スカフィズムの期間と死因は?
これならばいっそ殺してほしいと感じるであろうスカフィズムですが、どれぐらいの期間苦しみ死因は何なのかを解説していきます。
期間は2週間以上といわれる
とどめがなく徐々に殺されていくスカフィズムを受けた犠牲者は、死ぬのに2週間以上かかったといわれています。最終的に受刑者が亡くなると蓋を開けますが、中は汚物と腐敗でまみれてとんでもないことになっていたそうです。
古代オリエント王朝に仕えていたペルシアの将軍・ミトリダテスも、スカフィズムで処刑された1人です。文献によると、ミトリダテスが死亡したのは開始から17日後でした。
死因は敗血症がほとんど
スカフィズムの死因は、敗血症により死亡したと推定されています。体の損傷のために細菌感染を起こし、心臓や肺などが臓器不全に陥る病気です。敗血症は神経障害も引き起こすために、数日後には妄想を引き起こし錯乱してしまうといいます。
また脱水症状も起こり、だるさや吐き気を引き起こしますが、これらが複合して長い時間をかけて死亡するまで刑は続けられました。犠牲者が敗血症にかかり錯乱した頃には、体は半分ほど虫に喰われた状態になっていたそうです。
スカフィズムは本当に実在した?嘘だといわれる理由は?
聞いていただけで身の毛もよだつスカフィズムですが、実は嘘だったのでは?という意見も存在します。ここではスカフィズムが架空の刑ではないかと言われる根拠を紹介しました。
当時ミルクや蜂蜜は高価だった
スカフィズムが行われた紀元前のペルシャでは、ミルクや蜂蜜は高級品でした。そのために処刑の為とはいえ、そのような高級品をわざわざ使用するのかという意見です。苦しめたいとはいえ、処刑に多くのお金をかけることは現実的ではないといわれています。
船を作る技術的な問題
使用されていたと考えられる紀元前では、船の技術的な問題が指摘されています。2つの船を合わせた状態で船を浮かべるというのには、相当な技術とお金が必要だっただろうと想定されているのです。そのためにミルクや蜂蜜の時と共通しますが、処刑のために時間とお金を使用するのかという疑問が出てきます。
病気の原因になる可能性も
スカフィズムの処刑は苦しめる効果はあるかもしれませんが、感染症の元凶になる危険性も含んでいます。非常に不衛生な状態で放置されるために、疫病が流行るきっかけになると指摘されているのです。
当時は抗生物質など医薬品もないために、感染症が流行るのは命取りでした。例えばネズミが媒介するペストは、14世紀に世界人口の22%が死亡したという恐ろしい病です。処刑人を通じて感染する可能性も出てくるために、わざわざ病気の元を作るのだろうかという疑問が指摘されています。
スカフィズムが行われた例は?
一級資料に残っているのは、紀元前401年にアケメネス朝ペルシアの兵士であるミトリダテスが、スカフィズムで処刑されたという記録です。
ミトリダテスはアルタクセルクタク2世の王位を奪い取ろうとした弟の小キュロスを戦で討ち取っていましたが、王の顔をたてるために小キュロスを討ち取った功績を譲り、他言しないと約束していました。しかしミトリダテスは約束を破り、宴会で実は自分が討ち取ったと自慢してしまいます。
怒ったアルタクセルクタク2世は、ミトリダテスにスカフィズムの刑を言い渡しました。そして王の医師だったクテシアスが、「ミトリダテスは死ぬまで17日かかった」と記録しています。