「人体実験は本当に行われていたの?」
「ドラマやアニメでよくそんな場面出てくるけど…」
人体実験とは、人を対象とした臨床実験をいいます。しかし人間の臨床実験は当然大きなリスクがあるため、実際に行うには大きな問題を伴うものです。しかし医学的好奇心などから、被験者の命を軽視した実験は、近代を中心に度々問題になりました。そこでこの記事では、歴史の中で起きた人体実験を15選紹介していきます。
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フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
MKウルトラ計画 | アメリカ
MKウルトラ計画とは、アメリカのCIAが研究所と極秘ですすめていた洗脳実験のコードネームです。1945年に設立され、冷戦下ではソ連のスパイを自白剤で尋問し、超音波を使い記憶を消去する実験がされていました。
自白剤としてLSDを投与する被験者は、軍人以外にも妊婦や障がい者も含まれています。その他被験者は通常の30倍以上の電気ショック療法をされ、終生障害に苦しめられることとなりました。
ナチス断種実験 | ドイツ
第二次世界大戦下のナチス・ドイツでは、生殖能力を奪うための「断種実験」が行われていました。1931年にヒトラー率いるナチ政権はドイツ民族を劣化させる子孫の誕生を阻止する「遺伝病根絶法」を制定。そのため40万人以上の精神疾患者や盲目の人などを強制的に断種させています。
そして少ない費用で断種ができ、なおかつ「ユダヤ人を絶滅させる目的」で被験者に気づかれないように実験しました。実験内容は女性の卵管に直接ホルマリン溶液を注入したり、男性は性器にレントゲンを照射され、実験後6割の人は殺害されたそうです。
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731部隊実験 | 日本
第二次世界大戦期の日本に存在した研究機関です。満州に拠点を置き、兵士の感染予防などを研究すると同時に生物兵器の研究を行い、人体実験を繰り返していました。人体実験の被害者は、捕虜やスパイ容疑の朝鮮人・モンゴル人・中国人・アメリカ人・ロシア人などで「マルタ」と呼称されていたといいます。
実験はガス壊疽実験や凍傷実験・銃弾実験など体を損傷させての実験や、ガラスの部屋を作りガス実験していたそうです。戦後731部隊の実験結果はアメリカ軍が結果を持ち帰り、裁判を逃れた軍医たちは大学医学部や国立研究所などに再就職したといいます。
カナダ先住民人体実験 | カナダ
カナダでは120年以上「先住民同化政策」が敷かれ、先住民の子供約15万人が強制的に親元から引き離され、「インディアン寄宿学校」に入れられていました。同化政策に伴い非倫理的な実験も行われ、1933年には600人の子供がBCG試験に登録され、5分の1近くが栄養失調などで死亡しています。
1942〜1952年の間には栄養失調の子供を対象に、特定のサプリメントが問題を解決できるかの実験を同意なく行っていました。被験者は十分な栄養を取ることを制限されたといいます。
タスキギー梅毒実験 | アメリカ
アメリカのアフリカ系アメリカ人に対して1932〜1972年まで行われた梅毒の臨床実験です。実験の目的は梅毒を治療しなかった場合の症状を長期において観察することだったといいます。研究に参加した黒人男性は、連邦政府が提供する医療を無償で受けられると説明を受けていました。
被験者は貧しい小作農たち600名であり、医療だけでなく葬儀費用まで国が負担したといいます。当初は6か月と説明されたといいますが、結局40年間続けられました。実験で抗生物質が有効だと分かった後も治験者には適切な処置を施されず、今でも「アメリカ史上最も恐ろしい生体治療の研究実験」といわれています。