蜂蜜とミルクを与える
犠牲者は虫やネズミに食べられる状態の中で、毎日蜂蜜やミルクを与え続けられます。栄養や水分を補給することにより、脱水症状で死ぬことも出来ません。蜂蜜を食べることで糖分も摂取できるために、餓死も出来なかったといいます。
虫がたかり体を食べられていく間も、中々死にきれずに死を待つこととなります。更に虫は体の柔らかいところに集まるために、生殖器や肛門に集まっていたのだそうです。それらに巣くうことにより体内に上昇していき、中の内臓にまで達するといいます。
6.外や中を虫などに喰われ死ぬのを待つ
汚物は船の中に充満していき、体中に虫が卵を産みつけます。そして体内に産みつけた卵は孵化して、体の内側にも入り込み体を食べるようになっていくのです。体の中に入り込んだ虫は犠牲者の血流を阻害し、壊死を加速していくのです。
餓死は期待できないために、自分の身体が虫に侵されるのを眺めながら病気で死ぬのを待つことになります。痛みによる責め苦を味わった後に、犠牲者の体は穴が開きそこから臓器が見えていたそうです。スカフィズムはギリシャ語で「skaphe」からきており「空洞」という単語だといいますが、船がくりぬかれていたことと犠牲者の体を表して付けられたといわれています。