「北九州一家殺人事件ってどんな事件?」
「なぜ被害者たちは殺し合うことになったの?」
日本で起きた犯罪の中でも、北九州一家殺人事件は非常に残酷無比な事件として有名です。しかし事件の経緯が複雑なうえ犯行が狂気的すぎるため、詳細を理解しづらい事件でもあります。
そこで、この記事では時系列に沿いながら北九州一家殺人事件をわかりやすく解説します。事件が起きた背景や犯行の特徴、犯人の現在も詳しく紹介するので、この記事を読めば北九州一家殺人事件の全体像をつかめますよ。
本記事では、事件の内容により残虐かつグロテスクな描写が多々あります。読者の方や被害者の方々に配慮した文章を心がけていますが、苦手な方はご注意ください。
この記事を書いた人
Webライター
Webライター、岩野祐里(いわのゆり)。5歳の頃、イギリス史に夢中になり図書館へ通いながら育つ。大学では国際文化を専攻し、イギリス史と英文学の研究に没頭。その後、大学院にて修士課程を修了。研究論文は「19世紀英国の社会と犯罪」について。歴史全般の研究歴は11年、イギリス史は21年に及ぶ。現在はWebライターとして活動中。
北九州一家殺人事件とは?
北九州一家殺人事件とは、1996年から2002年の間に福岡県で起きた監禁殺人事件です。「北九州監禁殺人事件」や「北九州監禁連続殺人事件」とも呼ばれています。
主犯の松永太容疑者は内縁の妻である緒方純子容疑者を共犯として、知人男性と緒方容疑者の家族を含む7人を殺害したのです。家族同士で殺し合いをさせるという恐ろしい犯行方法には、日本全土が恐怖に震え上がりました。
ここでは、事件が発生した背景から犯行の様子までを事細かに解説します。一部に暴力的かつむごい描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
事件の発端は主犯「松永太」のDV
北九州一家殺人事件が起きた背景には、主犯である松永太容疑者の日常的なDV(家庭内暴力)がありました。彼は共犯者の緒方容疑者に対して殴るなどの暴力のほかに、自分の所有物である証として自分の名前入りタトゥーやタバコの跡をつけさせています。
松永は緒方という1人の女性を完全に支配し思いのままに操ることで、彼女の周囲の人々も巻き込んでいきました。つまり、松永容疑者の人並外れた支配欲と暴力が事件の幕開けとなったのです。
松永太の心理的支配が残忍な殺人へ発展
松永容疑者の心理的支配は徐々にエスカレートし、最終的に残忍な殺人事件へ発展しました。松永は詐欺行為で指名手配されたのちに、緒方を連れて故郷の福岡県北九州市に戻り生活し始めます。そこでも彼は知人男性の弱みを握り、男性の娘ともども自分の支配しました。
また、緒方の両親や妹家族までも北九州市のマンションに集めて暴力と話術で支配するようになったのです。その後、松永は緒方の家族を拷問し多額のお金を得ると用済みとばかりに、彼らを巧みにそそのかして次々と殺害します。
1人の人間に操られて家族同士が殺し合いをするなど、当時の日本にとっては前代未聞の出来事でした。そのため、北九州一家殺人事件は有名な事件として知られる一方で、悲惨すぎる内容のため報道規制がしかれることとなったのです。
北九州一家殺人事件の特徴3つ
人間心理の恐ろしさが垣間見える北九州一家殺人事件には、下記3つの特徴がうかがえます。
- 松永太はマインドコントロールで家族を支配
- 日常的な拷問と束縛
- 家族同士の殺し合い
他の殺人事件にはない変わった特徴であり、北九州一家殺人事件が日本犯罪史上で有名になった一因ともいえるでしょう。ひとつひとつを詳しく解説します。
松永太はマインドコントロールで家族を支配
冒頭で述べた通り、松永太容疑者はいとも簡単に人間を支配していました。こうしたマインドコントロール*によって、6年間も多数の人々を監禁できたといえます。ただし、松永の場合はマインドコントロールと同時に洗脳に近いものがあったと見受けられます。
例えば、緒方容疑者は何度か逃亡を試みては連れ戻されて、その度に酷い虐待を受けました。それを繰り返すうちに、緒方の心は松永に囚われてしまったのです。
松永は社交的な面を生かして緒方の家族にも接し、彼らの信頼を得ています。また、松永は相手の弱みを握ることで支配することにも長けていました。
松永容疑者は、「松永がいなければ何もできない」「松永の言う通りにするしかない」とまで強く思わせるほど彼らの心をコントロールしていたのです。
マインドコントロールとは相手を自分の思い通りに行動させることです。通常は犯罪や脅迫などの行為に値するほどの力はありません。